お歳暮は誰に贈る?やめたい時は?トラブルを避けるマナーとしきたり

お歳暮は、お世話になった人に贈るお礼のギフトです。でも親戚間ではトラブルの原因になっているケースもあります。「親族間でお歳暮って贈るもの?」「やめたいときはどうすれば?」など、専門家に聞きました。

東京都内在住の40代の女性は、結婚当初、しゅうとめにお歳暮を贈るかどうか、夫の兄の妻である義理の姉に相談しました。義姉は、「親族間は贈らなくてもいいんじゃない?」と言ったそうです。その言葉通り、女性は贈りませんでした。しかし、義姉は結婚当初から20年間欠かさずお歳暮を贈り続けていたと知り、義姉の“抜け駆け”に血の気が引いた――。

マナーに詳しい現代礼法研究所代表の岩下宣子さんは「お歳暮の意味を知らなかったがために起きてしまった悲劇ですね」と話します。お歳暮の基本知識を知っていればこのようなトラブルは防げました。

お歳暮の基本知識

お正月にはお盆と同様に先祖の霊が帰ってくると考えられていました。ご先祖様を迎えるために親元へ持参していたものが、目上の人や、日頃お世話になった人などへお正月用品を贈る「お歳暮」となりました。室町時代から始まり、江戸、明治時代に全国に広まり、1955年(昭和30年)頃には現在のような形になったようです。

喪中は気にしなくてよい

12月初旬から25日頃までの年の暮れに贈ります。日頃の感謝を伝えるものなので、双方、「喪中」は気にしなくて構いませんが、できれば祝い事に用いられる赤白の水引は避けたほうが無難かもしれません。

消えものが好まれる

お歳暮は、好みや趣向を知っている間柄で贈るものです。本来はお供え物なので食べ物など「消えもの」が好まれます。食べるものを贈るなら相手の家の冷凍庫や冷蔵庫の空き具合にも思いを巡らせ、必要であれば「冷蔵庫を空けておいて」と事前に伝えると親切です。

アルコールが苦手な人にビールを贈ってはいけません。また「経済的に困ってるだろうから」というニュアンスを含む「現金」「肌着」「靴下」は避けてください。

一般的にハンカチは「手切れ」を連想させるため、贈り物には適さないと言われていますが、タオルハンカチをもらって気を悪くする人は少ないでしょう。普段のコミュニケーションから、何を贈ったら喜んでもらえるかくみ取ることが大切です。

親族間、親戚や姑へのお歳暮。やめたいときはどうすれば?マナーについて、現代礼法研究所代表の岩下宣子さんに聞きました。お歳暮を持つ女性のイメージ写真。
写真はイメージです
予算は?

3000円~1万円が一般的。お歳暮は長く続けるものです。無理のない範囲で贈りましょう。

お礼は・・・固定電話はNG

目下から目上へ贈るものなので、基本的にお返しは必要ありませんが、贈られた側はお礼をきちんと伝えましょう。3日以内にお礼を口頭、またははがきで伝えるといいでしょう。

携帯電話の無かった時代には、電話でお礼を伝えるのは固定電話の電話口に相手を呼び出すためNGとされていました。今はスマホが普及しているため、電話でもいいでしょう。お歳暮が届いたら、まず届いた感謝を3日以内に伝えます。お歳暮が食べ物だった場合は、食べた後に味の感想とともに再度、お礼を伝えるとベストです。

お歳暮をやめたいときは

一度の贈り物で完結する「御礼」と違い、お歳暮は「今後もお付き合いを続けたい」という意味を持ちます。岩下さんは「始めるときには覚悟が必要です」と説明します。

とはいえ、長年お歳暮を贈り合う人の中には義理感や体裁で続けていて、内心では「そろそろお歳暮をやめたいと思っている」という声も聞かれます。

60代の女性は、実家と夫の実家との間で、お歳暮の贈り合いが30年以上続いていました。しかし女性の母親は80代と高齢で、持病の悪化もあり、お歳暮を贈るのが難しくなりました。さらに、夫の実家からのお歳暮は毎年同じもので、体裁や義理を感じていました。そこで夫の実家に「今年で終わりに」と丁重に伝えると、夫の実家は体裁を重んじる家だったため、「なんで勝手にやめるのか。失礼だ」と憤慨し、関係がさらに悪化したと言います。

贈る側がやめたいとき、相手側に「金銭的に厳しい」「体が不自由になった」などと理由を説明すれば、大丈夫です。ただ、60代の女性の母のケースのように、理由を伝えても憤慨されてしまうケースでは、角が立たないお歳暮の終わらせ方があるといいます。岩下さんは「昔は、贈られたものより多く返すことで『終わり』を伝えることができた」と言います。これは一方的にもらう側がやめたいときにも使える方法です。

例えば、3000円のものをもらったら、6000円のものを贈り返します。本来はお返しの要らないお歳暮です。お返しするとしても半返し、贈り合うなら同等。それを、あえて倍返しし、相手に気を使わせることで「やめたい」という意思表示になると説明します。

「昔はこういった暗黙のルールが数多くありましたが、現代では伝わりにくいかもしれません。お歳暮を贈るのが難しくなった理由に加え、これまでのお付き合いへの感謝を伝えれば、普通はトラブルになることなくお歳暮を終わらせることができるのではないでしょうか」とアドバイスしています。

(読売新聞メディア局 渡辺友理)

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