映画「RUN」狂気の母と逃げる娘の濃密なサイコ・スリラー

RUN/ラン(米)

母と娘の愛情に満ちた関係が、一転して恐怖に変わる。デビュー作「search/サーチ」が評判を呼んだアニーシュ・チャガンティ監督の2作目は、クラシックで濃密なサイコ・スリラーだ。

主人公は車いすで暮らす17歳の女性クロエ(キーラ・アレン=写真手前)。生まれつき病弱で、ぜんそくや糖尿病など様々な病を患う。それでも前向きで、地元の大学に進学し、寮生活を送ろうと夢見ている。彼女を完璧に世話する母親(サラ・ポールソン=同奥)も、夢を応援していた。だがある日、クロエに疑念が生じる。母親が自分に飲ませようとする薬が、どうもおかしい。やがて、恐ろしい真実が明らかになる。

そこからは絶体絶命の連続だ。狂気の母親がクロエを追い詰める。クロエは家から逃げようとするが、ぜんそくの発作が起きる。昇降機の電源が切られ、2階から1階へ下りられない。身体的なハンデが生む危機。それを知恵と意志の力で切り抜けていく面白さ。

演じるアレンは実生活でも車いすで暮らすという。クロエが2階の屋根をはって、窓から窓へと移動する場面の緊迫感。優しい母親から怪物へと変じるポールソンの演技にも圧倒された。

チャガンティ監督の演出は強烈で、ヒチコックよりもロバート・アルドリッチを思わせる。子供から大人へ、少女が成長する物語でもあり、終盤は感動的なのだが、それだけでは終わらない。後味はかなりブラックだ。(編集委員 小梶勝男)

RUN/ラン(米)1時間30分。TOHOシネマズ日本橋など。公開中。

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