マスクに消毒回数、コロナで変わる結婚相手の条件とは?

2020年の国内の婚姻件数は、戦後最少になった。新型コロナウイルスの流行で仕事を失い、外出自粛から出会いもなくなるなど、結婚には逆風が吹く。厳しい環境の中で幸せを望む若い世代の姿から、結婚事情を考える。

恋は短期決戦に

「婚活は有事。不要不急ではない」。千葉県に住むメーカー勤務の女性(32)は今、切実にそう感じる。就職後、転勤を繰り返すうち、女友達は次々と結婚していった。「人生を逆算し、そろそろ相手探しに本気で取り組もう」と思っていたところ、新型コロナウイルスが流行し始めた。出勤は週1~2回に減り、出会いも皆無に。

「自分から動かないとダメだ」。コロナに背中を押され、全国展開する結婚相談所「パートナーエージェント」に昨年9月入会。「私の投げかけた話題を広げてくれて聞き上手」という相手と出会い、3月に退会した。3密回避も意識し、公園でのバドミントンなどでデートを続けるうち、結婚に向けて気持ちが盛り上がってきた。「婚活と恋愛は別物と思っていたけれど、婚活にも好きの気持ちが伴うことを知りました」

外出自粛が呼びかけられたこの1年余り、出会いの機会は大幅に減った。だが、阻むものがあってこそ燃えるのが恋。積極的に婚活に励む人も少なくないようだ。

内閣府の昨年5~6月の調査では、20~30代の3割以上が「コロナ下で結婚への関心が高まった」と答えた。婚活サービスも活気づいており、マッチングアプリ「ペアーズ」の昨年のダウンロード数は、前年比1・7倍に上昇した。

「ペアーズ」の画面。「今年中に相手を見つけたい」などのテーマ別グループでも相手を探せる(運営会社提供)

西日本で展開する結婚相談所「フィオーレ」でも、4月の新規入会者数は昨年同期の3・6倍に伸びた。運営会社社長の吉末育宏さんは、婚活の仕方が変わってきたと感じるという。「以前は何度も会い、じっくり相手を見定めていた。今はデートの回数が少なくても、少ないチャンスを生かそうと結婚相手を決める判断が早くなった」

パートナーエージェントを運営する「タメニー」(東京)の担当者も、年収などの条件に加え、デート時のマスク着用や消毒の頻度が判断基準に加わり、自分に合う人なのか瞬時に見極めるようになったと言う。

一方、婚活サービス大手「IBJ」が2月に行った男女約1300人の調査では、コロナ禍の婚活のデメリットについて、9割が「デートがしづらくなった」を挙げた。恋愛に欠かせない外出や食事を気軽にできないという難しさが浮かび上がっている。

かつては震災婚、絆婚も

困難な社会状況下では、安心感を求めて結婚願望が強まると言われる。例えば10年前の東日本大震災後、注目された「震災婚」や「絆婚」だ。第一生命経済研究所の研究員、世良多加紘たかひろさん(29)は「コロナ禍でも、パートナーの存在や家族のつながりの大切さを認識するようになった人が多い」と話す。

世良さん自身、コロナ以前から交際していた女性と2月に結婚した。昨年春の緊急事態宣言で外出を自粛し、気持ちが落ち込んだ時、その女性との電話が精神的な支えになったという。ただ、遠方の親同士の顔合わせが半年ほど遅れ、結婚時期も延びた。

コロナ禍でも震災後と同じように結婚を求める熱は高まるのだろうか。世良さんは、「震災の年も実際には婚姻件数は減った。経済への影響で収入面での不安などから結婚に踏み出しにくいことに加え、コロナ禍では出会いの減少で結婚件数はさらに減るのではないか」とみている。

(読売新聞生活部 遠藤富美子、及川昭夫)
 

Keywords 関連キーワードから探す