清水ミチコさんも感動!瀬戸内寂聴さんドキュメンタリー映画

昨秋、99歳でこの世を去った作家の瀬戸内寂聴さんの、生誕100年記念として制作されたドキュメンタリー映画「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」が5月27日から全国公開されます。5月10日、公開に先駆けて開催された完成披露試写会に、中村裕監督と、寂聴さんの秘書・瀬尾まなほさん、清水ミチコさんが出席し、トークイベントを行いました。

中村監督と寂聴さんのつき合いは、2004年に放送された「情熱大陸」の密着取材がきっかけで始まりました。その後も折に触れてカメラを回し続け、2015年に放送された『NHK スペシャル「いのち 瀬戸内寂聴密着500日」』でATP賞ドキュメンタリー部門最優秀賞を受賞しています。今作は、寂庵での日常、人気を博した法話の様子、執筆中の姿など、寂聴さんの素顔が詰まった貴重な映像作品です。

ちゃんとやらないと供養にもならない

イベント冒頭、瀬尾さんが寂聴さんについて、「亡くなって半年になりますが、まだ納得していない。受け入れられない」と漏らすと、中村監督も「僕も実感が湧かなくて、まだ涙を流していない。今日は先生からまだ電話がかかってきてないなという感じ」と寂しさをにじませました。

映画製作の話が持ち上がったのは2019年。公開に向けて各方面の準備が着々と進むなか、編集作業だけが滞っていたそうです。中村監督は「先生が亡くなった後は、どうしていいのかわからない状態でボーッとしていました。けれど、最後のインタビューとなった映像をつぶさに見ていたら、先生が僕を『計画的にやりなさい』と叱りつけている。これはちゃんとやらないと供養にもならないぞと、編集室に泊まり込みました」と、完成までの道のりを振り返りました。

試写会のトークイベントに出席した中村裕監督と瀬尾まなほさん
「瀬戸内が映画を見られなかったことが残念」と言う瀬尾さんに、中村監督は「『たとえ死んでも見ているよ』と言ってくれたのを信じる」と力強く答えた

亡くなった直後は、ニュースなどで寂聴さんの映像を見ることもできなかったという瀬尾さん。今作の感想を求められると、「ざっくばらんな、普段見ていた姿だったので、何とも言えない懐かしい気持ち、また会えたような気持ちになりました。たくさんの方に瀬戸内の元気な姿を見ていただけるのはありがたいことです」と、映画完成の喜びを語りました。

イベント中盤からは、寂聴さんのモノマネでおなじみの清水ミチコさんも登壇。寂聴さんの声であいさつすると、会場の空気が一気に和みます。

「出会いは1回もなかったんですが、映画を通して初めてお会いできたという感じがしました。20年くらい前に初めて瀬戸内寂聴さんのモノマネをした時、手書きのはがきをいただいて。『私のようなものをよくぞ描いてくださいました。これからも頑張ってください』と書いてあって、なんて懐の深い方なんだと、ますますファンになりました。許していただいただけでなく、背中を押してもらった」と、清水さんが瀬戸内さんとのエピソードを披露すると、初めて知ったという瀬尾さんは「瀬戸内らしい」と感慨深げにうなずいていました。

人を愛し、愛された人生

寂聴さんの素顔について聞かれると、「本当に優しくて愛情あふれる人で、どんな時でも自分のことより相手のことを心配して、人のために尽くしてきた。天台宗では、自分より相手に尽くすという意味の『忘己もうこ利他りた』という言葉があって、瀬戸内は最後までその通りに生きた」と瀬尾さん。

中村監督は、「『道が二つに分かれていたら、危ないほうへ行け』が先生の座右の銘でした。自由奔放に生きてきた面もありますが、すべて自分で落とし前をつけた。出家してからは僧侶として全国の悲しみに打ちひしがれている方たちの前に立って、救い出してきた。すごい人生だった」と、その人柄をしのびました。

今年5月15日、満100歳を迎えるはずだった瀬戸内寂聴さん。人を愛し、愛された人生でした。この映画を見れば、いかに生きるべきか、そのヒントが見つかるかもしれません。

(読売新聞メディア局 深井恵)

瀬戸内寂聴さん映画場面写真
寂庵で毎月行われる法話の会は、いつも笑いに包まれていた(C)2022「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」製作委員会

映画「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」
5月27日(金)全国ロードショー
監督:中村裕
出演:瀬戸内寂聴
プロデューサー:松浦敬 阿部毅 成瀬保則 伊豆田知子
配給:KADOKAWA 制作:スローハンド 協力:曼陀羅山 寂庵
(C)2022「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」製作委員会

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