野良猫にパンチされたコーギーの情けない反応にIMALUも笑顔

皆さん初めまして。タレントのIMALUイマルです。まずは私の愛犬「バルー」(メス、9歳)を紹介させてください。

バルーはウェルシュ・コーギー・ペンブロークという犬種で、もうすぐ10歳の“女の子”です。胴が長くて足が短く、耳がピンと立っているのが特徴的。小さい頃から犬を飼っている私ですが、代々ずっとコーギーを飼っていて、バルーは3代目です。特にコーギーにこだわるつもりはなかったのですが、偶然が重なって自然な流れで飼うことになり、気付いたら二十数年。コーギー歴が長くなってしまいました。

中でも、バルーとの出会いは特別なものでした。それは2010年に遡ります。

私が小学2年生の頃からずっと一緒にいた、初代コーギーの「ルル」(メス)が息を引き取りました。初めて飼った犬であり、子どもから大人になるまでずっと一緒にいた子だったので、当時は落ち込み、ペットロスも経験しました。

翌11年の春、ルルの子どもを飼っていたご家族から突然、「ルルちゃんのひ孫が生まれたよ!」と連絡があったのです。ルルの子どもが出産していたことはもちろん知っていたのですが、ルルの血がその後も引き継がれていたことは、その連絡で初めて知ったのでした。最初は会いに行くだけのつもりだったのです。しかし、生まれたての子犬たちがルルちゃんのひ孫だと思うとなおさらいとおしく、一目見たらもうアウト! その中で出会ったのがバルーでした。

バルーを飼い始めてまずビックリしたのがジャンプ力。ソファに跳び乗るのはもちろん、ケージもよじ登ってジャンプで脱走。突然、家中をダッシュし、止まらないまま壁に激突。床に人間が寝っ転がっていると何度もかれます。久々の子犬のお世話はヒヤヒヤものでした。

代々飼ってきたコーギーは性格は全然違うものの、唯一共通しているのは食いしん坊なところです。いたずらはしますが、おやつさえあれば何でも言うことを聞きます。ご飯の好き嫌いもなく、おやつが入っている紙袋やポリ袋の音がするだけで、1秒で近くにやってきます。

他の共通点でいうと、人が大好きなところです。特にバルーはおばあちゃん、おじいちゃんが大好き。数年前までうちの祖母とよく一緒に時間を過ごしていたため、散歩中でもすれ違うおばあちゃんには、尻尾を振ってあいさつに行きます。その姿を見て、私も大好きだった祖母のことを思い出すので、ほっこりする瞬間です。

何げない日常の中、無邪気な行動で笑わせてもらえるのが、犬を飼っている人の特権かもしれません。

犬苦手な家族 ルルで克服

人生の半分以上を犬と過ごしている私ですが、元々、家族は犬が苦手でした。母は過去にかまれた経験があり怖いと言っていて、兄は犬・猫アレルギー持ち。祖母は動物全般が苦手で、犬を飼うなんて想像もできないような家族でした。

なぜ、そんな家族が犬を飼うようになったのか。それは私の犬好き過ぎる行動を見た家族があきれたようにOKを出してくれたからなのです。

家族で唯一の動物好きだった私は小さい頃から動物のぬいぐるみに囲まれていました。犬やキツネ、ペンギンなど全部のぬいぐるみに名前と誕生日を決めて、毎年その誕生日を祝いました。中でも大事にしていたのが犬のぬいぐるみの「クイール」。本物の犬のリードを買ってもらい、クイールの首に着けて引きずりながら散歩をさせていました。サンタにお願いしたプレゼントは犬図鑑で、小さい子が持つには重すぎる本格的な分厚い図鑑をもらい、愛読していました。

とにかく犬と触れ合いたい私の当時の趣味は、近所の犬を見ること。常に犬を観察していたため、近所の犬の犬種を全部覚えて“ご近所犬マップ”を脳内に作っていました。最終的にはしば犬とシェットランド・シープドッグを飼っているご近所さんのインターホンを押し、「散歩をさせてほしい」とお願いしたほどです。飼い主さんは快く承諾してくださり、大人も同伴の上、その方が飼っている「リリちゃん」を散歩させてもらいました。初めてリリちゃんと散歩した瞬間はうれしくて、感動したのを今でも覚えています。

「そんなに犬が好きなら……」と家族は渋々飼うことを決めてくれ、初めて飼ったのが「バルー」(メス、9歳)の“ひいおばあちゃん”の「ルル」でした。

最初は、祖母は遠くから見つめるだけで、母は怖いと言って軍手をして触っていました。兄は飼い始めてからアレルギー反応がなくなり、母も祖母も少しずつ慣れ、気付けば二十数年、今に至るまで犬を飼い続けることになりました。

今では母も「いないとさみしい」と言うようになり、ルルをきっかけに動物が苦手だった家族はガラッと変わりました。振り返ると、犬を飼う知識がない家族で、ルルに申し訳ないことをしたと思うことが多々ありますが、それを教訓に勉強したしつけの仕方などがバルーにつながっています。

たまにバルーの匂いをかぐと、昔大事に持っていた「クイール」の香りを思い出すことがあります。ふわっとした感触と少し香ばしい匂いが似ていて、犬を飼うことにあこがれていた当時の自分に戻ります。

ちなみに、「クイール」は今でも実家の私の部屋で寝ていて、会ったらついギュッと抱きしめてしまいます。

バルーのふわふわした感触と匂いは、『クイール』を思い出させてくれます」(宮崎真撮影)読売新聞 大手小町
「バルーのふわふわした感触と匂いは、犬のぬいぐるみ『クイール』を思い出させてくれます」

