映画「AVA/エヴァ」美しき暗殺者の「日常」描く

美しくセクシーで超人的な戦闘能力。女性の暗殺者は映画の華だが、ジェシカ・チャステイン=写真=が演じるエヴァは一味違う。ルージュを引いて殺しに向かう姿は確かになまめかしい。軍隊格闘技系のアクションや銃撃戦もたっぷりと見せる。だが、物語の中心は彼女の家族関係だ。殺し屋という非日常的な存在の「日常」を描いているのである。

組織の命令で暗殺を繰り返すエヴァは、殺しの理由に疑問を持ち始める。あるとき、潜入の途中で正体がばれ、敵と銃撃戦になる。組織からの情報に重大な誤りがあったためだ。組織内の誰かが、エヴァを陥れようとしていた。

組織に追い詰められていく孤独なエヴァは、久々に家族に再会し、壊れた関係に決着をつけようとする。その過程で、なぜ彼女がアルコール依存症になり、さらには暗殺者になったのかがわかってくる。死んだ父親への憎しみ。母親への複雑な感情。妹への罪悪感。アクションと家族のドラマが表裏一体となって展開する。

監督は「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」のテイト・テイラー。エヴァと彼女の母親がカードゲームをしながら父親について話す場面は、銃撃戦に劣らず緊張感があり、見る者の心を打つ。

母親役はジーナ・デイビス。組織内でエヴァをかばう上司にジョン・マルコヴィッチ。エヴァを狙う殺し屋にコリン・ファレル。ベテラン俳優たちの存在感が、物語に生々しい現実感を与えている。

(読売新聞編集委員 小梶勝男)

「AVA/エヴァ」(アメリカ) 1時間37分。新宿バルト9など。公開中。

◇   ◇   ◇

読売新聞文化部の映画担当記者が、国内外の新作映画の見どころを紹介します。
読売新聞オンライン「エンタメ・文化」コーナーはこちら

あわせて読みたい

Keywords 関連キーワードから探す