こだわり食材が手軽に…産直通販、コロナ禍での人気を支えるもの

農家や漁師らから消費者が小売店を通さずに食材を購入する「産直通販」が広がっている。専用サイトが開設され、コロナ禍で従来の販売先を失った生産者による出品も目立つ。新鮮なこだわり食材が手軽に買える反面、送料などでスーパーより多少割高になることもある。

魅力ある生産品をブランド化

地方産品の販路開拓を手がける「カスタマーネットワーク」(東京・日本橋)は、今月中に産直サイトをスタートする。第1弾として、群馬県の黒ニンニクとフルーツトマト、香川県の讃岐完熟マンゴーとさぬき紅みかんの計4品を6月に販売する予定だ。

同社は2014年に設立され、20年から社員が自分の伝手つてで探した農家らの生産品を大手スーパー向けに納入してきた。12月に香川県産の「さぬき紅みかん」(2.5キロ・グラム、化粧箱入り)を税込み3240円で知り合いなどに試験販売したところ、好評だったため、販売先を一般の消費者にも広げることにした。

出品する農家は、ネーミングやパッケージ開発などで同社からアドバイスを受けて、生産品のブランド化にも取り組む。担当の田中康博さん(68)は香川県出身で、三越に40年以上勤務した経験を持つ。「地方の魅力あふれる商品を取りそろえ、地方の活性化にもつなげたい」と話している。

苦境の生産者を応援、会員数6倍に

産直サイトの草分けとされるのが、16年にサービスを開始した「ポケットマルシェ」だ。全国の生産者約5000人が登録し、利用者はサイトを通しておいしい食べ方や作り方といった疑問点を問い合わせることもでき、作り手の顔が見える安心感が魅力となる。

コロナ感染拡大で外食などの需要が低迷し、販売先に困っている生産者を応援しようと、会員数はこの1年で約6倍の約30万人に増加した。月6回のペースで食材を購入するという東京都世田谷区の40歳代の会社員女性は、「新鮮でおいしくて珍しいものが手に入るのがメリット」と話す。

双璧と言える産直サイト「食べチョク」も、この1年で登録生産者が6倍以上の約4300人になり、その分、商品のラインアップも充実している。「朝ご飯を食べるなら和食か洋食か」といった質問に答えるだけで、好みに合った野菜を選んで届けてくれる「定期便」も人気を集める。

ご当地限定の産直サイトも

ご当地の品目に限定したサイトもある。「新潟直送計画」は、ブランド米として知られる魚沼産などのコシヒカリや「へぎそば」、「栃尾の油揚げ」など新潟県の名物をそろえる。外出や帰省自粛の影響でふるさとの味を取り寄せたり、ギフトとして贈ったりする需要が増え、20年度は売り上げが約2倍に増えた。

魚介類を主に扱う産直サイトが「ギョギョいち」で、全国漁業協同組合連合会が運営する。青森県産「活ホタテ」や静岡県産「生シラス」など、全国約60の漁協や漁連から集まった水産物が並ぶ。

産直サイトには注意点もある。無農薬栽培や少量生産されたこだわりの品が並ぶが、品目によって販売価格がスーパーなどと比べて割高になる場合がある。卸売業者を介さないため、仲介手数料は抑えられるが、送料は消費者側の負担になることも多い。コロナ禍で売り上げが落ち込んだ生産者に対する政府の支援策の一環で、一部の食材は送料が無料となっている。

(読売新聞経済部)

あわせて読みたい

Keywords 関連キーワードから探す