北村匠海「とんび」父役の阿部寛を”昭和のおやじ”そのもの

若手の実力派、北村匠海が8日公開の「とんび」(瀬々敬久監督)に出演している。昭和と平成の時代を生き抜き、絆を深める親子を阿部寛と演じ、「自分の家族を思いながら、自然と演じることができた」と振り返った。

昭和37年(1962年)。瀬戸内の町で運送会社に勤めるヤス(阿部)と妻、美佐子(麻生久美子)の間に長男、アキラが生まれる。北村は、アキラの高校生時代から、出版社に勤務し、同僚の由美(杏)と夫婦になる平成時代を経て、ヤスが亡くなる令和時代までを演じている。

平成9年(97年)生まれの北村自身は昭和時代を経験していないが、「両親が昭和を味わっている世代なので、その時代の空気感を自然と身近に感じていた」と話す。

映画「とんび」に主演した北村匠海
音楽、映画、ドラマと幅広く活躍する。「こっちで得た感性が別のところで生きたり、こっちで生まれた言葉が別のところで出てきたり。いろいろなことが僕の中できれいに循環している感じです」(高橋美帆撮影)

酒飲みでけんかっ早いヤスは明るく元気で、裏表のない人情家。町の人たちにも愛される、“昭和のおやじ”そのものの人だ。北村は自分の父親を重ね、「ヤスほど型破りではないですけど、やっぱり不器用なんですよね」。その父も「とんび」を見てくれた。「世代的には、アキラに近く、映画を見て、『感情移入できた』と言っていたし、父親でもあるので、『ヤスの気持ちにもなれた』と話していました」

ヤスはアキラが動揺しないよう、美佐子の死の真相を隠し続ける。東京の大学への進学が決まったアキラに対し、「一人前になるまで帰ってくるな」と強がるが、実は寂しくて仕方ない。そんな父親に、アキラは反発を感じる時もあるが、優しく接しようとする。「ヤスは愛情を変わった形でしか表に出せない不器用な人なんだけど、そこがすごくかわいらしい。アキラは母性のようなものを感じ、『自分がしっかりしなきゃ』と思っていたのでは」

親子のやりとりで印象に残っているのは、暴力を巡って2人がぶつかるシーン。高校の野球部員のアキラは、別の部員の尻をバットでたたく。暴力をとがめたヤスがアキラを殴りつける。アキラが「痛い」と言うと、ヤスは自らの拳で何度も自分を殴り、痛みを知る。「ヤスの姿を見て涙が出るというか、抱きしめたくなるというか。この人を一人にしちゃだめだとか。いろいろな気持ちが芽生える瞬間で、思い出深い場面です」

絆を確かめ合うかのように祭りのみこしを担ぐアキラ(北村匠海、左)とヤス(阿部寛) (C)2022『とんび』製作委員会

豪快なヤスに対し、アキラは「ナイーブな人」で、「達観していながら、弱さを見せたりするところは、僕と似ている」という。「同世代の仲間たちを見ても、僕にない強さがあって、輝いて見える。一方、僕はみんなの陰にひっそり隠れてしまって、考えすぎたり、深く受けとめすぎたり」

「自分の中から自然に流れ出てくる感情を大事にして演じたい」という俳優にとって、アキラは格好の役だったに違いない。

(読売新聞文化部 近藤孝)

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