寺島しのぶ 遺産相続巡り泥沼の争い「人間臭さ」が面白い

女系家族(テレビ朝日系) 12月4、5日 午後9:00
山崎豊子の同名小説が原作で、舞台を現代の大阪・船場に置き換えた。老舗木綿問屋「矢島商店」の四代目が死去し、数十億円の遺産を巡って長女・藤代(寺島しのぶ)ら3人の娘が争い出す。そこに四代目の愛人(宮沢りえ)も現れ――。

時代は変われど、人間の“業”は不変――。

「山崎(豊子)さんの本は必ずそこが書かれている。みんなが人間臭く撮れているといいな」。数々の作品で毒々しさをまとう演技を見せてきた名優は朗らかに語る。

代々婿養子を取り、女系で店を継いできた老舗木綿問屋の四代目・嘉蔵(役所広司)が亡くなり、仲の良かった娘3人と、突如現れた嘉蔵の愛人・文乃(宮沢りえ)らが 莫大ばくだい な遺産を巡って泥沼の争いを繰り広げる。

「女系家族」に出演する女優の寺島しのぶさん
寺島しのぶさん

演じるのは長女の藤代。“総領娘”の重荷を背負ってきたが、「(総領の)素養がない」と一刀両断する。「長女だからといって変に気負って、結局独りになって、不倫して、ダマされちゃう。一生懸命な分、たぶんすごくイタい女に映っていると思う。でもそこを楽しく演じられた」

取材中、何度も繰り返したのは「人間臭さ」という言葉。「面白いでしょう。きれい事では過ごせないですよね。あんなに仲が良かった姉妹なのに、すぐ敵になれちゃう。3人とも巨額のお金をもらっているのに。ほんと遺産相続だけは嫌だな……」

ダブル主演の宮沢とも、妹役の水川あさみと山本美月とも初共演。「その人の持っている間尺とか、どういうふうに本番に臨む役者さんなのかが分からない。緊張感があったけど、それが作用すれば面白い作品になる」

2夜連続の2時間スペシャルドラマで、監督・脚本は敬愛する鶴橋康夫。「最近は重厚感のあるドラマが減っている気がする」と憂えていたが、「久しぶりにドキドキする撮影になった。“ながら見”ではなく、テレビの前でじっくり見てほしい」と自信を見せた。

「今死んでもいい。やりきった」

Q 商人が使う独特の「船場言葉」で苦労は。

A 全部。関西弁は知っているけど全然違って。みんな苦労して指導されていました。

Q 女性の嫉妬と男の嫉妬の違いは。

A 周りの男を見るに、男の方がねっちょりしている。まだそんなことを覚えているのかっていうのもあるから。

Q 家族の楽しい思い出と言えば。

A やっぱり息子の学校での出来事をごはんの時に家族で聞いているときかな。

Q 今年も残りわずか。やり残したことは。

A 今日死んでもいい。やりきりました。

(文・道下航 写真・岩佐譲)

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寺島 しのぶ (てらじま・しのぶ)

1972年12月28日生まれ。京都府出身。テレビドラマや映画、舞台などで活躍し、2004年には映画「赤目四十八瀧心中未遂」で日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞、10年には「キャタピラー」でベルリン国際映画祭の最優秀女優賞を受賞。

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