既婚の男女が交流すると不倫なの?「男女の友情」を考えてみる

先日、発言小町で異性の既婚者と友達になりたいというトピックが立ちました。トピ主のペンギンさんは、仕事や趣味で気が合うと思う人がいても、相手が異性かつ既婚者であると、女同士のように気軽に会うことができないのが残念だといいます。「女友達のように、会って雑談したり、お互い子供連れで出かけたり、長い人生の中で関わっていたかったです」と悩みをつづり、トピックの最後では「皆さんはご自身にパートナーができた後でも、異性と親しくありたいと思ったことはありますか?」と問いかけています。今回は、「男女の友情」について、外国の視点も入れながら考えてみたいと思います。

大人になってからも男友達がいます

筆者は子供の頃から、男友達よりも女友達のほうが多いです。でも、大人になってからも、数少ない男友達との付き合いを自然な形で続けてきました。筆者の出身であるドイツのミュンヘンにも昔からの男友達がいますし、20年前に日本に来て以来、ずっと付き合いのある日本人の男友達もいます。

男友達と会って何をしているかというと、お茶やランチをしながら近況報告をしたり、仕事や趣味の話をしたり、共通の友達の話をしたりと、女同士の付き合いと何ら変わりはありません。自分の中では何の違和感もないわけです。ところが、うっかりその男友達と一緒にイベントなどに出かけてしまうと、行った先でカップルとして扱われることも。そうではない旨を説明すると、「え?彼氏でもない人と一緒に出かけているの?」と周囲から疑問に思われ、戸惑うことがあります。そんなとき、「ああ…自分の感覚は日本の一般的な感覚とはだいぶ違うんだなあ」と感じます。

冒頭で紹介した発言小町のトピックのレス欄にも、異性の既婚者と交流を続けることへの違和感、不倫だと誤解されかねない懸念などが書かれていて、おそらくこれが日本では一般的な感覚なのだと思います。

ただ筆者自身は、性別にこだわり過ぎる必要はないと考えます。男性と女性が「恋愛」だとか「性的な関係」を抜きにして、趣味や仕事で交流をして感性が合うこともあるので、そういった共通点を大事にしたいと考えるタイプです。もしかしたら悩みを投稿したトピ主さんに感覚が近いかもしれません。

男女の友情が可能なのは、子供のときだけ?

男友達との交流について、日本人の女友達に話したところ、「幼稚園児じゃあるまいし、大人になってから男と女の友情は不可能」と断言されてしまいました。また「男友達」を「性的な関係も含んでいる」と誤解した人から、「男友達って言うけど、やることやってるんでしょ(性的な関係はあるんでしょ)」と言われたこともあります。

ちょっぴり複雑な気持ちになったのは、独身の頃に「一緒にいて居心地の良い人であるのなら、友達とか言っていないで、その人と結婚しちゃえば?」というような助言もあったことです。

思えば日本では、幼稚園や小学校に通う女の子が「今日は誰々君と遊んだの!」と話すと、周りの大人が「じゃあ将来は○○君と結婚だね!」なんてはやし立てることがあり、日本に来たばかりの頃はびっくりしました。というのも、ドイツでは「男の子と女の子の仲が良い」だけで、周りの大人がそのことをすぐに「結婚」に結びつける発想はないからです。もちろん日本の大人も冗談で言っているのですが、ドイツだとその発想自体がありません。

女性が男性と仲良くすると、「恋愛関係ではないのか」「結婚するのではないか」そして既婚者の場合は「不倫ではないのか」と捉えられることが日本では普通にありますが、筆者はこれになかなか慣れません。もしかしたら、昔の「男女七歳にして席を同じうせず」の名残なのでしょうか。

国による「文化の違い」なの? 

子供の頃、筆者は月曜日から金曜日はドイツの小学校に通い、土曜日は日本人学校に通っていました。思い返してみると、ドイツの小学校のほうが、男の子と女の子が一緒に遊ぶ機会が多かったです。ドイツの学校では休み時間や下校時など、何かと男女が一緒に行動することが多かったのです。でも土曜日の日本人学校では、自然な流れで、男女別に遊ぶことが多かったです。大人になった今も、当時の日本人学校の旧友と交流が続いていますが、前述の通り女の子とばかり遊んでいたため、男の子の同級生とは交流がなく、名前を思い出すことさえできません。

日本人学校で「男の子と遊んではいけません」と言われた記憶はありません。それでも、女の子が男の子と遊ぶことがあまりなかったのは、やはり当時「男の子は男の子と遊ぶのが普通」「女の子は女の子と遊ぶのが普通」だとする雰囲気があったのだと思います。

その延長線なのか、ドイツ人の女性のほうが大人になってからも男友達のいる人が多い印象です。ドイツではスノボや山登りなど趣味が同じであれば、性別に関係なく一緒に出かけて行く人が多いです。既婚者の場合は家族ぐるみで付き合ったり、パートナー公認のもと一緒に趣味に出かけたりすることも特におかしなことではありません。

私の線引き

そのようなオープンな雰囲気の中で育ったせいか、筆者は男友達というものを非常にポジティブにとらえてはいるものの、実は気をつけている点もあります。それは「どういう理由であれ同じ部屋には二人きりで泊まらない」こと、「現在進行形の仕事で定期的にかかわっている男性とはプライベートでかかわり過ぎない」ことです。

そのように自分なりのラインを引いて気をつけてはいますが、男友達は大事にしたいですし、男性と女性が二人きりで会うのがおかしいとも思いません。先日も男友達と喫茶店で3時間もおしゃべりに花を咲かせました。

やっぱり人間と人間には性別を超えたつながりもあると思うのです。そのため「男性と女性が二人きりで出かけた」と聞くや否や「デートに違いない」「恋愛関係に違いない」、果ては既婚者の場合「不倫に違いない」と解釈し騒ぎ立てることについて、あまり共感できません。

これは筆者の個人的な意見ですが、日本では性別を意識しすぎる気がします。「男女が~」というとすぐに「性的な関係に違いない」と早合点してしまう風潮があるように思います。だから女性は「周囲に誤解されるのが嫌」と考え、そもそも「男友達をつくろう」とか「交流しよう」という発想にならないのではないか、なんて想像してみました。

男と女は性的関係や恋愛だけではない――一緒に働いたり、趣味を通じてつながったり、近況報告をしたりと「女友達と変わらない関係」は可能だというのが昔も今も筆者の見解です。もちろん「気をつけながら」ですけどね。

あわせて読みたい

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト

ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住23年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。ホームページ「ハーフを考えよう!」。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)、「なぜ外国人女性は前髪を作らないのか」(中央公論新社)。


購入はこちらから↑

Keywords 関連キーワードから探す