不用品がアートのような室内インテリアに…アップサイクル家具の魅力

不用品などに一手間加えて新たな魅力を引き出した「アップサイクル家具」が続々登場している。実用性はもちろん、個性的なデザインが特徴。アートのような室内の印象を変えるインテリアとしても注目されている。

【写真】アップサイクル家具…長持ち、かんなくず、トランペットが蘇る

付加価値の高い商品に作り替え…アートのような楽しみ

光沢のあるカラフルなアクリル板を貼り付けたサイドボード、アーティストと共同して大胆なペイントを施したタンスや長持ち――。富山県氷見市にある土蔵に入ると、和洋折衷の不思議な魅力を放つ家具が、洋風のソファやランプとともに並んでいた。

古いタンスにアクリル板を付けた家’sのサイドボード(富山県氷見市で)

家具を作ったのは、同県高岡市の「家’s(イエス)」だ。2019年から、県内の家庭から引き取った婚礼ダンスなどを装飾したり、新たな部材を加えて作り替えたりして販売している。古民家をいかしたゲストハウス事業に取り組んだ際、蔵のある家の多くが使っていないタンスを眠らせたままにしていることに気付いたのがきっかけだ。

【写真】アップサイクル家具…長持ち、かんなくず、トランペットが蘇る

社長の伊藤昌徳さん(33)は「 きり 製や漆塗りなど、古くても立派なものばかり。現代的な要素を加えて生まれ変わらせ、再び本来の役目を果たしてもらいたかった」と話す。

古いタンスの作り替え作業を行う職人(家’s提供)

作り替える際は、元のデザインを極力いかす。「長い年月を経たからこその風格がある」と、伊藤さん。一点ずつ手作業で仕上げるため、中心価格帯は10万~20万円と安くはないが、これまでに60点ほど売れた。会社やホテルのインテリアとしても人気だ。20年、月額約2000円から家具を貸し出す定額課金サービスも始め、若い世代の利用も増えているという。

使わなくなったり、捨てたりする物を付加価値の高い商品に作り替える、アップサイクル。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)への意識の高まりとともに、様々な商品が登場しており、家具の分野にも広がっている。

アップサイクルの魅力について、多摩美術大教授の浜田芳治さん(52)は「単なる再生、修理と違って、デザインなどに作り手や買い手の好みや思いを反映しやすく、アートのような楽しみがある」と話す。

蛇口がウォールハンガーに

蛇口を使ったウォールハンガー(アップサイクルインテリア提供)

大阪市の「アップサイクルインテリア」は、廃棄予定の学校の備品で家具を作る。蛇口をフックにしたウォールハンガー、学校机と廃材を組み合わせたカフェテーブルなどがユニークだ。創業した土井健嗣さん(34)は「原形が分かるようにデザインすることで、見た人が楽しんだり、懐かしんだりすることができる」という。

楽器販売大手「島村楽器」は昨年12月、廃棄される楽器をアップサイクルするプロジェクトを始めた。客や吹奏楽部がある学校などから、使えなくなったサックスやトランペットなどの管楽器を募集。脚に用いたカフェテーブルや、電球を埋め込んだランプなどにして、1万~7万円程度で販売している。「第二の楽器の人生が始まってうれしい」と、広報担当者。販売好調で、製造が追いつかない状況という。

経年による味わいに、デザインの妙が生み出す一点物の特別感。消費に環境への配慮など、社会貢献への意識が欠かせなくなる中、アップサイクル家具は今後も支持を広げそうだ。

安価で手軽、オブジェも人気

アップサイクルで生まれたオブジェも人気だ。家具に比べて、安価で、手軽におしゃれな空間を演出できる。

ブラウン管テレビの画面のガラスから作ったオブジェ(ウォーター提供)

インテリアを専門に手がける大阪市のデザイン事務所によるブランド「wa/ter(ウォーター)」は、ブラウン管テレビの画面や蛍光灯に使われていたガラスから、円形のオブジェを作り出している。ぽってりと厚みがあり、 水面みなも に現れる波紋を思わせるデザインが印象的。「無機質な部品や工業製品を人の目に留まる美しいものに作り替えられたら面白いと思った」と、ブランドの担当者。

建築現場から出る端材でリースを制作しているのは、札幌市の「アップサイクルホッカイドウ」。端材をかんなで薄く削って形作り、季節の花や植物などを飾り付ける。木材が持つ意外な表情を感じられると好評だ。(読売新聞生活部 福島憲佑)

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