67%が気になる食品表示をスマホで伝える。消費者庁が実証実験

加工食品の栄養成分や添加物などの表示について、消費者庁はデジタルツールの活用の検討を始めた。スマートフォンのアプリを使うことで情報量を増やし、消費者に分かりやすく伝えることが目的だ。

消費者庁が検討

消費者庁は昨年11~12月、東京都江東区と千葉市のスーパー2店で、約9万点の加工食品を対象にした実証実験を実施。来店客ら約400人が参加した。

専用のアプリをインストールしたスマホを、加工食品に付けられたバーコードにかざすと、スマホ画面に原材料名や添加物、栄養成分が表示される。文字の大きさを調整できるほか、エビや卵などのアレルギー物質を事前に登録すると注意表示をしてくれる。「食塩を控える」と登録すれば、1日当たりの摂取基準量と、その商品が占める割合が示される。

参加者からは「アプリで食品表示が見やすくなった。より内容を理解できた」と肯定的な感想が多かったという。実験に協力した味の素(東京)の担当者は「食品表示のうち、安全に関わる部分は容器包装に、それ以外をデジタルに移行できると、容器包装の表示は大きく見やすくなる。デジタルとの融合は、使い方次第で消費者と事業者双方にとってメリットがある」と話す。

スマホに加工食品の添加物などを表示する実証実験で、スマホをバーコードにかざす伊藤明子消費者庁長官(昨年11月24日、東京都江東区のイオンスタイル有明ガーデンで)
実証実験で、スマホをバーコードにかざす伊藤明子消費者庁長官(昨年11月24日、東京都江東区のイオンスタイル有明ガーデンで)

国内で製造される加工食品は、食品表示法に基づき、原材料名や栄養成分、添加物などを容器包装に表示するよう義務付けられている。4月からは、加工食品に一番多く使われた原材料の原産地表示が、完全に義務化される。

例えば、一番多く使われた原料が加工食品の場合ならば「チョコレート(ベルギー製造)」など製造地が示される。3か国以上の産地の原料を混ぜて使う場合は「輸入」と表記したり、産地の変更が多い場合は複数の産地を併記したりすることもある。

食品表示は、消費者が安全に食べるために欠かせない情報だが、現状では「見づらい」との声もある。

消費者庁が昨年3月、男女1万人に行ったアンケートによると、食品を購入する際に原材料名や栄養成分を参考にしていると答えた人は、それぞれ67%に上った。一方、原材料名の表示について不便な点を複数回答で尋ねたところ、「文字が小さくて見にくい」(26%)、「表示事項が多すぎて見にくい」(18%)の意見が寄せられた。

同庁の担当者は「原産地表示が完全義務化された後も義務表示項目が増えると、さらに見づらくなり、消費者が食品表示を十分活用できなくなる」と指摘。「より分かりやすく、手軽に食品表示を活用してもらおう」と、スマホアプリの活用などの検討を始めたという。

データの管理方法 課題

しかし、アプリの導入には課題もある。表示情報のデータ管理の方法はメーカーごとに異なり、統一した基準がない。食品情報がリアルタイムでバーコードに反映されるとは限らないケースもあるという。

同庁は来年度、食品メーカーや有識者などと官民協議会を設立し、アプリ導入の可否を含めて検討していく。伊藤明子同庁長官は「食品表示でもデジタルとリアルの融合は大切。実証実験などを重ね、どんな課題があるのかを探っていきたい」としている。(読売新聞生活部 松本彩和)

アプリの画面イメージ。アレルギー物質の情報が、色とピクトグラムで分かりやすく表示される(消費者庁提供)

消費生活コンサルタントの森田満樹さんの話

「視認性の良さ、その人に合った栄養成分が分かるのはデジタルならではの利点。一方で、バーコードを読み取る手間など使い勝手に課題もある。デジタルツールで表示する事項を精査した上で、義務ではないプラスアルファの情報を表示したり、外国人向けに対応言語を増やしたりすれば、よりよいものになる。中小企業が取り組める環境整備も必要だ」

Keywords 関連キーワードから探す