マット・デイモン主演、無実を訴える娘のため異国で奔走

本作のタイトルとなった「スティルウォーター」は、米オクラホマ州の都市の一つ。そこで暮らすビル(マット・デイモン)は、失業中の石油掘削作業員だ。ドラッグや酒に溺れた過去がある。彼は娘(アビゲイル・ブレスリン)に会うため、仏マルセイユに向かう。娘は留学中に殺人罪で逮捕され、服役していた。無実を訴える彼女のため、ビルは弁護士に再調査を依頼するが断られる。そして異国で自ら「証拠」となる人物を捜し始める。「スポットライト 世紀のスクープ」がアカデミー作品賞を受賞したトム・マッカーシー監督の上質なサスペンスである。

主人公のビルは、前トランプ政権を生んだ保守層の象徴のような人物。異国でも自分のやり方を変えず、文化や言葉の壁に突き当たる。そんな彼に、偶然出会った現地の女性が協力する。彼女はリベラルな考えを持つシングルマザーだ。ビルは彼女とその娘と暮らし始め、次第に変わっていく。だが、思わぬ形で「証拠」が見つかり、せっかくつかんだ新たな人生を壊しかねない決断を迫られる。

マット・デイモン主演「スティルウォーター」
(C)2021 Focus Features, LLC.

保守とリベラル。男性と女性。二つの正義。スティルウォーターとマルセイユという対照的な二つの町に、様々な対比を重ね合わせていくのがうまい。そのはざまで戸惑い、悩むビルを、デイモンが繊細に演じる。撮影監督は高柳雅暢。二つの町の空気感の違いを鮮やかに映し出している。苦く切ないラストからは、正義を見失った米国の人々の心情が生々しく伝わってきた。

(読売新聞編集委員 小梶勝男)

「スティルウォーター」(米)2時間19分。日比谷・TOHOシネマズシャンテなど。公開中。

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