サステナブルがおしゃれの選択基準、欧州の3ブランドに注目

「サステナビリティー(持続可能性)」は、ファッションの世界でも当たり前の取り組みとなりました。中でも、先進的なアプローチで支持を集める欧州の新鋭ブランドが、サステナビリティーに対する「本気度」と、独自のデザインで注目を集めています。ハンガリー、ノルウェー、デンマーク発の3ブランドの特徴を見ていきましょう。

モダン ボヘミアン ビーガンレザーを使用 ナヌーシュカ

ハンガリー発の「Nanushka(ナヌーシュカ)」は、インスタグラムから支持が広がったブランドです。2005年にサンドラ・サンダー(Sandra Sandor)氏がブダペストでスタート。「都会の遊牧民」をテーマに据えて、ボヘミアン気分とエレガンスを交わらせたテイストを提案しています。ほどよいストリート感も持ち味です。

専任のサステナビリティーチームを設け、再生ポリエステル繊維などのサステナブルな原材料を調達しています。25年までに100%持続可能な素材での製品作りを実現すると宣言。「カーボン・オフセット」と呼ばれる温室効果ガス排出削減に向けた取り組みにも積極的で、従業員が仕事で使用した飛行機が排出した温室効果ガスを埋め合わせるための植樹にも取り組んでいます。

シーズンを超えて着続けやすいシャツワンピース ナヌーシュカ 大手小町 読売新聞
シーズンを超えて着続けやすいシャツワンピース

ナヌーシュカは、ふっくらしたパフィーなレザーウェアで広く知られるようになりましたが、使用する皮革は、動物を犠牲にしない「クルエルティーフリー(残虐性を持たない)」のビーガンレザー(レザーの代替品)を優先しています。本社はアニマルフレンドリーで、従業員は社内のあらゆるところに愛犬を連れていけます。

21年春夏シーズンのウィメンズでは、自然との調和を見据えて、アプリコットやライトブルーといったナチュラルな色合いを重視。素材の面でも、デッドストック(長期在庫)のジャージー素材を用いて、無駄な廃棄を減らしました。価値を高める形で再生する「アップサイクル」を取り入れたパッチワークも随所に施しています。手作業で編み込まれたフリンジは、日本の海女の着衣から着想を得たといいます。

網のモチーフは日本の海女から着想 ナヌーシュカ 大手小町 読売新聞
網のモチーフは日本の海女から着想

北欧ならではの自然愛を表現 ホルツワイラー

流行に踊らされず、愛着を持って付き合い続けやすい装いを意味する「タイムレス」がロングトレンドに浮上してきました。2012年に設立されたノルウェーの「HOLZWEILER(ホルツワイラー)」は、長く愛される服づくりを進めているブランド。家族経営の強みを生かして、サステナビリティーをぶれない軸に据えてきました。

ブランドの代名詞的なアイテムでもあるウールスカーフは、リサイクルウールを約60%使用しています。子ヒツジの皮膚を切り取るという残酷な「ミュールシング」を行わないウールを採用。持続可能な綿花栽培を目指す「オーガニックコットン」や、公正な取引によって調達する「フェアトレードコットン」を優先して使用しています。

原材料の調達にとどまらず、生産から販売に至る全プロセスにわたって、サステナビリティーを徹底する姿勢が特徴的です。パッケージには生分解性のバイオプラスチック包装を使用。生産工程で用いる水や染料に関しても環境負荷が小さくなるよう、改良を重ねています。

左右アシンメトリーのニットが自然体のムードを演出 ホルツワイラー 大手小町 読売新聞
左右アシンメトリーのニットが自然体のムードを演出

地球や生き物との共存を掲げるブランドだけに、自然に根差した素材や色合いが持ち味。21年春夏コレクションでは、植物を通してポジティブなパワーを表しました。フラワープリントを多くあしらったほか、植物の茎や節を思わせるドローストリング(引きひも)やニット編み地で、ポジティブパワーを表現しています。

ミニスカートのヒツジ革は命の犠牲を伴わない素材 ホルツワイラー 大手小町 読売新聞
ミニスカートのヒツジ革は命の犠牲を伴わない素材

ヒツジ革ミニスカートは、食用ヒツジの副産物である廃棄レザーを使用しています。ジェンダー間の不平等や、人種差別、気候変動などの問題に挑む活動家たちを起用した広告キャンペーンも展開し、社会貢献活動を支援する姿勢を示しました。

ミニマルで建築的なシルエット デザイナーズ リミックス

「DESIGNERS, REMIX(デザイナーズ リミックス)」も、同じく北欧のデンマークで2002年に生まれました。在庫の生地に新しい価値を加える「アップサイクル」や、再編集を意味する「リミックス」という着想からスタートした成り立ちからして、サステナブルなブランドです。気候変動問題に注力するノルウェー企業、CHOOOSEとタッグを組むなどして、15年の国連サミットで採択された「SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)」を意識したアプローチを重ねています。

3Dテクノロジーなど先端的なテーラリング技術を用いながら、デザインや素材を使い捨てにしない「スローファッション」にも目配りが行き届いています。リサイクルポリエステルやオーガニックコットンを優先的に使い、持続可能と認証された森林資源から素材を得ています。

ボクシーなポロニットに別素材のショートパンツでワントーンに デザイナーズ リミックス 大手小町 読売新聞
ボクシーなポロニットに別素材のショートパンツでワントーンに

21年春夏コレクションは、ブラウン系や白などのベーシックカラーでまとめた単色の装いを提案。プライベートでも仕事でも自在に着回せ、使い勝手の良いコーディネートは、一着の服を大切に扱う着方につながります。写真のポロシャツは、ノンミュールシングのウールを使ったニット。ショートパンツの主な素材は、ペットボトルからリサイクルされたポリエステルです。レースをあしらった白いワンピースは、オーガニックコットン100%で仕立てられました。

オーガニックコットン100%の清らかでロマンティックなワンピース デザイナーズ リミックス 大手小町 読売新聞
オーガニックコットン100%の清らかでロマンチックなワンピース

世の中をよくする気持ちと、おしゃれを楽しむ気持ちがリンク

3ブランドに共通しているのは、腰を据えてサステナビリティーに取り組む覚悟です。いずれの公式ホームページにも、ポリシーや環境リポートが公開され、人権や労働環境など幅広い分野にわたって社会的正義を重視していることがうかがえます。社会に良い影響を与える「ソーシャルグッド」な取り組みに加えて、おしゃれ度も高いクリエーションは、着る人を誇らしい気持ちにしてくれそうです。

(画像協力)
ナヌーシュカ

https://www.nanushka.com/

ホルツワイラー
https://holzweileroslo.com/

デザイナーズ リミックス
https://designersremix.com/

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宮田理江
宮田理江(みやた・りえ)
ファッションジャーナリスト

 ファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤーやプレスも経験してジャーナリストへ。海外コレクションのリポートや次シーズンのトレンド予測、着こなしのアドバイスといった原稿執筆のほか、セミナー・講演なども手掛けている。著書に「おしゃれの近道」(学研パブリッシング)など。

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