成人年齢18歳のドイツで、お酒が飲めるようになる年齢は? 

今年4月1日、改正民法が施行され、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。明治9年以来、146年ぶりの大人の基準の変更です。政府は、18~19歳の若者の自己決定権を尊重して積極的な社会参加を促すことで、若者が主体的な役割を果たすようになり、これが社会に大きな活力をもたらすとしています。

2015年には公職選挙法改正で選挙権が18歳に引き下げられましたが、今回の改正により、民法上も18歳以上が成人として扱われるようになりました。これで18歳からクレジットカード、携帯電話、アパートや自動車ローンなどの契約が単独で結べるようになりました。ただし今も「お酒やたばこは20歳から」というのは変わりません。今回は海外の事情と比べながら「成人」について考えてみたいと思います。

親が許せば14歳でもビールOK

筆者の出身国であるドイツでは、むかし成人年齢が「21歳」でしたが、1975年からは「18歳」です。18歳で選挙権をもち、マンションなどが「単独契約」できる点などは日本と同じです。

でも「お酒」にまつわる事情は日本とかなり違います。ドイツでは18歳で成人になると、スピリッツなどのアルコール度数が高いお酒も全て飲めるようになります。実はドイツの「お酒にまつわる年齢制限」はかなり入り組んでいて、全てのお酒が飲めるようになるのは「18歳」ですが、ビール、ワイン、スパークリングワインなどの「アルコール度数が高くないお酒」は「16歳」から飲めるのです。「14歳」からは、親や親権者が同席のもと許可していれば、ビールやワイン、スパークリングワインが飲めます。つまりドイツで「飲酒が完全に禁止されている」のは14歳未満だけです。

筆者は日本人の母とドイツ人の父の間に生まれましたが、日本とドイツでは「お酒」に対する感覚がかなり違うので、10代の頃はちょっぴり戸惑いました。一般的にドイツ人が10代の子にも気軽にお酒を勧めるのに対し、日本人は「10代のお酒はダメ」というスタンスだからです。「住んでいる国の法律に従わなければいけない」のは言うまでもありません。

サンドラがみる女の生き方
写真はイメージです

「あなたの脚が私のテーブルの下にあるうちは……」

日本とドイツを比べてみると、昔も今もドイツの若者のほうが「18歳になることを首を長くして待っている」印象があります。筆者自身、15、16歳の頃は友達同士で「18歳になったら、車の免許を取る!」「18歳になったら、友達と一緒にシェアハウスに住む!」「18歳になったら親の言うことを聞かなくてもいい!」などとみんなで夢を語っては盛り上がっていました。

「早く親元を離れて自由になりたい」「早く自立したい」と考える若者が日本と比べて多いわけですが、それもそのはず、ドイツでは親がよく“Solange deine Füße unter meinem Tisch sind……”(「あなたの脚が私のテーブルの下にあるうちは……」)という言い回しをしますが、要は「親に面倒を見てもらい親と同じ世帯に住んでいるうちは親の言うことを聞け」という意味なのです。これに反発し「早く自由になりたい」と考える若い人が多いわけです。

ただ親側もこれに反対しているわけではなく、むしろ子供の自立を促すことが多いです。子供が一人暮らしをしたり、シェアハウスに住んだり、恋人と一緒に住んだりして親元を離れると、今まで子供が使っていた子供部屋をゲストルームに改装する親も多いのです。いつでも帰って来られるようにと、子供部屋をそのままにしておく親はむしろ例外かもしれません。

婚姻可能な年齢が男女平等に

ところで、今回の民法改正により「男女平等になった」面は評価したいです。今年の3月まで、日本では結婚可能な年齢が、男性は18歳、女性は16歳でしたが、今年の4月からは男性も女性も18歳に統一されました。女性が16歳で婚姻可能だったのは、かつては「心身の成熟度が女性のほうが早い」と考えられていたからですが、国連は長年「日本の結婚できる年齢が男女で違うこと」を問題視しており、男女差を解消するよう求めていました。

時代の流れに合わせて、日本でも「結婚という共同生活のために必要な社会的・経済的な成熟度に男女の差はない」と考えられるようになったことが今回の統一につながりました。
日本全体で見ると10代で結婚する人の数はそう多くはありません。だから女性の婚姻年齢の引き上げと言われてもピンとこない人も多いかもしれません。でもこういった面で男女差が解消されることが「男女平等な社会」へのひとつのステップかもしれないと思いました。

話を戻しまして、成人年齢が18歳に引き下げられたことに関して、消費者金融でお金を借り、性的な映像も含む動画に出演する契約は単独で結べるのに、お酒は飲めないということについて、個人的には「あれれ?」と疑問に思います。先日ドイツ人の友人と雑談をしていた際、相手も同じように感じていたことが分かりました。友人も筆者もドイツで育っているので、お酒に関する感覚はやはり「ドイツ寄り」なのかもしれません。あ、かといって日本に住んでいる以上は、未成年にお酒を勧めたりはしないので、ご安心ください。

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サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト

ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住23年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。ホームページ「ハーフを考えよう!」。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)、「なぜ外国人女性は前髪を作らないのか」(中央公論新社)。


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