PTA活動「免除の儀式」が問題に…外注し効率化

平日昼間に会合があったり、非効率な作業が多かったりと、保護者に敬遠されがちなPTA活動。共働き世帯の増加などで保護者の負担感が増す中、活動の一部を企業に外注したり、業務用のクラウドサービスを導入したりする動きが広がっている。

専業主婦ありきのPTA活動はもう無理

「役員をやってくれる人がいないんです――」。神奈川県の公立中学校のPTA会長を務める男性(48)はため息をつく。今年度は役員に立候補する人がなく、前年度の役員が続けてやるしかなかった。現在、来年度の役員を募集中だが、積極的に手を挙げる人はいない。「もう、お金を払って外部に任せるしかありません」。書記の業務の一部を外注しようと考えている。

PTA活動は長年、専業主婦に支えられてきたが、女性の社会進出や共働きの増加で負担に感じる保護者が増えている。調査会社「かんでんCSフォーラム」(大阪)が2016年、PTAや保護者会の委員・役員経験のある女性597人に「活動期間に困ったこと」(複数回答)を尋ねると、フルタイム勤務の58%、パートタイム勤務の39%が「仕事や家事等との時間の調整が難しい」と回答した。

「専業主婦ありきのPTA活動はもう無理。変えていかなければ」と話すのは、宮崎市立生目台東小PTA会長の持原将之さん。昨年、ソフトウェア会社「サイボウズ」(東京)に相談し、役員同士のデータの共有や連絡に使えるクラウドサービスを導入した。以前は、学校に集まって報告や連絡を行い、データはUSBメモリーで受け渡ししていたが、「学校に行かなくても、空いた時間にスマートフォンで連絡や情報の共有ができるようになった」と話す。

サイボウズによると、このサービスは200を超えるPTAや保護者団体に利用されているという。

宮崎市立生目台東小PTAでは役員がスマホを通して情報共有している(持原さん提供)
宮崎市立生目台東小PTAでは役員がスマホを通して情報共有している(持原さん提供)

外注し、プロの力を借りる

外注でプロの力を借りることにはメリットもある。兵庫県姫路市立荒川小PTAでは、毎年、校区内の危険箇所を示す「こども安全マップ」を作ってきたが、上書きが繰り返されて見にくかった。今年度初めて外注したところ、見違えるほど分かりやすくなった。会長の三木貞徳さんは「3年生が社会の授業で使ってくれた」と喜ぶ。

外注ニーズが高まる中、PTAと外注先の企業をつなぐサービスも注目されている。「PTA’S(ピータス)」はサイト上で、書記業務や行事の撮影と配信、校内の清掃や消毒などを請け負う約40社を紹介。全国約360のPTAがユーザー登録している。

運営する増島佐和子さんは、小学校のPTA副会長を務めた経験から、無理なくPTAに参加できる仕組みが必要だと、このサービスを始めた。「面談して安心できる企業だけを紹介している。外注して負担を減らすことで、保護者にしかできないことに時間や労力をかけてほしい」と訴える。

PTA活動の外注について、「さよなら、理不尽PTA!」などの著書があるライターの大塚玲子さんは「外注を考える際、その活動は本当にPTAで担わなければいけないのか、考えてほしい」と指摘する。学校の清掃などは自治体の予算がつけば、PTAが行う必要はない。「外注は労力をお金に移すだけで、根本的な解決にならない。必要性の薄い活動をやめたり、公費で行うよう学校にお願いしたりすることも必要だと思います」

姫路市立荒川小PTAが外注して作製した「こども安全マップ」(三木さん提供)
姫路市立荒川小PTAが外注して作製した「こども安全マップ」(三木さん提供)

本来は加入義務なし、「免除の儀式」人権問題に

PTAは学校とは別の団体で加入の義務はない。だが、保護者に意思確認せず、入学時に全員加入させているPTAもある。

活動への参加も自由だが、「卒業までに必ず一度、委員や役員をする」などのルールがあるPTAも多い。活動できない人に、全員の前で「病気でできない」などと理由を説明させる「免除の儀式」を行うケースもあるという。

こうした強制性が、保護者がPTAを敬遠する原因の一つになっており、近年、各地の連合組織が正しい運営に向けた指針を示している。

奈良市PTA連合会は「免除の儀式」が人権問題だとし、「全ての会員が平等に仕事をする団体ではありません」と説明。神奈川県横須賀市PTA協議会は「自動的に入会させたり、強制的に入会させたりしてはいけません」と示している。

4年前、くじ引きで当たってしまい、イヤイヤPTAの委員長を務めた。活動はかなり非効率だったが、変えるのも面倒でそのまま行った。外注を含めて効率化すれば後に続く人のためになったのかもと反省している。(読売新聞生活部 宮木優美)

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