映画「パーフェクト・ノーマル・ファミリー」父が女性に、戸惑う家族

どんな家族にも、大なり小なり事件があるものだ。例えば、親が突然「性別を変えたい」と言い出すとか……。オランダ出身の女性監督マルー・ライマンが、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの父親をもった経験を基に、少女の心の動きを細やかに描く。

エマ(カヤ・トフト・ローホルト)は、地元サッカーチームの中心選手でもある活発な少女。父トマス(ミケル・ボー・フルスゴー)も娘を熱心にサポートしている。普通の幸せな家族。ところがある日、両親が急に離婚すると言い出した。「理由は、パパが女性になりたいから」

心と体の性の不一致をカミングアウトすることは、今もハードルが低くないが、映画の時代設定は1990年代末。まだ幼さが残るエマはショックを受ける。「どうして子供を作ったの?」とすら言い放つ。きっと監督自身も、少女時代にこうだったのだろう。エマの戸惑いが実に丁寧に描写される。一方、姉のカロリーネ(リーモア・ランテ)は、気にせず受け入れる。2人の対比は物語に深みを与える。時代は変わりつつあるのだ。

映画「パーフェクト・ノーマル・ファミリー」
(c)2019 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

作中には、家族の過去を撮影したホームビデオ風映像も挿入される。そこには、「男親」を演じようとするトマスの姿が見える。彼もきっと苦悩していたのだ。その心情を下手に吐露させない演出がうまい。もちろんエマも、父と向き合える時が来る。何が「ノーマル」な形なのかは、その家族次第。見た後にじわじわ思いが深まる佳作だ。

(読売新聞文化部 浅川貴道)

パーフェクト・ノーマル・ファミリー(デンマーク)1時間37分。新宿シネマカリテ。公開中。

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