HiHi Jetsと「美 少年」 若さぶつけ、初主演舞台で好演

ジャニーズJr.の5人組「HiHi Jets」と6人組「美 少年」が初主演を務める舞台「少年たち 君にこの歌を」が、9月5日~27日、東京・新橋演舞場で上演されています。この作品は、Kis-My-Ft2、A.B.C-Z、ジャニーズWESTSixTONESSnow ManらがジャニーズJr.時代に出演していたことから、「若手の登竜門」とも呼ばれています。先輩たちから伝統のバトンを受け継いだ2グループは、若さとあふれるエネルギーをこの舞台にぶつけています。

「少年たち」の初演は1969年で、ジャニーズ屈指の歴史のある作品。少年刑務所を舞台に、少年たちの友情、夢に向かう力強い姿などを描いています。2010年に復活し、演者や演出、ストーリーの一部を変えながら上演されてきました。今回は、滝沢秀明さんが演出を担当しています。

原点回帰した筋立て、定番曲も満載

「若手の登竜門」に挑む、HiHi Jets(左)、と美少年のメンバー

記者は、初日前に行われた公開稽古を取材しました。コロナ禍ということもあり、休憩なしの約1時間45分に凝縮された舞台はテンポよく、満足度の高いものでした。

様々な事情を抱えて少年刑務所に収監され、けんかを繰り返していた少年たち。ある日、井上瑞稀さん(HiHi Jets)の弟が危篤だということを知り、厳しい看守に反抗して脱獄を試みる中で、互いの結束を深めたり、過ちを認めて将来を見つめ直したりする――というのが今回のストーリーです。これはKis-My-Ft2、A.B.C-Zらが出演していた頃のものと同様で、ストーリーが原点回帰したことで舞台の主題がより明確になったように思います。今回、HiHi Jetsと美少年が初めて主演を張るということを踏まえると、内容が原点回帰したことはふさわしいようにも感じます。

ストーリーのほか、劇中の定番曲も踏襲されていました。これも、「少年たち」ファンにはうれしい選曲です。一方、ストーリーや曲を継承しつつも、衣装、照明、セットなどはスタイリッシュになっていて、そこは「令和版」といったところでしょうか。

メンバーのキャラクターに合った配役も印象的でした。例えば、ラップが得意な猪狩蒼弥さん(HiHi Jets)は、ラップの道に進みたかったものの、反対されて父親を刺してしまったという役どころです。受験に失敗して親の期待に応えられなかった、振り込め詐欺(オレオレ詐欺)に手を染めたなど、各自の個性を生かしつつ、現代社会を反映した設定が目立ちました。

何より、以前彼らが出演していた舞台などと比較して、セリフの言い回しや表情、ちょっとしたしぐさに演技の上達ぶりが見て取れ、芝居に厚みが増したように感じました。なので、少年たちが抱える事情、罪を犯した背景がスーッと入ってきます。技術的には少し粗い部分も否めませんが、それもフレッシュさゆえ。この舞台で約1か月間主演を務めることで、さらにスキルを磨いていくでしょう。

刑務所の日常を描く場面では、全員で「おけダンス」を披露。全裸に見える少年たちが桶で下半身を隠しながら踊るシーンで、この舞台の“名物”の一つです。シリアスな芝居が続く中、コミカルな動きやアドリブで笑いが起き、客席が和む数少ない場面でもあります。

芝居の後は、歌などで構成されるショータイムで観客を楽しませます。滝沢さん肝いりの演目という「Crash Beat」は、8分間に及ぶダイナミックな太鼓の演奏。それぞれの太鼓に上から水が降り注ぐ中、一糸乱れぬパフォーマンスを披露し、見応えがありました。太鼓と水の組み合わせは、これまで滝沢さんが手掛けてきた舞台の“鉄板演出”で、らしさが色濃く出ていました。

和気あいあい、仲の良さがにじみ出る会見

公開稽古後の会見では、初日を迎える感想を聞かれ、高橋優斗(HiHi Jets)さんは「舞台の主演は初めてなので、どういう思いをお届けできるのか、不安はありますがワクワクしています。このご時世の中で公演させていただけるということに感謝しながら、毎日公演をしていきたいなと思います」と語りました。

岩崎大昇さん(美少年)は、「やっと来たかと…。公演の発表はすごく早くて、その時は『まだ先の話かな』と思っていたのですが、あっという間に初日まで来てしまいました。実は、通して舞台をやったのは今日が初めてだったんですよ」とぶっちゃけ(?)発言。もちろん、部分ごとやグループごとでは稽古を重ねていたということですが、記者は、通し稽古が初めてだったわりに完成度が高かったことに驚き、ジャニーズJr.たちの対応力の高さを感じました。

これまで「少年たち」に出演した先輩たちはCDデビューを実現しており、縁起のいい作品でもあります。それをどう受け止めているかを尋ねられると、高橋さんは「やっぱりそこは一つの大きな目標ではあるので、常に貪欲に追いかけていきたい。こうやって歴史ある舞台を引き継がせていただいたことも、今後、自信につながると思います」と意欲を見せました。続いて、岩崎さんが「劇場入りして、『あっ、これはデビューだ』と……」と明かすと、猪狩さんに「せめて(公演を)成し遂げてからだよ!」と突っ込まれるなど、和気あいあいとした雰囲気を見せました。

それもそのはず、2グループは結成時期が近く、これまでも互いのライブを見学したり、一緒にパフォーマンスをしたり、切磋琢磨せっさたくまして歩んできました。会見では、グループの垣根をこえて発言にツッコミを入れ、フォローするなど、軽妙なやり取りから、2グループのチームワークの良さがうかがえました。

主演舞台で芝居、歌、ダンスなどに幅広く挑む中、メンバーたちは可能性を広げていくでしょう。彼らが5年後、10年後、どんなアイドル人生を歩んでいるか、想像するととても楽しみになると同時に、すがすがしい気持ちで劇場をあとにしました。

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山村翠 (やまむら・みどり)

読売新聞東京本社生活部に在籍。中学生の頃に先輩のバックで踊るKinKi Kidsの堂本光一さんを見て沼に落ち、20年以上、ジャニーズを応援。ジャニーズのコンサートや舞台を取材・執筆し、タレントにインタビューをするほか、プライベートでも様々なグループの公演に足を運ぶ。

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