2万人調査で分かった、知っておくべき「正しい生理」とは

女性の体について調査している団体「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」代表の細川モモさんが、産婦人科医らの監修のもと、著書「生理で知っておくべきこと」(日経BP)を出版しました。「生理についての正しい知識を持ち、自分の体を守ってほしい」と語る細川さんに、働く女性が知っておくべきことを聞きました。

7割が生理痛、9割がPMSを自覚

――6年かけて約2万人の女性に調査を行ったそうですね。

生理日や排卵日を管理するアプリのデータに加え、全国5都市でのイベントを利用した調査や、症状がある人の変化を研究し、解析しました。

人類始まって以来、女性は生理と付き合ってきたはずなのに、「病気ではないから」という理由で、21世紀になってもデータや改善策が示されないままです。驚くことに、日本の産婦人科の医師が現在使っている女性の生理に関するデータは、約60年前にアメリカの一地域で取られたものだそうです。痛みなどを我慢しながら、社会で働くことが求められ、子育てもしなくてはならない現代女性の状況はあまりに過酷で、少しでも女性を巡る状況を良くしたいと考え、調査に取り組んできました。

調査によると、生理痛は女性の約7割が感じ、このうち3割は痛み止めを服用しなければならないほどの痛みを抱えていました。月経前のイライラや情緒不安定、腹痛、頭痛などの症状が出るPMS(月経前症候群)は、約9割の人に自覚症状があります。生理痛もPMSもどちらも感じないという女性は、たった2.5%でした。また、食事や生活習慣を変えることで、生理痛やPMSを自分の力で良くできることも分かってきました。

予防医療・栄養コンサルタント、細川モモさんの著書「生理で知っておくべきこと」 読売新聞 大手小町
細川モモさんの著書「生理で知っておくべきこと」

――正常な生理とは?

周期(始まった日から次に始まる前日まで)が25~38日以内、出血している日数が3~7日以内とされています。働く女性を対象にした調査では、5人に1人が過去に3か月連続して「無月経」になったことがあると答えています。正常な生理から外れた生理が2~3か月続くようなら、生殖機能のダメージが進む前に産婦人科に行きましょう。

――年代で生理は変化するのですか。

10代で初経を迎え、20代をピークに50歳くらいで閉経になるのに近づくにつれ、出血量が減り、日数も短くなっていくことが明らかになっています。「生理周期は25歳の頃に一番長くなり、45歳にかけて平均で約3日間短くなる」という医療機関の発表もあります。私たちの調査では、年齢を重ねると生理痛が「重たい」と答える人が減り、「軽い」と答える人の割合が増える傾向も分かりました。予備知識があれば、不要な心配もなくなります。

10代は、子宮が未熟で、誰でも生理が乱れやすい時期です。20、30代は子宮が成熟して周期は安定しますが、20代は出血量も多いうえ、仕事が忙しかったり、ダイエットなどで不調をきたしたりして、生理痛やPMSに悩む人が多い世代です。30代に入ると、出血量が減ったり、妊娠・出産経験で生理痛が軽くなる人が多くなります。

生理の不調は仕事のパフォーマンスに影響

――2019年のアンケートで、生理による不調は仕事のパフォーマンスを低下させ、更年期障害を自覚している人の約半数は、昇級の話を断るという結果が出たそうですね。

健康状態に不安があると、自信を持って仕事をすることが難しくなります。生理について正しい知識を持てば、症状に正しく対処でき、妊娠や不妊治療の機会を失うこともなくなります。正しい生理は健康のバロメーターといえます。

無理なダイエットは危険、体脂肪率やBMIを重視しよう

――日頃からどんなことに気をつければよいでしょう。

ダイエットや、週末に断食をする人もいますが、生理がくる条件の一つに「体脂肪が一定量あること」が挙げられます。女性の体脂肪率の理想は19~28%とされ、15%を切ると半分の人は生理がこなくなるといわれています。肥満度を示すBMIも、19~25が標準です。やせ過ぎると女性ホルモンが安定しにくくなり、肌や髪も健康的でなくなります。女性ホルモンの分泌には、カロリーが必要であることも明らかになっていますので、バランスのとれた食事をとり、体脂肪が測れる体重計などで自分の数値を認識し、行き過ぎた食事制限をしたり、多忙で食事を抜いたりしないよう注意しましょう。

研究では、朝食を抜いたり、特定の栄養素が不足している人に生理痛が強くみられました。一方、和食中心の食事をしている人は生理痛が軽い傾向でした。さらに10グラムのたんぱく質がとれるヨーグルトを毎日食べてもらったら、生理痛とPMSが改善した例もありました。食事に卵、納豆、チーズを追加し、魚の缶詰を料理に取り入れるのがおすすめです。

また、特に妊娠を望んでいない人も、健康のために定期的に、基礎体温を測るとよいでしょう。生理がきているからといって毎月排卵しているとは限りません。体温がいつもより上がる排卵が毎月あるということは、健康の証しだからです。

――知識を得て、自分で体を守っていく必要があるのですね。

誰かが守ってくれるわけではありません。天災などが起こると、ストレスによって女性ホルモンのバランスが乱れることが分かっていますが、コロナ禍にあって、不調をきたしている人もいるでしょう。 生理や健康についての正しい知識を身につけていれば、自分の思うように働けて、体調も良くなり、自分の意志で妊娠できる可能性も高まります。職場で、家庭で、正しい生理について話題にし、知識を共有していってほしいと思います。

(読売新聞メディア局 谷本陽子)

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細川 モモ (ほそかわ・もも)
予防医療・栄養コンサルタント

両親の闘病をきっかけに予防医学を志し、渡米後に栄養疫学と出会う。栄養アドバイザーの資格を取得したのち、2009年に医師、管理栄養士らと「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。母子の健康の向上を目的とした活動や研究を手掛けている。生理用品ブランド「ソフィ」の生理管理アプリを開発・監修。

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