ミシン踏み家族を支える女性たち、労働闘争に立ち上がる

季節の流行を安く楽しめるファストファッション。その安さが、途上国の貧しい女性たちの過酷な働きで支えられている事実は、近年様々な形で告発されてきた。本作もその一つ。縫製工場で不当な労働を強いられているヒロインが、労働組合を結成すべく立ち上がる。「メイド・イン・バングラデシュ」は実話を基にしたドラマだ。

バングラデシュの首都ダッカ。23歳のシム(リキタ・ナンディニ・シム)は、酷暑の中で1日10時間以上もミシンを踏む。同僚が火災で命を落とす。給料の支払いは滞ったまま。人権活動家の誘いで参加した集会で、自分たちに「人権」があること、組合を作れば、法律に基づき待遇の改善を要求できることを学ぶ。だが、結成に向け署名を集めるシムらを工場の幹部が妨害する。

映画「メイド・イン・バングラデシュ」
(C) 2019 – LES FILMS DE L’APRES MIDI – KHONA TALKIES- BEOFILM – MIDAS FILMES

「知る」ことで搾取されない生き方に目覚めても、世間体を気にする夫が立ちはだかる。同僚も一枚岩でない。近所の年配女性は、「はした金を稼いで自由になったつもり?」となじる。近しい人ほど手かせ足かせになる現実を、同国の女性監督ルバイヤット・ホセインは繊細に浮かび上がらせる。

ただ、告発だけに終わらないのがこの映画の美点。カメラは彼女の「物語」に目を凝らす。10代前半に強制結婚から身一つで逃れた少女。その 変貌へんぼう を生き生きと捉える。ある場面を境に髪を覆っていた黒いヒジャブ(スカーフ)を脱いで、尊厳を脅かす者に食ってかかる。その小気味よさ。どうか幸せになってと、熱い思いが湧き上がる。

(読売新聞文化部・山田恵美)

メイド・イン・バングラデシュ(仏、バングラデシュほか) 1時間35分。岩波ホール他にて全国順次公開。

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読売新聞文化部の映画担当記者が、国内外の新作映画の見どころを紹介します。
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