ブームでは終わらせない!現役日芸生が仕掛けるジェンダー・ギャップ映画祭

日本大学芸術学部映画学科3年による映画祭が、12月4~10日、東京都渋谷区の「ユーロスペース」で開催されます。代表メンバーの林香那さんは、「当たり前になって気づかなくなっているジェンダーギャップを考える機会にしたい」と意気込みます。学生の映画祭への思いを聞きました。

本映画祭は、学生がテーマの設定、ゲストとの交渉や、チラシ・パンフレット制作など、映画祭にかかわる全てを担っています。今年で11回目で、2019年は「スポーツの光と影」、2020年は「中国を知る」をテーマに企画しました。

今回、ジェンダーギャップの問題をテーマに選んだのは、2月に東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗・前会長が、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言したことや、3月に「世界経済フォーラム」が発表した2021年版の男女平等度ランキングで、日本が156か国中120位であることなどが理由だといいます。

学生が自身の生活を振り返っても同様の問題が見つかりました。映画祭メンバーの母親が勤めている店では「女性は副店長どまりで、店長にはなれない」と言われてきました。ある学生は、幼少期から「女の子だけど一人娘だから、結婚するなら名字を継ぐために婿を取るように」という祖父の言葉を思い出し、「性」にまつわる問題は、自分たちにとってとても身近なものだったと気づきました。

お茶や食事の用意でせかせかと動くのは、祖父ではなく祖母ばかり。「おばあちゃん自身が、それを疑問に思うことなく行動していた」と、当事者が性による役割分担を“当たり前”と認識していることに対して疑問を感じたと言います。

2017年にハリウッドの大物プロデューサーによるセクハラを契機に、泣き寝入りしてきた被害者が声をあげた「#MeToo運動」は、日本ではあまり拡散しませんでした。「私たちの住む日本は、無意識な差別や偏見、とくに男女差別が根強く残る国だ」と林さんは指摘します。

行動する女性たちの映画15本

学生らは5月から取り上げる映画は何がいいか、時間をかけて話し合ってきました。期間中は「性差に疑問や悩みを持ち、行動してきた“女性”」を描いた15作品を上映します。

日本大学芸術学部映画学科3年の映画祭テーマは「ジェンダー・ギャップ」。上映する15映画のリスト。

たとえば、因習に抵抗するサウジアラビアの少女を描いた「少女は自転車にのって」(ハイファ・アル=マンスール、2013年)。同国初の女性監督となったアル=マンスールは、世界で唯一、女性の車や自転車の運転を禁じてきたほど女性への抑圧が厳しい同国で、10歳の少女が自転車で街を走ることを夢みる物語を描いています。

“ブーム”で終わらせない

林さんらは、「長年見過ごされてきたジェンダーギャップの問題に、映画を通じて改めて観客の方々と向き合いたい」と意気込みます。それぞれの時代や各国の価値観が無意識に反映されているのが「映画」であると感じており、今後の自分たちの生き方が見えやすい現代の作品を多く選びました。「映画祭を通じて変わりゆく男女観に気づき、幅広い層の方々と自由に語り合いたい。ジェンダーギャップの問題を一過性のブームで終わらせず、社会や制度の変化につなげていければ」と話しています。(読売新聞メディア局 渡辺友理)

ジェンダー・ギャップ映画祭
会場 ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 3階)
会期 2021年12月4日(土)〜10日(金)
上映協力 : アニモプロデュース/アルバトロス・フィルム/ギャガ/国立映画アーカイブ/ザジフィルムズ/松竹/松竹大谷図書館/セテラ・インターナショナル/タイムフライズ/東京テアトル/東宝/日活/パンドラ/ファインフィルムズ

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