アフガニスタンの女性や子供の命を守るために、私たちができること

アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが首都カブールを制圧してから、1か月余りがたちました。現地の厳しい状況を伝えるため、日本の支援団体がオンラインイベントを開催。人道支援に携わっているアフガニスタンの人が生出演し、「私たちの状況を知ってほしい」と訴えました。

イベントは、20年にわたってアフガニスタンで女性や子供の教育、保健衛生などの人道的な支援を続けてきたジャパン・プラットホーム(JPF)が15日に開きました。「人道危機下のアフガニスタン、現場からの友の声~今、私たちができること」と題して、日本と現地から計4人が支援の状況などを報告。約200人が参加しました。

JPF代表理事の小美野剛さんは、「アフガニスタンは災害の多い国で、干ばつによる食糧危機もあり、食糧配布などの栄養支援をしてきました。コロナ対策も取り組んでいました」と、最近の支援状況を説明しました。特定非営利活動法人ジェンの木山啓子理事は、これらの問題に加え、タリバンが全土を掌握してからの米国による資金凍結の影響を指摘しました。

※お金をおろすために銀行前に集まる人々、2021年9月14日撮影(ジャパン・プラットフォーム提供)

米政府は米国内にあったアフガン政府の預金を凍結。アフガニスタン国内の銀行は機能不全に陥っており、「週に200ドルずつ引き出せると言われていますが、銀行が閉まっていてお金が引き出せない。物価も高騰しています」と、木山さんは危機感を募らせます。現地で人道支援の活動をしているアフガニスタン人男性は、「現金がないため路上で家財道具などを売る人がたくさんいます。食べ物を買うために家で必要なものまで売っているのです」と生活の困窮ぶりを伝えます。

かつてのタリバン政権下では女性の権利が著しく制限されていたことから、特に女性たちの不安は大きいとされます。現地の女性は「オフィスには男性と一緒であれば通勤できますが、それ以外の外出は恐怖と不安からできません。前と同じようには暮らせないのです」と打ち明けます。

ただ、ジェンではナンガルハル県で女子の教育支援プログラムを9月初めに再開しました。木山さんによると、「タリバン側も人道支援を望んでおり、地域で話し合いが持たれ、安全の保障が約束されたため再開できた」といいます。

アフガニスタンの人々の命を守るために最も優先されるべきことは何か。登壇者は、資金凍結の解除を求めていました。「紛争で夫を亡くした何百万人もの女性たちは、政府の給付で暮らしていましたが、給付がストップしてしまいました。NGOの支援も滞っています。まずは資産凍結をやめてほしい」と訴えました。

また、住民の国外退避に関する報道がありますが、ほとんどのアフガニスタン人はそこで暮らし続けています。現地の男性は、「家族は私を頼りにしていて、この国を出ることはできません。自分たちの国を、子供たちが安心して過ごせる国にしなくてはなりません」と覚悟と決意を示しました。

そして日本の私たちに今できることとして、人々の命が危険にさらされていることを知り、伝えることが大事だと訴えました。現地の二人は、「複数の危機が存在する史上最悪の状況。日本はこれまでニーズに合った支援をしてくれたし、感謝しています。この危機がまもなく終わることを願っています。人命を救う支援を続けてほしいし、問題にし続けてほしい」と力を込めました。

モデレーターを務めたジャーナリストの浜田敬子さんは、イベント終了後に、アフガニスタンで起きていることは日本と全く関係ないわけではないとコメントしました。「コロナや災害で一番苦しい目に遭うのは、弱い立場にある女性や子供です。日本でもコロナで非正規の女性たちが雇い止めに遭うなど苦しくなっています。政策決定の場に女性が少なく、賃金格差も大きく、家父長制が根強く残っている。ジェンダーギャップ指数が世界でも低水準にある日本は、構造的にはアフガニスタンと同じなのではないかと感じています」

 そして、「現地の二人は、危険を冒して参加してくれました。直接伝えてもらったことはとても大きい。人々の命が脅かされ、水や食糧、お金がなく、先が危ういという現状を正しく認識することが大切です。私たちにできることは、こうした状況を報道やSNSで拡散することです」と話しています。(読売新聞メディア局 小坂佳子)

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