映画「燃えよ剣」岡田准一が指導した武士の動き、滑らかで躍動的

幕末に活躍した新選組の副長、土方歳三(岡田准一)の鮮烈な生涯を描く。原作は司馬遼太郎の小説で、原田眞人監督と岡田のタッグは「関ヶ原」以来4年ぶり。剣に人生を託し、時流に乗るよりも己の美学を貫くことを選んだ男の物語だ。

武蔵国・多摩地域の農家に生まれた土方は、イバラのように、触れるとけがをする乱暴者「バラガキ」と呼ばれていた。盟友の近藤勇(鈴木亮平)や沖田総司(山田涼介)らと京都に上り、新選組を結成すると、倒幕を目指す志士や裏切り者を斬りまくる。

思想や政治力学よりも、路地や町家での激しい殺陣の描写に重点が置かれる。土方らは手段を選ばず、集団で待ち伏せて斬りかかる。演じる岡田は、原田監督に任されて土方の殺陣を全て考え、周囲の武士の動きも指導した。そのため、集団が同時に斬り合う複雑な場面も、驚くほど滑らかで躍動的だ。

(c)2021「燃えよ剣」製作委員会

新選組が長州藩士らが潜伏する池田屋を襲撃する場面は、血のにおいが漂ってきそうなほど壮絶だ。あまりに生々しく、「これが幕末の現実かも」と思わせてくれる。緊迫感の中で、沖田の無邪気さや、町人出身の隊士・山崎烝(村本大輔)が早口でまくし立てる軽妙さが救いだ。

大政奉還後、旧幕府軍が敗色濃厚になっても、土方は蝦夷えぞ地などを転戦する。手に汗握る展開だが、全体的にテンポが速く、説明が少ないため、時代背景や人間関係を予習して見るのがおすすめ。(読売新聞文化部・久保拓)

燃えよ剣(東宝ほか)2時間28分。TOHOシネマズ日比谷など。公開中。

◇    ◇    ◇

読売新聞文化部の映画担当記者が、国内外の新作映画の見どころを紹介します。
読売新聞オンライン「エンタメ・文化」コーナーはこちら

あわせて読みたい

Keywords 関連キーワードから探す