同一犬種 個性は三様

小学2年生の頃からコーギーを飼い続け、「バルー」(メス、9歳)で3代目となりました。初代「ルル」、2代目「スー」、3代目バルーは同じ犬種ですが、性格はみんな異なります。

ルルはとても頭が良く、芸達者な子でした。お座りや伏せはもちろん、「新聞取ってきて!」と言うと取ってきてくれるし、「小さいワンて言って!」と言うと、小声で「ワン!」とほえたり。教えたことは必ず覚えてくれました。

小学生の頃、よく一緒に紙風船で遊んで、ルルは紙をやぶかないよう上手に風船を投げ返してくれていました。人の話もよく聞いていて、人に背を向けていても、耳だけはしゃべっている人の方へ向け、常にうわさ話を聞いていました。

2代目のスーはおっとりとした性格でした。小さい頃からあまりほえなかったのですが、友人のお父さんと初めて会った時、低い声で「ウォオオ~」と、初めてうなるようにほえました。祖母と母、当時高校生だった兄に囲まれていたスーは、初めて大人の男の人を見た瞬間で「あの時はびっくりしたのかな?」と思います。

犬なのに寒がりで、冬は私の布団の中に潜って寝ていました。私より先にスーが寝ているので、いつも湯たんぽのように布団が暖かかったのがいい思い出です。とにかく寝るのが大好きで、家族に起こされるまでずっと寝ているような子でした。

スーがこれからシニア期に突入する時、3代目のバルーがやって来ました。まだ子犬だったバルーはスーにちょっかいばかり出していて、よく怒られていました。スーが水を飲んだら一緒に飲んだり、ボール投げをしたらスーのボールを取りたがったり。スーの行動全てをまねしていました。

バルーはとてもおてんばで、とにかくエネルギッシュな子です。スーに何度怒られても、数秒後にはまたちょっかいを出したり、いたずらして、私が「アッ!」と言っただけで他の部屋に走って逃げていったり、無邪気な行動によく笑わせてもらいました。

9歳になった今も少し抜けているところがあり、頼もしかったルルとスーとは正反対。かなりの小心者です。ちょっとした物音にビクッと跳び起きたり、野良猫にパンチされてお漏らしをしてしまったり、網戸に止まっていた虫のにおいをかいでいた際、飛んでいった虫にびっくりして走って逃げていったり……。情けないエピソードがたくさんあります。バルーがもしお笑い芸人さんだったら、今頃リアクション芸に磨きがかかっていたでしょう。

頼れないパートナーではありますが、いつまでも子犬のような行動に自然と笑顔になってしまいます。バルー、これからも皆をたくさん笑わせてね!

おうち時間に絆深まる

「バルー」(メス、9歳)を飼い始めた時は、まだ実家暮らしでした。子犬の頃はよく靴をおもちゃにして壊したり、飲み水のお皿に足を入れてビショビショになったり、ケージから得意のジャンプで脱走したりしていました。予想不可能な行動にヒヤヒヤしながらも、毎日家に帰るのが楽しみでした。

当時祖母は90歳手前でのんびり日々を過ごしていましたが、バルーが家に来てからは刺激になったのか、元気になったような気もしました。昔は犬が苦手と言っていたのに、バルーをまるで小さい子どものように笑いながら見ていて、祖母の変わりように家族もビックリしていました。

そんな子犬時代から少し落ち着いてきた数年後。一人暮らしを始めましたが、バルーと祖母のために実家の近くに引っ越しました。仕事が終わったら実家へ行き、バルーの散歩。時間がある時は、祖母と夕食を食べてからバルーの散歩をして、自分の家に帰っていました。「もう実家に住めばいいじゃん」と周りから言われましたが、自立したい気持ちが強く、空いている時だけに実家へ行く、行ったり来たりの中途半端な生活を数年していました。

そして今から2年半前、祖母が亡くなりました。祖母の面倒を見るために連絡を取り合っていた家族や親戚とのLINEのグループトークも減り、実家にバルーの様子を見に行っても、祖母がいない家はさみしい空間になってしまいました。

その後、犬が飼えるマンションを実家の近くに見つけて昨春に引っ越しました。新型コロナウイルスの影響で、この時期から仕事が激減。引っ越しとともにバルーと24時間べったり一緒にいる生活が始まりました。犬を飼い始めて二十数年ですが、ここまで犬と一緒に1対1で過ごすことは初めてだったかもしれません。

べったり生活が始まり、最初に思ったのは「犬はよく寝る」。朝ご飯を食べたら寝る、散歩に行ったら寝る、おやつを食べたら寝る。公園で遊び疲れて帰ると、ひっくり返って爆睡。しばらく動きません。そして私の言うことを今まで以上に聞くようになりました。今までは実家で「散歩行くよ!」と声をかけてもダルそうに玄関へ歩いてきたのですが、今は寝ていても「ハイ!」と言わんばかりに耳をピーンと立てて走って玄関に向かいます。私の行動を常にジーッと見て、出かけた際はいつも玄関で待つようになりました。

おうち時間が増えたことで信頼が深まりましたし、犬は何歳になっても人と良い関係を築くことができると実感しました。パートナーとして深い絆ができると、犬との生活は更に面白くなりました。これからシニア期に突入するバルー。老犬になった時のお世話も今から楽しみです。

このコラムは、読売新聞で4月に掲載されたものをまとめて再掲載しています。

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IMALU(いまる)
タレント

1989年、東京都生まれ。高校時代は語学を学ぶためカナダへ留学。帰国後、2009年にファッション誌でモデルデビューした後、タレントとしてテレビやラジオ、雑誌で活躍している。「LULU X」として音楽活動も行う。

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