野球選手の夢手放した仲村トオル「女性を応援する気持ちで語る」

八月は夜のバッティングセンターで。(テレビ東京系) 水曜深夜1:10(7月7日スタート)
高校生の夏葉舞(関水渚)がアルバイトをするバッティングセンターには、謎の男性・伊藤智弘(仲村トオル)がいる。「スイングを見るだけで悩みがわかる」という伊藤が、訪れた女性たちの悩みを野球に絡めた独自の理論で解決に導く。

一度手放してしまった野球選手への夢が、俳優としての今の自分を支えている。

「不完全燃焼だったあの頃を、俳優という仕事で取り戻せるんじゃないかな、でも取り戻し切れてないな、という感じでずっとやっている気がします」

このドラマで演じる元プロ野球選手・伊藤智弘は、様々な悩みを抱えた女性たちに、野球論と人生論を重ね合わせたアドバイスを送る。

「野球選手として、何度も挫折をしただろうし、壁にぶつかったこともあるだろうし。そういう人ならではの『大丈夫だよ』を、女性を応援する気持ちで語りかけることを意識しています」

幼少期を過ごした昭和40年代、世の中は巨人のV9に沸き、みんなが野球をしていた。もちろん自身も野球少年で、ポジションはキャッチャー。だが、才能に限界を感じ、14歳の夏にやめた。すると学校の成績まで落ち、第1志望の高校にも落ちた。「続ければ良かったという後悔を、ずっと引きずっていた」

デビューしてからも、ライバルとして意識していたのは同世代の俳優ではなく、野球選手だった。「輝いている選手がいたら、負けずに頑張ろうと思った」。特に同い年で地元が近く、ロッテや大リーグ・メッツで活躍した元プロ野球選手・小宮山悟さんには勇気をもらった。「自分の可能性を信じてあきらめない心を持っていると、そんな高みまでたどりつけるんだ」と。

野球は「相手を傷つけない、優しいスポーツ」だと感じる。そして、「人生に生かせることがたくさんある。ドラマを見た人が、前に一歩踏み出すきっかけになれば」と願う。

野球とは人生だ――。

まだいい仕事はできる

Q ドラマには往年の名選手も登場します。

A 元メジャーリーガーに聞いた、「リリースポイントを忘れなければ、コントロールは衰えない」という言葉が印象に残っています。同世代に、大事なことを忘れなければ、まだいい仕事はできると伝えたいです。

Q 気分転換の方法は。

A 仕事の中でやっているような気がします。毎日生じる小さな反省と後悔を、翌日の自分を支えるために、前へ進むための材料にしています。

(文・読売新聞文化部 川床弥生 写真・橘薫)

仲村トオル(なかむら・とおる)

1965年9月5日生まれ。東京都出身。「あぶない刑事」、「チーム・バチスタ」シリーズ、「64―ロクヨン―」などの多数のテレビドラマや映画、舞台に出演。4月期の連続ドラマ「ネメシス」でも重要な役を演じた。

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