朝の「パンティッシュ」は子供の教育上いけない非常識な行為?

読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、食事のマナーや作法、行儀にまつわるトピが多く寄せられます。これまでも、「刺身をパックのまま食卓に出していいか論争」「お茶碗に残ったごはん粒を巡る米騒動」「炊飯器の内釜で米を研ぐガサツな女問題」など、テレビの情報番組や家電メーカーも巻き込み、激しい議論が行われました。今回は、パンにティッシュの是非を巡るパンティッシュ論争。朝食のパンをティッシュにのせて子どもに出したら、夫から注意された――。

「子どもが変なことを覚えるといけない」

朝食にパンを出すとき、お皿の代わりにティッシュを使うというトピ主の「トカゲモドキ」さん。その様子を見た夫は、「子どもが変なことを覚えるといけないから、これからは皿にのせて」ととがめ、教育上問題があると指摘したというのです。

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トピ主は発言小町に「確かに良くはないと思いますが、そんなにダメでしょうか」と問いかけました。

このトピに150件を超える反響(レス)が寄せられました。「なぜティッシュを皿の代わりにするの?」と、びっくり仰天した様子がうかがえる反応が目立ちました。

「洗うのが大変だから、捨てて済むティッシュにパンを置きたい? でも、ティッシュなんて少し何かが触れれば形は崩れるし、テーブルから落ちるし、パンくずやティッシュ自体の掃除のほうが面倒そう」(「それは…」さん)。

「外出先でおやつのクッキーをティッシュペーパーの上にのせて出したことはありますが、自宅の食事で、それがたとえパンであっても、ティッシュをお皿代わりにするのは私には考えられません」(「紫陽花(しょか)」さん)。

「ティッシュに置いたパンって『食えればいいんだろ』って感じで悲しくなりませんか?」(「心を満たす場所」さん)

「ズボラな私でも食事をティッシュにはのせない」という「mayuko」さんは、「パンのときは、大きめのお皿を使っておかずとパンををワンプレートで出すようにしています。よその人がそれを見たらちょっと恥ずかしいと思うことは、お子さんの前でしない方がいいと思います」と忠告します。

「誰に迷惑をかけているわけでもない」

「合理的な行為の何がいけないの?」と、お皿代わりのティッシュを擁護する意見もあります。

朝食のパンティッシュについて、「私もよくやっていました。実家はごはん派で、しかも朝早いために、私は一人でパンを焼いて、皿を出すのが面倒でティッシュにのせて食べていました」と自らの朝食スタイルを紹介したのは「なまけもの」さん。「年頃になれば、テレビとか漫画とか雑誌とかで、普通に(マナーではないと)気付くし、社会人になってから、頂き物のお菓子をティッシュにのせることもあったので、そんなに最悪なことでもないと思う」と理解を示しました。

「猫缶」さんは、「ここのレスを見て、パンティッシュがこんなにダメだったなんて初めて知りました。我が家では旦那も普通にそうするし、義母も実母もみんなそうです。お客さまにはそんなことしないけど」と生粋のパンティッシュ派を表明します。

「誰に迷惑をかけているわけでもないし、別にいいのでは」と、「もも」さんは過熱しそうな議論に距離を置きます。

「パンなんて袋のまま置いとけばいい」と言い切った「あさみ」さんは、「大袋のパンでも、そのままドーンと置いておけば。子どもが自分で食べたいだけ取って食べるでしょ? ズボラなら、そこまで徹底すればいいと思います」とアドバイス。手軽に食べられるパンならではの時短アイデアの追求です。

ティッシュペーパーというのが気に入らない人も多いようで、「紙ナプキンを敷いたトレー」「アルミホイル」「ペーパータオル」「業務用のワックスペーパー」など、お皿の代用品のアイデアも散見されました。

朝食のパンをティッシュにのせる「パンティッシュ」はマナー違反?
写真はイメージです

「常識を食卓で教えるのは親の役目」

食育の専門家に意見を求めました。NPO法人「食育研究会MoguMogu」代表の松成容子さんは、「パンをティッシュにのせて出すことは『あり』」と認めつつ、「『これが普通ではない』と子どもにしっかり分かってもらうこと」と必須条件をつけます。 

「食卓は子どもがマナーや常識を学ぶ場所でもあります。うっかり『パンはティッシュにのせて食べるもの』という誤った常識を身に付けてしまうと、修学旅行や合宿などで子どもが恥をかき、自信を失ってしまうかもしれません。子どもが社会に出て困らないように、一般的な常識を食卓で教えるのは親の役目。日々の積み重ねが大切です」

さらに、松成さんは忙しい親に向けて、「できるだけ食事中は、子どもと同じ空間にいることを大切にしてほしい」とアドバイスします。「『いただきます』に『めしあがれ』と応じ、『おいしい?』『まだ残っているよ』などの言葉をかけ、『あなたのことを思っているよ』というメッセージを空気感で伝えてください。その気配りを通して、子どもは親からの愛情を受け取っています」と説明します。

理想的なのは、数分だけでも子どもと同じ食卓に座り一緒に食事をすることですが、難しい場合は別の家事をしながらでも、近い距離で子どもに気を配ることが重要だそうです。「パンティッシュ」は、家庭が忙しさでキリキリとしないための応急処置。時短した分で、子どもと笑顔で過ごせる時間が増えるといいですね。

(読売新聞メディア局 原啓一郎)

【紹介したトピ】▽パンをティッシュに載せて子どもに出すと夫に注意されます。

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