車イス利用者も、障害がない人もオシャレに着られるボトモールとは

共生社会などを理念に掲げる東京パラリンピックが閉幕したが、ファッション界でも多様性の取り組みが広がっている。一般社団法人「日本障がい者ファッション協会」(大阪)代表理事の平林景さん(44)もその一人。2022年秋にはパリで、車イス利用者らをモデルにしたファッションショーの開催を目指している。

平林さんが19年、同協会が手がけるブランド「ボトモール」を作ったきっかけの一つが、車イス利用者のある言葉だった。

障害の有無や性別を問わずにはける「ボトモール」を着用する女性
障害の有無や性別を問わずにはける「ボトモール」を着用する女性 (提供写真)

「オシャレは平等」

「年齢を重ねるごとに、オシャレをしたいという気持ちを封印した」。試着室に入れなかったり、服の着脱が困難だったりするからだという。若い頃は美容師だった平林さんは着飾ることの楽しさを知っているからこそ、胸が締め付けられた。「オシャレは平等。誰もが簡単に着られて、オシャレになれるアイテムがあればいいのに」

発達障害児らを対象にした放課後等デイサービス施設も運営していて、「きつい」「人手不足」など福祉業界のイメージを改善する必要性も感じていた。「障害の有無を問わずファッションを楽しめる社会にし、福祉業界の印象を明るく変えたいと思った」

まず取り組んだのが、障害があってもなくても着られるオシャレな服作りだ。車イス利用者や福祉現場の人たちと意見交換を重ねて完成したのが、いわゆる巻きスカートだ。ただ、スカートという名称は男性に抵抗がある。そこで、英語の「ボトムス」と「オール(すべて)」を合わせた造語を作り、商品名もブランド名も「ボトモール」とした。

座席に広げて座れば腰に巻くことができ、面ファスナーやスナップボタンなどで留める仕組み。一般的に服は立ち姿が美しく見えるようにデザインされるが、プリーツの幅を広くするなどして座っている時も格好良く見えるように工夫した。長時間座っていてもシワになりにくい伸縮性のある素材を使う。

平林さんにとってボトモールは「正装」という。白いシャツやショートブーツ、パールのネックレスなどと合わせて着こなす。

ほかにも、背中がシワになりにくいように丈を短くしたジャケットや、袖が車輪に巻き込まれないようにマグネットで留められる服なども開発した。10月から百貨店で期間限定の店を開き、一部の商品を販売する予定という。

パリでショー開催へ

来年秋、パリコレ期間中のパリ市内で、和装を含めたボトモールのコレクションを車イス利用者のモデルらが披露する予定だ。テーマは「If(もしも)」。車イスに乗ることが当たり前の世界だったら、どんなデザインが生まれていたのか。「おしゃれの最高峰で、『車イスだからこそ、格好良く着こなせる』という服を発信したい」

和装の「ボトモール」を着用する平林さん(提供写真)

(読売新聞生活部 梶彩夏)
※読売新聞のファッション記事は、モードUPDATEでも読むことができます。

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平林 景 (ひらばやし・けい)

1977年、大阪市生まれ。美容師、美容専門学校の教員などを経て、2016年に放課後等デイサービス事業所を設立。19年から日本障がい者ファッション協会の代表理事を務める。

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