秋だから東京會舘とパレスホテルで「マロンシャン」を食べ比べてみた

甘いケーキを食べて、ほっこりしたい季節。秋の定番ケーキといえばモンブランですが、旬の栗を使った日本生まれの伝統あるケーキはいかがですか。生クリームの中に栗のペーストが入った、東京會舘(東京都千代田区)の「マロンシャンテリー」とパレスホテル東京(東京都千代田区)の「マロンシャンティイ」です。

呼び方が違うのはなぜ?

「マロンシャンテリー」は、東京會舘の初代製菓長・勝目清鷹(1900~1972)が、モンブランケーキをヒントに1950年頃、日本人向けにアレンジして発案したと言われています。ホイップクリームを意味するシャンティ(chantilly)をカタカナ読みし、日本人になじみやすいよう「シャンテリー」と命名したようです。

一方、パレスホテル東京は「マロンシャンティイ」と呼んでいますが、実は元々は同じ「マロンシャンテリー」でした。

1961年の創業時、パレスホテル東京は、東京會舘の取締役調理部長だった田中徳三郎をパレスホテルの総料理長として迎え入れました。その際、「マロンシャンテリー」を含む数々のレシピがパレスホテルに受け継がれ、ホテルを建て替えた2012年、「マロンシャンティイ」と名称を変更、レシピもオリジナルになったそうです。

東京會舘のマロンシャンテリー

まず、東京會舘1階の「ロッシニテラス」を訪れました。運ばれてきたのは、まるでウェディングドレスの花嫁がたたずんでいるような、真っ白なデザート。東京會舘「レストラン プルニエ」調理長の松本浩之さんが、「動物性の生クリームだけだと黄色っぽくなってしまうので、動物性と植物性をブレンドしています」と、白さの秘密を教えてくれました。

クリームのデコレーションは、縦に入った細い線がスカートのプリーツを思わせます。しばし、その美しさに目を奪われてしまいました。たっぷりとしたクリームは、見た目より軽く、「コース料理の後にも食べられるようになっています」と松本さん。マロンシャンテリーのクリームを絞る技術は、東京會舘のパティシエたちが最初に学ぶものだそうです。

70年前から変わらないレシピで提供される「マロンシャンテリー(ノーマル)」(1100円 税込・サービス料別)と、季節ごとに登場する季節限定のフレーバーがあります。

【マロンシャンテリー(ノーマル)】

ナイフを通してみると、とてもやわらかく、抵抗なく切ることができます。裏ごしした栗は、鮮やかな黄金色。栗のしっかりとした甘みと、甘さ控えめなクリームの一体感が素晴らしい一品です。

東京會舘のマロンシャンテリー(ノーマル)

【笠間産和栗のプレミアムマロンシャンテリー】

茨城県の笠間産和栗を使用した季節限定品(1870円税込・サービス料別)です。栗ならではの渋みがあり、甘さは控えめ。深くて渋い茶色をしています。そぼろ状の栗は、舌触りはとてもなめらか。栗の味が濃いので、秋の味覚をより楽しみたい人にお勧めです。

東京會舘の和栗のプレミアムマロンシャンテリー

松本さんは「栗と生クリームだけのシンプルなデザートだからこそ、パティシエの腕と素材が問われるお菓子です。シンプル・イズ・ベストの極みです」と話します。

パレスホテル東京のマロンシャンティイ

パレスホテル東京のロビーラウンジ 「ザ パレス ラウンジ」で、秋限定スイーツとして登場する「プレミアムマロンシャンティイ」(2060円・税、サービス料込)。毎年の楽しみにしている人も多いようです。

パレスホテルのマロンシャンティイ

高知県の四万十川流域の和栗を使用し、クリームに和三盆糖を使用しています。デコレーションも東京會舘とは、ちょっと違います。ケーキの下の部分のクリームが、横向きに絞り出されています。ナイフを差し込むと、しっかりとした感触で、あまり崩れません。栗ペーストは、粗めに裏ごしされ、小さな粒を残すことで食感に変化が加わっています。全体的にボリューム感があり、食べ応えがありました。

日本生まれの栗の洋菓子。ほっと一息つきたいときに、甘くてほっこりした栗と優しいクリームが、疲れを癒やしてくれるのではないでしょうか。

(読売新聞メディア局 渡辺友理)

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