東京ステーションホテル、文化財に泊まる愉悦と注目のアメニティ

新型コロナウイルスの流行によって、休暇の過ごし方にも変化が現れ、ホテルにゆっくり滞在する「ホカンス」(ホテルでバカンス)という言葉も生まれました。そこで、働く女性たちが日常を忘れてくつろげる場所を探しに、東京・大手町周辺のラグジュアリーホテルを訪れて取材しました。

東京駅丸の内駅舎、フォトウェディングなどのロケーションとしても人気

大手町・丸の内エリアで働く女性なら、夕暮れ時にレトロなレンガ造りの東京駅を背景にウェディングフォトを撮影するカップルがいかに多いかをご存じでしょう。その駅舎の中に東京ステーションホテルがあります。

駅舎は1914(大正3)年に完成しました。ホテルの開業は、その翌年です。建物を正面から見ると、レンガの色が少し違うのがわかります。1~2階部分は当時のレンガで、3階は空襲で焼けてしまったため復原された新しいものです。ホテルの客室は2、3階にあり、1階中央は「御車みくるま寄せ」といって、皇族方が乗下車する際に開門されます。

よみがえったドームを眺める

建物が2003年に国の重要文化財に指定され、保存・復原工事が行われました。そして2012年、かつてと同じドーム屋根を冠した優美な姿によみがえるとともに、ホテルが再開業しました。

日本で重要文化財に泊まれるのは、ここだけ。何とも贅沢ですね。今回は、小町読者向けに一推しの客室を見学させてもらいました。その前にまず、「ゲストリレーションズ」担当の寺田有里さんが案内してくれたのは、美しいドームを間近に見られる「アーカイブバルコニー」です。宿泊者専用スペースなので、泊まったら必ず行ってみてください。

鮮やかなクリーム色のドームのデザインは、1914年のころのまま。色は当時のモノクロ写真を解析して復原したそうです。ここから、レリーフもよく見えます。豊臣秀吉の兜、剣、鳳凰など、建築家・辰野金吾による日本的な意匠が施されています。残念ながら、安全上の問題からガラス戸を開けることはできませんが、眼下に忙しく人々が行き交うなか、ドームを独り占めしているような優越感に浸れます。

東京ステーションホテル、駅舎のドームが見えるドームビューの客室
ドームサイド・コンフォートキング

全長330メートルを超える長い廊下も、この建物の特長です。往事を伝える古い写真が飾られており、歴史を感じさせます。今回、見せてもらった部屋は、3081号室。30平米のドームサイド・コンフォートキング(2名1泊6万2385円から)です。落ち着いた色合いの室内は、洗練されたヨーロピアンクラシックスタイル。天井が高さ約4メートルもあるので開放感があり、美しいシャンデリアがきらめきます。重厚なカーテンをあければ、ドームが目の前に! 

東京ステーションホテルの長い廊下
長い廊下はフォトスポットにもなっています

駅だからこそのこだわり

川端康成、松本清張、内田百聞ら文豪が宿泊していたことから、東京ステーションホテルのメモ用紙は原稿用紙のデザイン

実はこの部屋、かつて川端康成がよく利用していた場所なのだそう。ホテルには、ほかにも松本清張や内田百閒ら文豪たちが宿泊していたこともあり、机上のメモ用紙が原稿用紙のデザインになっています。

東京ステーションホテルアメニティ。側面に切符のモチーフが特徴的
東京ステーションホテルのアメニティ

細部へのこだわりは、アメニティにも表れています。フランスの香水ブランド「イストワール・ドゥ・パルファン」の調香師が、100年前の東京ステーションホテルをイメージした香り「Est. 1915」を作りました。オリジナルのシャンプーやボディーソープの容器は、側面に切符のモチーフを配しています。藤崎ひとし総支配人のアイデアだそう。もちろん、心地よい香りが約束されています。

伝統が息づく文化財に身を置けば、めまぐるしい日々を忘れられそうです。(読売新聞メディア局 小坂佳子、写真も)

東京ステーションホテルThe Tokyo Station Hotel
東京都千代田区丸の内1-9-1
03-5220-1111
https://www.tokyostationhotel.jp/
客室150室
レストラン・バー「ロビーラウンジ」「カメリア」など10店

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