食後によく出る「ゲップ」。人前で出ると恥ずかしいと感じるかもしれません。読売新聞の掲示板「発言小町」には、「ゲップが頻発し静かなところが苦手になった」「1年ほどゲップが止まらない」と深刻な悩みも寄せられています。ゲップに詳しい消化器内科の医師に症状や対処法を聞きました。
彼氏に聞かれ恥ずかしい、我慢しようにもできない
緊張した時の表現に「息をのむような」、「固唾をのむ」というのがあります。その言葉通り、人は緊張した時に唾液とともに空気を飲み込んでしまうことがあります。胃に空気がたまると、胃の不快感や痛み、腹部の膨満感が生じます。たまった胃の空気が逆流して出てくるのがゲップです。
「ゲップやオナラが他の人に比べて多く、我慢しているとのどやお腹の奥の方でゴポッ、グスッ、プスッ、ブッというような、空気が破裂したような感覚があります」という女性。発言小町に悩みを打ち明けました。
「今まで普通だと思っていたため、周りに音が聞こえていると思っていなかったのですが、先日、喉で空気が破裂したときに彼氏から『今ゲップした?』と言われてしまいました。ずっと周りに聞こえていたかと思うととても恥ずかしいです。意図せずになってしまい、我慢しようにもできない。対策方法があれば知りたいです」
高校3年生の男子生徒は、「ゲップが頻発、おならが異常に出るし、お腹がゴロゴログルグル鳴るので静かなところが苦手になってしまった」と告白。「静かなところだとひどくなるので、一日中お腹のことばかり考えてしまう悪循環に陥っている」と発言小町で明かしています。
20代の男性からも、「ここ1年ほどゲップが止まらない」と悩み、「とてもストレスに感じていて毎日がとてもつらいです。どうすれば治るのでしょうか」と切実な投稿がありました。
呑気症は病気なの?
東京都調布市の国領内科・消化器内科クリニック院長の高田康裕医師は、「ゲップは誰しも出るものですが、『出すぎかな』と感じるなら、それは『呑気症』かもしれません」と話します。
「空気嚥下症」ともいい、主な症状には(1)ゲップ(2)胃の不快感(3)腹部の膨満感――などがあげられます。また、腹部だけでなく、肩こり、頭痛なども症状として出てくる場合があるそうです。
高田医師は「呑気症は機能性胃十二指腸障害の一つと言われていて、胃潰瘍のような粘膜に傷ができることで起こる病気ではないため、『ここからが病気』との線引きが難しい。ストレスが原因となることが多く、症状には波がある。症状が長期化したり悪化したりしないと病院にかからない人も多いのが現状です」と説明します。
高田医師は、症状の頻度や期間より、「煩わしいか」「困っているか」を重視すると言います。「例えば10代など思春期の女の子など、学校でゲップが出るのがストレスで、学校に行けなくなってしまうケースもある」と、呑気症を放置した場合の問題点を指摘します。「会社や学校に行かれなくなってしまう前に、軽症でも受診することが重要です」

たかがゲップ、されどゲップ
呑気症はストレスとも関係しているとされ、症状によっては心療内科の受診を勧めることもあるそうです。新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの人がストレスを感じやすくなっているかもしれません。
症状の期間や年齢にもよりますが、消化器内科では腹部の不快感を軽減させるためにガス取りの整腸剤、消泡剤などが処方されます。唾液や食べ物と一緒に空気を飲み込むことがゲップにつながるので、「早食いや『ながら食い』は禁物」だそう。口呼吸になっている人も、注意が必要です。
また、逆流性食道炎や、胃がんなど胃腸系の病気が隠れていることもあります。「たかがゲップ。されどゲップ。治療すれば良くなるゲップもあるので、出るタイミングやゲップの多さで悩んでいるなら、気になった時点で、遠慮せず消化器内科を受診しましょう」と呼びかけています。
(読売新聞メディア局 渡辺友理)
【紹介したトピ】
▽呑気症?で悩んでいます。。
▽ゲップが止まりません
▽喉や腸で空気が破裂します(呑気症?)