映画「エターナルズ」新ヒーロー 戦いも多様化

監督・脚本は、中国出身のクロエ・ジャオ。「ノマドランド」で、白人以外の女性で初の米アカデミー監督賞に輝いた注目の新鋭が、マーベル・スタジオの大作を手がけた。「アイアンマン」(2008年)以来続いてきたマーベル・シネマティック・ユニバースのスーパーヒーローたちの活躍は、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(19年)で一つの区切りを迎えたが、本作をもって新たな戦いが幕を開ける。

困難に立ち向かうのは、不老の種族「エターナルズ」。超人的なパワーを持つ男女10人のチームは、7000年前、最古の敵ディヴィアンツから人類を守るため、地球に降り立った。後に世界各地へと散らばり、人間の姿に身をやつし、人類の営みをひそかに見守り続けている。

アベンジャーズが不在となった地球に、またも滅亡の危機が迫る。残された時間は7日間。英国ロンドンで学芸員として暮らすセルシ(ジェンマ・チャン)は、かつての恋人で、事態をいち早く察知した最強の戦士イカリス(リチャード・マッデン)らと共に、仲間を結集すべく動き出す。

エターナルズ
(c)Marvel Studios 2021

物語のリアリティーや、大自然の雄大な映像美が持ち味のジャオ。コミックのキャラクターが、CGを駆使した派手なバトルを繰り広げるアクション大作とは、水と油なのではないかとも思ったが、杞憂きゆうだった。

物質を別のものに変換できるセルシを始め、空を飛ぶイカリス、武器を自在に出現させるセナ(アンジェリーナ・ジョリー)らは、最新のVFXでその能力を存分に発揮する。一方で、海辺などでのロケ撮影を多用した、ジャオらしい詩的な映像の中で、繊細な心の葛藤を色濃く見せるのだ。

冗談を言い合いつつ、誰もが弱さをにじませ、戦士としての存在意義を己に問う。何のために戦うのか。自分たちは救済者なのか、単なる殺人者か。ヒーローの内面に光を当ててきたマーベル映画でも、これほど深く思い悩む姿は珍しい。

驚くべきは、悪役が不在に見えること。ディヴィアンツにも、彼らの論理がある。「守るべきもの」がそれぞれ異なるエターナルズ。戦う相手はチームの中に現れる。敵も味方も判然としない、不確かで複雑な世界を生きるよすがとなるもの。それは「愛」だ。直球のメッセージが胸を打ち抜く。

10人の中には、子供の姿をした者もいれば、障害がある者、同性を愛する者も。演じる俳優たちの肌の色も様々だ。それこそ、私たちの生きる世界。温かな手触りで、ヒーローの歴史は更新された。まぎれもない野心作だ。

(読売新聞文化部 山田恵美)

「エターナルズ」(米)2時間36分。TOHOシネマズ日比谷など。公開中。

◇    ◇    ◇

読売新聞文化部の映画担当記者が、国内外の新作映画の見どころを紹介します。
読売新聞オンライン「エンタメ・文化」コーナーはこちら

あなたのきょうの運勢は? 12星座ランキング 

あわせて読みたい

OTEKOMACHI(大手小町)は働く女性を応援するサイト。キャリアやライフスタイルに関する情報が満載です!

Keywords 関連キーワードから探す