男性の「子どもが欲しい」発言に違和感。気にしすぎでしょうか?

「『男性の発言』気にしすぎ?」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。男性の「将来、子どもは〇人欲しい」「子どもが欲しいから結婚したい」といった発言にモヤモヤしてしまう、というトピ主さん。「子どもを産んでほしいがために女性を利用している」ように感じて、気がある男性でも一気に冷めてしまう、とのこと。このように思ってしまう自分は気にしすぎでしょうか、同じように感じる方はいますかと問いかけています。

「彼女が産みたいだけの子どもが欲しい」と言った著名人も

投稿には、「産むのは女性でしょ? 産んでもらえるかどうかは奥さんの身体次第じゃない?」と思ってしまう、という一文も。それを拝見して思い出したのは、歌手のジャスティン・ビーバーさんの結婚後の発言です。

――司会者:「子どもは何人欲しいの?」
――ジャスティン:「それは彼女次第かな。(妻の)ヘイリーの身体だからね(子供を産むのは彼女だからね)」
(※彼は若い頃から父親願望があることを公言している)

(米TVトーク番組『The Ellen DeGeneres Show』<エレンの部屋>より)

上記は2020年に放映された番組ですが、この発言は番組を見ていなかった人たちにも広く拡散され、世界各地の人たちから賞賛されました。それはつまり、トピ主さんと同様に「自分が好きになる相手は、女性に対する配慮ができる人物であってほしい」と感じている人が少なからずいる、ということではないでしょうか。

女性側の意見を考慮に入れないところで「子どもを産む、産まない」について語られると、意思を尊重されていないようで不快に感じてしまう、という背景があるのではないかと推察します。

「配慮・責任・尊重・理解」をお互いに示しあえる関係を

社会心理学者のエーリッヒ・フロムは、能動的な愛には以下四つの要素が必要だ、と語っています。

・相手の生命と成長を積極的に気にかけること(配慮)
・相手の要求に応じられる、応じる用意があること(責任)
・相手がその人らしく成長発展していくように気づかうこと(尊重)
・相手の立場に立ってその人を見、その人を知ること(知<理解>)

ジャスティン・ビーバーさんの発言は、まさに上記の4要素を満たしていますよね。愛する女性の立場に立って考え、女性の身体のことやキャリアとのバランスなどを気にかけ、相手の要求に応じる用意があることを示しています。出産だけの問題ではなく、パートナーに対する愛情やスタンスの問題、と言えるかと思います。

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実際のパートナーシップにおいては、カップルの双方が上記四つの要素をもって愛情を育んでいこう、という意思を持てるかどうかが重要になるかと思います。双方にそうした意思があれば、お互いの違いを理解した上で、「自分ができること、そして相手のためにやってあげたいことをお互いに形にしていこう」という能動的な、素晴らしい愛情関係が築けることでしょう。

感情をあまり言葉や態度にしない傾向がある日本人の場合、「配慮や尊重をしたい気持ちはあるけれど、言葉足らずや行動不足が理由で相手に伝わっていない」というケースもあることが予想されますが、トピ主さんが現在お付き合いしている方には「私の考えを伝えていますし、ありがたいことに理解してくれている」とのこと。その彼と「言わなくてもわかるだろう」にならず、丁寧にコミュニケーションを図っているようですね。よりよい関係を築くために、とても有効な姿勢だと思います。

「どうすることが『愛する』ということなのか」を考える大切さ

その後の投稿では、トピ主さんが今回の件を考えるようになった理由として、家族の影響を挙げられています。助産師の母から「出産は母親も赤ちゃんも命懸け」であり、「子どもを授かり、無責任に逃げる男性もいるが、女性はそうもいかない」と教わったこと。姉がシングルマザーになり「無責任な人に振り回されているのを見てきた」ため、自分も無責任な人に対して厳しくなっているのかもしれない、ともつづっています。

身近な環境や出来事によって世の中に対する疑問が生じる、というのはとても自然なことだと思います。トピ主さんのお母さんのように、専門家だからこそ説得力を持って語れることはあるでしょうし、お姉さんのような当事者がどのような状況になり、どのような大変さがあるかも、間近で見ている人にしかわかり得ないことです。

家族の様子を見て「女性がいろいろなリスクを背負って子どもを産むことに対して、もっと尊重される社会になるといいのに」という思いを持ったのだとすれば、それはリアルな実態を知らない人や若い人たちにとっても、とても有意義な意見提示になると思います。

最後に、前述したフロムはこんな指摘もしています。人々は「自分を磨いて見合った相手を探し、瞬間的に燃え上がり、肉体関係に進展するような関係」を“恋愛”だと信じ込んでしまっている。しかし愛とはそのようなものではなく“持続的な状態”を指すのであり、成熟した大人だけが経験できるもので、本当の愛を体験するには『愛するための技術』を習得する必要がある……と述べています。

愛とは一体どういうものなのか、どうすることが「人を愛する」ということなのか、深く考えて実践できる人が、男女問わず一人でも増えていけば、今回のようなお悩みは少なくなっていくのではないかと感じました。貴重な気づきを共有してくださり、ありがとうございます。

(本文内参照:「フロムに学ぶ『愛する』ための心理学」鈴木晶著/NHK出版新書)


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外山ゆひら(とやま・ゆひら)
フリーライター

哲学や心理学、芸術文化の分野に関心が高く、対人関係やコミュニケーション、生き方に関する記事を中心に寄稿。産業カウンセラー・心理相談員資格有。

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