日本の「アンリアレイジ」が参加、メタバースファッションウィークとは

パリコレクションに参加する日本のファッションブランド「アンリアレイジ」が、ファッションとテクノロジーを融合した創作で、世界の注目を集めています。3月24~27日に仮想空間で開かれる史上初の「メタバースファッションウィーク(Metaverse Fashion Week)」にも参加します。 

アンリアレイジは、2003年の設立以来、最新の技術を積極的に取り入れ、異業種と協業しながら服作りを進めてきたブランド。パリコレではスマートフォンのフラッシュの光でカラフルな色柄が浮かび上がる素材の服などを発表し、世界のファッション好きを驚かせてきました。創業者でデザイナーの森永邦彦さんに仮想空間で何をするのか、ファッションテックが広がるなか、大切にしていることを聞きました。

――今回、新たな挑戦となるメタバースファッションウィークとは? 

「メタバース」はアバターを介して人々が交流したり、仕事をしたり、遊んだりできるインターネット上の経済圏を持った仮想空間です。メタバースファッションウィークは、プラットフォーム「ディセントラランド」内で行われ、参加するブランドはアバターに服を着せてファッションショーを行ったり、ショップを開いてアイテムを販売したりします。 

アンリアレイジは3月26日午前0時30分から、ファッションショーを行います。ショップではパリコレで発表したばかりの新作の服のデジタルデータ(※NFT作品)を販売し、実物の服も予約販売します。

※NFTは、暗号資産(仮想通貨)にも使われるブロックチェーン技術で、唯一無二であることが認証されたデジタルデータ

アンリアレイジのメタバースファッションショーのイメージ 大手小町 読売新聞
メタバースファッションウィークでのアンリアレイジのショーのイメージ

――参加ブランドは、ドルチェ&ガッバーナ、エトロ、トミー・ヒルフィガーなど60あまり。参加者はショーを見たり、ショップでアイテムを購入して、自分の分身であるアバターに着せたりできるのですね。

ディセントラランドのサイトに登録すれば誰でも参加でき、ショーのほかに、パーティーやトークイベントなども企画されています。参加者は街を散策したり、買い物したりでき、コミュニケーションも楽しめます。

――アンリアレイジは、昨年10月には、細田守監督の最新アニメーション作品「竜とそばかすの姫」と協業したデジタルコレクションを発表し、作品を「NFT」として販売しました。今回のメタバースファッションウィークにどんな可能性を感じますか。

NFTのマーケットは、アニメやゲームに近いものが人気で、投資で利益を得る目的で購入する人も多いです。メタバース内でのファッションイベントは、よりファッションが好きな人が入ってきやすい。パリコレで発表したものを、リアルの服とデジタルの服両方で打ち出していくことに可能性を感じます。今回の挑戦で、ファッションの種を植え、花が咲くものにしていきたいと思います。

現実の世界では、服を通して会話が広がるなど、ファッションはコミュニケーションの手段となっています。今、コミュニケーションの場がリアルからデジタルに急速にシフトしています。デジタルの世界でもファッションはコミュニケーションツールになり得ると考えます。実際、メタバース内でも自然発生的にアバターが着る服の流行が生まれています。リアルとデジタルの両方を行き来できるようなファッションを意識して提案していきたいと思います。

宇宙服に込めた平和への祈り

――今回メタバースで展開する新作「PLANET」は、3月上旬にパリコレで発表したばかり。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協業したコレクションです。

宇宙をテーマに、2030年の未来の月面を描いたコレクションです。月面を再現した空間で撮影し、膨らんだ形の服には、宇宙服用の素材を用いたほか、エアコンを使わず人体を効率よく冷却する空調服も取り入れました。コレクションを通し、宇宙服と地球服の境界をあいまいにし、今は非日常である「月面での日常」が来る日に思いをはせ、誰もが月と地球を気軽に往来できる世界を想像しました。

宇宙から着想したアンリアレイジの最新コレクション 大手小町 読売新聞
宇宙から着想したアンリアレイジの最新コレクション。ショーの音楽に、ショパン国際ピアノコンクールで第2位を受賞した反田恭平氏の「月の光」を用いた(c)masaya tanaka

宇宙には国も国境もない。いろいろな国籍の人がひとつの国際宇宙ステーションに乗り込み、離れたところから地球を見て、その美しさ、尊さに気付く場所でもあります。ロシアによるウクライナ侵攻など、平和が脅かされる厳しい世界情勢ですが、国や人種を超えた「地球人」という感覚が当たり前のものとなってほしい、地球を見つめ直してほしいとの思いや、平和への祈りをコレクションに込めました。

アンリアレイジのデザイナー、森永邦彦さん 大手小町 読売新聞
アンリアレイジのデザイナー、森永邦彦さん

――ファッションテックが急速に広がっています。これから目指していくことは。

リアルでもデジタルでも、1人の人に1着の服を届けるということは変わらないと考えています。作る洋服がその人の日常において、非日常の扉を開くものだったり、何かスイッチを入れるようなものだったり。そんな服を手がけたいと活動を続けてきました。デジタル化がどんなに加速しても、その思いと、手を使って現実に服を作っていくことを大事にしていきたい。

(読売新聞メディア局 谷本陽子)

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森永 邦彦(もりなが・くにひこ)
「アンリアレイジ」デザイナー

1980年、東京生まれ。2003年「アンリアレイジ」として活動を開始。「アンリアレイジ」は「A REAL(日常)」「UN REAL(非日常)」「AGE(時代)」をミックスした造語。2014年9月からパリコレに参加し、2021年ドバイ万博日本館の公式ユニホームも担当。

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