特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」原石からジュエリーまで

古代から世界中で魔除まよけや地位を示すシンボルとして用いられてきた宝石。もちろん、装飾品としても広く親しまれてきました。今回の特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」では各地の博物館やコレクション、日本ジュエリー協会などの協力で、多種多様な宝石とそれを使用した豪華絢爛けんらんなジュエリーを一堂に集めました。

科学と文化で掘り下げ、宝石のすべてがわかる

有史以来、人々が「美の源泉」として憧れ続けてきた宝石の姿を科学、文化の両面から掘り下げる、ユニークでゴージャスな展覧会です。本物であふれかえる展示会場は実にきらびやか。

展示は第1章「原石の誕生」から始まります。宝石はどうやって生まれるのか。宝石のもととなる鉱物の生い立ちを、大型の原石を使って説明。宝石が地球のどこでできて、どのように採掘されるのか、人間の歴史とどのように関わってきたのかなど、様々な角度からその秘密を科学的に紹介します。

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
高さ2.5メートルの巨大アメシストドーム。写真撮影可能
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
左・ダイヤモンド 南アフリカ産 国立科学博物館蔵、右・ペグマタイトから見つかる宝石コーナー。上段左はトパーズ、下段左はアマゾナイト、右の二つはアクアマリン

第2章「原石から宝石へ」。地球が生み出した「貴石」がジュエリーになるためには、人の手による加工が欠かせません。原石の掘削からカットの加工技術までを分かりやすく伝えてくれます。第3章は「宝石の特性と多様性」。200種を超える宝石の洪水のような展示です。「輝き」「きらめき」「彩り」「強さ」といった宝石の価値の基準を解説。宝石の要件の一つである「美しいこと」の要素について科学的に説明します。

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
ダイヤモンドのカットの変遷
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
監修者のひとり西本昌司・愛知大教授が教えてくれた面白い宝石。ネギではありません。トルマリン(神奈川県立生命の星・地球博物館蔵)です

「ジュエリーの技巧」の第4章では、宝石を更に美しくする職人たちの技術の粋を紹介。第5章では「宝石の極み」を堪能します。

ナポレオン帝政下の名将、モルティエ元帥が娘の結婚に際して作らせたというピンク・トパーズとアクアマリンのパリュール(セット)。その来歴を知ると、いっそう豪奢ごうしゃに感じます。

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
リュミニー侯爵夫人旧蔵 ピンク・トパーズとアクアマリンのパリュール(1820年頃)/個人蔵、協力:アルビオン アートジュエリー・インスティテュート

ロシア大帝エカテリーナ2世がロシア駐在英国大使に贈ったエメラルドに、大使令嬢の婚家である侯爵家がダイヤモンドを加えたネックレスとイヤリング。エカテリーナが触ったかも、とワクワクしてしまいました。

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
ロシア大帝エカテリーナ2世のエメラルド(18世紀中期)/ランデル、ブリッジ・アンド・ランデルによるセッティング(1830年頃)/ 個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート

マリー・アントワネットの長女、アングレーム公爵夫人旧蔵のルビーとダイヤモンドのブレスレットやアール・ヌーボー絶頂期の逸品、ジョルジュ・フーケがミュシャと共同制作したコルサージュ・オーナメントなど、いつまでも見ていたい作品ばかりです。

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
ジョルジュ・フーケ作、アルフォンス・ミュシャ作画デザイン コルサージュ・オーナメント/個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート

ユニークなコラボやオリジナルグッズ

漫画家・二ノ宮知子先生の作品『七つ屋 志のぶの宝石ばこ』(講談社「Kiss」連載中)とコラボレーション。漫画のキャラクターが分かりやすく案内してくれます。先生が特別に描き下ろしたイラストも展示されています。公式アンバサダーはカズレーザーさん。音声ガイドのナビゲーターも担当しています。SNSなどで注目の色鉛筆画家、安部祐一朗(長靴をはいた描)さんが本展のために描き下ろした3点の作品の展示も。これらをもとにしたデザインのグッズも登場しています。

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
(C)二ノ宮知子/講談社
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
多彩なオリジナルグッズ

ジュエリーに目がない方はもちろん、美術ファンも、歴史マニアも、地学や鉱物が大好きな人もそれぞれ楽しめる展覧会です。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」

会場 国立科学博物館
会期 2022年6月19日(日)まで
開場 午前9時~午後5時(入場は4時30分まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌火曜日休館)※ただし3月28日、5月2日、6月13日は開館
入館料 一般・大学生2000円、小・中・高校生600円※日時指定予約が必要。当日、博物館で販売する当日券での入場枠もあるが、来場時に待つ場合や予定枚数が終了している場合がある
アクセス 東京都台東区上野公園、JR上野駅公園口から徒歩5分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口から徒歩10分、京成線京成上野駅正面口から徒歩10分
詳しくは公式サイトへ

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