「買っただけで満足」「家で眺めるだけで幸せ」はもうやめた

コロナ禍で緊急事態宣言が出ていたころ、あまり外出していませんでしたが、最近は外出の機会も増えました。先日、お出かけの際に「おしゃれな格好をしよう」と、久しぶりにハイヒールを履いたところ、外出先で歩行中にハイヒールの「かかと」の部分が粉々になってしまいました。考えてみれば、そのハイヒールはコロナ禍になってからずっと靴箱の中に眠っていたものでした。コロナ禍になる前もあまり履いていなかったので、いわば新品同様なのですが、靴に詳しい友達に聞いたところ、「靴は買った後にあまり履いていなくても、家に『置いておく』だけで、やっぱり幾分か劣化する」とのことでした。買ってから何年間も置きっぱなしにするのは好ましくないそうです。「今は履けなくても、いつか履けばいいや」とばかりに家に置きっぱなしにしたことを反省した次第です。

ところで欧米の女性は「香水が好き」という人が多く、ドイツ出身の私も例にもれず、ショップや空港の免税店などで気に入った香りを見つけては、色んな香水を買っていました。実際に使っている香水もありますが、「ボトルを眺めているだけのもの」もあります。自分の部屋の一角に「香水コーナー」を作り、ディスプレーされた香水を眺めるだけで幸せな気持ちになったものです。ただ、いったん開けた香水をあまりにも何年間も使わないでいると、気のせいだか、香りが少し変わる気がします。いくら香水が好きだからといって、あまりにもたくさんの種類のものを買って、いったんは開けた香水を長年そのままにしてしまうことについて、今後は気を付けないといけないな……なんて思いました。

コロナ禍になってから、私の生活のなかで出番がなくなったもののひとつに「化粧品」があります。コロナ禍になる前から私はあまり化粧をしませんでしたが、コロナ禍になってからというもの、人と会う機会が減ったため「化粧をしないこと」に一層拍車がかかった感じです。そうはいっても、「いざという時のため」、つまりは人と会う時のために一通りの化粧品はそろえているわけですが、それらの多くは出番のないまま、ポーチや引き出しの中に眠ったままだったのです。買った時にはそれなりのお値段がしたものであっても、何か月間も引き出しの中に眠っていた使いかけのファンデーションを肌にのせる気にはなれず、「新しいものを買ったほうがいいのかな? でも、そもそもあまり使わないし……」と微妙な気持ちになりました。アイブローペンシルやマスカラなどは多少古くてもあまり気にならないのですが、ひろい範囲で肌の上に直接塗るファンデーションの場合はやっぱり気になってしまいます。

コロナ禍になる前は、たまにはハイヒールも履いていたし、化粧もしていたし、香水もつけていた……でもコロナ禍になってからしばらくは、それらを全く使わない状態が続いたのです。「買ったからには置きっぱなしにせず、キチンと使わないと結局は無駄になる」ということを実感しました。

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生理用品のまとめ買いをしなくなったのは

「コロナ」という理由をいったんおいても、昔のようなまとめ買いや大量買いをちゅうちょする自分がいます。

たとえば、私はかつて生理用品をインターネットや薬局で「まとめ買い」することもありました。1か月後だけでなく、来月、再来月、そして来年、再来年……と生理は続くのだという確信があったので、「生理用品はいくら予備があっても困らない」とばかりにたくさん買っていたのです。でも40代の半ばも過ぎた今、いつ閉経になってもおかしくないので、生理用品の「まとめ買い」はしなくなりました。

年齢を重ねるとともにもう一つ変わったのは、アクセサリーに対する感覚です。「眺めているだけで幸せ」とばかりに、20代の時などは気に入ったデザインのプチプラのものをたくさん買いました。先日それらを整理していた時に、久しぶりに鏡の前でつけてみたら……かつてはそこそこ似合っていたはずのネックレスが全く似合わなくなっていました。アクセサリーは箱に入っているぶんには相変わらず「かわいい」のですが、いざ身につけてみると、私自身が年齢を重ねたことが際立っていたのです。いろいろと考えた結果、イヤリングもネックレスも「今の自分に似合うもの」を「実際に使う分だけ」新たに買うことにしました。ネットで注文した派手な色の大ぶりのアクセサリーが少しずつ届いており、「良い感じ」と幸せな気持ちになっていますが、「実際に使う分だけを注文するようにしなくては」と自分に言い聞かせています。

コロナ禍がまだまだ終わらない今、もしかしたら「大量に買っていいもの」は「マスク」なのかもしれない……なんて思っていたのですが、政府は先日「屋外で会話がなければマスクの着用は不要」であると発表しました。そう考えると「マスクの大量買い」は必要ない気もしますし、私自身は心のどこかに「たくさんマスクを消費する前に、きっとコロナ禍は終わるはず」という希望的観測があるのです。

自分の「物との付き合い方」をいま一度客観的に見つめてみることで、「今自分が置かれている状況」や、「自分自身のこと」を知ることができるのかもしれないなんて思いました。自分が年齢を重ねていることやコロナ禍が色々と考えるきっかけになったことは間違いありません。

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サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト

ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住23年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。ホームページ「ハーフを考えよう!」。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)、「なぜ外国人女性は前髪を作らないのか」(中央公論新社)。


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