スマホの写真加工、見栄えよく「盛る」・・・やり過ぎによるトラブルに注意

若い世代で、撮影した人物や風景の写真をスマートフォンのアプリなどで自分好みに加工する、いわゆる「盛る」ことは当たり前になっているが、トラブルに発展するケースもある。あまりにもかわいい顔立ちやきれいな景色の写真は、実物を見たときにがっかりさせるだけではないか。注意点を確認しておきたい。

アプリで自在 やり過ぎ注意

さいたま市の会社員女性(26)はスマホのアプリを活用して友人らとの写真を加工し、インスタグラムに投稿している。怖い顔のメイクにしたり、目や鼻をぎゅっと寄せたような表情に変えたり。「友人と盛り上がる。遊び半分で加工を楽しんでいます」

写真加工アプリで作製した自身の写真を見せ合う女性(東京都内で)

最近は様々なアプリが登場し、背景や雰囲気を変える加工もできる。

横浜市の会社員女性(24)は今年、沖縄のリゾート地に旅行に出かけたものの、ビーチはあいにくの曇り空だった。スマホで友人と記念撮影後、画像の空の部分を水色に加工して「晴れた空」に変え、インスタグラムに投稿した。「ロケーションは最高なのに、天気が曇りだと写真がえ(見栄えがよく)ない」と説明する。

今の20、30歳代は学生時代から、写真を自在に加工できるプリントシール機に親しみ、スマホでSNSに投稿することに慣れてきた。

SNSの動向に詳しい市場調査機関、MMD研究所(東京)主任研究員の妹尾亜紀子さんは「映える写真を求める若者にとって、加工は当たり前なのだろう。友人らと共有して、コミュニケーションの手段の一つになっている」と指摘する。

「『盛り』の誕生」などの著書があるメディア環境学者の久保友香さんは「若者世代は流行や他人の評価に敏感で、撮影した画像に自分の趣味や世界観を反映した加工をしてSNS上で発信し、誰かとつながろうとしている。人の役に立ち、まねされたい、画像を保存されたいといった親和欲求がある」と話す。

記者が今回取材した若者の中にも、SNSで発信力のある海外のインフルエンサーの加工を参考にしていると答えた人がいた。

仲間内で楽しむだけなら、実際と全然違う画像が許されるかもしれない。ただ、「これくらいなら問題ない」と思って加工した画像を投稿して、相手に嫌な思いをさせたり、予期せぬ事態を招いたりする恐れがある。

友人に自身の写真を加工され、SNSで勝手にアップされた女性(24)は、不快な気持ちになった。「事前に相手の了解を得ることが必要と思う」と漏らす。

住宅地図大手のゼンリン(北九州市)は11月、同社の公式ツイッターに、北海道の観光地「五稜郭」の樹木が真っ赤に色づいた紅葉の写真を投稿した。多数の「いいね」がついた一方、色合いが鮮やかすぎたことから、「(画像を)加工しているのでは」などと疑問のコメントがあがっていた。

実際の紅葉は淡い色合いだった。同社によると、撮影した30歳代の社員が色調を大幅に補正し、画像の提供を受けたSNS担当者も気付かずにアップした。広報担当者は取材に対し、写真の加工について「誇張しすぎ。誤解を招いた」と説明。ツイッター上で陳謝したうえで投稿は削除した。今後、チェックを徹底するという。

写真を魅力的に加工して、感動を共有したい――。そんな軽い思いからかもしれない。度が過ぎてトラブルなどに巻き込まれないよう、不特定多数の人が目にするSNSに投稿する時には節度やマナーを心掛けたい。

信頼失いかねず

恋人や結婚相手を探すマッチングアプリのプロフィル写真を加工する人も多い。MMD研究所が20~49歳のアプリ利用者1179人に実施した調査(2019年3月)で、自身の写真を加工している割合は女性53%、男性32%だった。

東京都の会社員男性(31)はプロフィル写真で顔のしわやほくろを消す加工をしたところ、女性とSNSでやり取りできる機会が増えた。ところが女性と対面した際、相手も加工していたように感じ、お互い気まずい雰囲気だったという。

恋愛婚活コンサルタントの菊乃さんは「婚活や仕事で自身の写真を盛りすぎると、相手の信頼を失いかねません」と話す。相手が違和感や落胆の気持ちを抱き、容姿以外にも疑いの目を向ける可能性がある。

菊乃さんは、明るい場所を選ぶなど「写真の撮り方を工夫してほしい」と助言する。(読売新聞生活部 岩浅憲史)

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