全国人気店のパンをお取り寄せ…冷凍宅配サービスが人気 「ワクワク感も」

全国の人気ベーカリーのパンを冷凍して配送するサービスが人気を集めている。自宅にいながら地方の名店のパンを食べられるのが魅力だ。コロナ禍で売り上げが落ち込んだベーカリーの支援にもつながっている。

人気店に行った気分に

東京都目黒区の坂上由紀さんは、通販サイト「ぱん結び」で定期的にパンを購入している。全国18都道府県から30の人気ベーカリーが出店しており、「ネットで選ぶだけでパン屋に行った気分になれて楽しい」と話す。総菜パンは日々の食卓に、菓子パンは小学5年生の長男のおやつにぴったりという。かわいい見た目のパンを友人に贈ったこともある。

ぱん結びは昨年10月、化学メーカー「カネカ」の子会社、カネカ食品(東京)が開設した。ベーカリーは焼きたてのパンの粗熱を取った後、材料の保管などで使用する業務用の冷凍庫で冷凍。8~10個を1セットにして平均3000円(送料別)で販売する。2週間から1か月程度の保存が可能。ぱん結びのサイトで解凍法などを説明している。

「冷凍して販売する発想はなかった」と話すのは、ぱん結びに出店する横浜市のベーカリー「エスプラン」社長の塩田悠樹さん。

食パンやピザなどを販売する。味が損なわれることもないという。コロナ禍で売り上げが減少する中、昨年11月には、ぱん結びを通じて100件以上の注文を受けるなど、販路は全国に広がり、新たな顧客獲得にもつながっている。塩田さんは「縁がなかった全国のパン好きの人に購入してもらえてやりがいを感じている」と話す。

会員登録3か月待ちの人気サービスも

「おいしいパンを旅しよう」をテーマに掲げるのは、「パンフォーユー」(群馬県桐生市)が運営する「パンスク」。2020年2月の開始以降、会員数は1万5000人を超え、新規登録は最大3か月待ちとなる冷凍パンの人気宅配サービスだ。

全国から冷凍したパンを届ける定額サービス「パンスク」(提供写真)
全国から冷凍したパンを届ける定額サービス「パンスク」(提供写真)

月額3990円を支払うと、契約する全国50軒の中から、8個前後の冷凍パンが届く。事前に利用者がどこのベーカリーから届くか分からないのが特徴で、「地元のパン屋さんを訪れるようなワクワク感を体験してもらいたい」と同社社長の矢野健太さんは話す。箱の中には店のこだわりなどを紹介したカードも同封。独自に開発した袋で個包装しており、1か月以上保存できる。

パン料理研究家の片山智香子さんは、「店頭では自ら手に取らないようなパンが届き、食べてみるとおいしいといううれしい発見がある。今後は対象店舗が増え、冷凍パンのニーズは高まるのでは」と話している。

冷凍パンを自宅でおいしく食べるコツは?  

冷凍のパンを自宅でおいしく食べるポイントについて、カネカのテクニカルアドバイザー、山崎隆二さんに聞いた。

凍ったパンをトースターで焼くと、表面だけが焦げ、中まで温まらない。常温で数時間置き、自然解凍させる。時間は、季節やパンの大きさなどによる。

「表面が崩れやすいクロワッサンは、トースターでアルミホイルに包んで温めるといい」と助言する山崎さん(東京都内で)
「表面が崩れやすいクロワッサンは、トースターでアルミホイルに包んで温めるといい」と助言する山崎さん(東京都内で)

冷凍庫から出してすぐに食べたい場合、電子レンジを活用する。個包装された袋に入れたまま、封を開けて500ワット程度で30秒~1分ほど温める。温める時間が長いほど、ふんわりとした食感に仕上がるという。封を開けないと袋の中の水蒸気でパンの表面がふやけてしまうので注意する。

トースターで仕上げる場合、温度や時間は、好みに応じて調節する。クロワッサンなど表面が崩れやすいパンは、アルミホイルで密閉しない程度に包むのがお勧めだ。

温め直せるのは総菜パンが中心。メロンパンやチョコレートを使用した菓子パンなどは、常温で自然解凍して食べるのが望ましいという。山崎さんは「ひと手間かけておいしく食べてもらいたい」と話している。(読売新聞生活部 伊丹理雄)

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