映画「イン・ザ・ハイツ」移民の悲喜 あふれる歌

イン・ザ・ハイツ(米)

2008年のトニー賞で、作品賞など4冠に輝いたブロードウェー・ミュージカルの映画化。サルサ、メレンゲといったラテン音楽に、ヒップホップやR&B。はじけるリズムに乗り、老若男女が歌い踊る。むせ返る熱気と、爽やかな感動が押し寄せる快作だ。

ニューヨーク・マンハッタン最北部のワシントン・ハイツは、ドミニカ共和国など中南米にルーツを持つラティーノが住む実在の街。今は再開発が進み、新天地へ向かう者も。親が残した雑貨店を営むウスナビ(アンソニー・ラモス=写真手前左)は故国に戻るつもりだ。デザイナーを夢見るバネッサへの恋心は届かない。名門大に通うニーナは悩みを抱えている。

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中南米から移民した若者の青春を描くミュージカル映画といえば、「ウエスト・サイド物語」(1961年)が浮かぶ。本作は、土地に根付いた数世代が紡ぐストーリー。時が流れてもなお「自分は何者か」との問いはついて回り、差別や偏見もなくならない。「小さな誇り」を。コミュニティーの長老の言葉に、若い世代は奮い立つ。

もう一つ、彼らの心に火をつけるのが音楽だ。リン・マニュエル・ミランダが手がけたメロディーは街にあふれる音を取り込みビートを刻む。嘆きや喜びが歌となってあふれ出す。監督は、キャストをアジア系で固めたハリウッド映画「クレイジー・リッチ!」を当てたジョン・M・チュウ。本作では俳優としては無名のラティーノを起用、爆発的パフォーマンスを引き出した。(山田恵美)

イン・ザ・ハイツ(米)2時間23分。新宿ピカデリーなど。公開中。

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