東京・三軒茶屋の表通りから脇道に入っていくと、住宅街の中に小さな本屋さんがあります。本のどこかに猫が出てくる本のみを扱い、かわいい3匹の猫書店員さんが接客をしてくれます。これは、とある小説のストーリーではなく、実際にある本屋さんのこと。2017年にオープンしたCat’s Meow Books(キャッツ ミャウ ブックス)は、そんな猫本専門書店です。
猫たちの書店員ぶりは、なかなか熟練の域に達しています。お客さんの目的はあくまで本とわきまえ、静かに自分のペースで過ごしています。お昼寝中の姿を見せてお客さんをほっこりさせたり、時々膝に乗ったり。猫書店員たちのお客さんの空気を読んだ接客が繰り広げられています。写真はキジトラ猫の「読太」(メス・4歳)。人づき合いもよく、活発です。
猫たちがいるのは、扉で仕切られた中古本コーナー。とは言っても猫書店員たちは本を汚さないので、今では新刊本も置いています。店内で販売しているビールなどをゆっくり飲みながら、本と猫を眺めていられます。
文字主体の本の多さに驚きます。中には、猫関連とは思えないものも。でも、じっくり見たり読んだりすると、本の中に猫の姿が見えてきます。こんなふうに猫探しをするのも、いいものですね。うろ覚えの猫本を尋ねると、オーナーの安村正也さんはパッと該当の本を棚から出してくれます。猫本のエキスパートなんです。出版関係者から本の企画の相談もあるそうです。私もこっそり具体的なアドバイスを頂いちゃいました。
安村さんは長らく、本屋をオープンするのが夢だったそう。本との出会いを与えてくれた本屋というものに格別の思いがあり、リアル店舗にこだわります。猫書店員がひょいと乗った本を購入するお客さんもいるそうで、確かにこんな出会いもリアル店舗ならではですね。写真は黒猫の「さつき」(メス・5才)で、甘えん坊です。後頭部の白い毛の数が季節で変化するそうです。
本棚の一番上はキャットウォークで、奥の部屋をぐるりと一周できるつくりです。この場所を好んでお昼寝するのは、ツンデレ度が高い「チョボ六」(メス・5歳)。取材があると必ず写真映えする場面を提供してくれるそうで、この日も円形にくりぬかれた壁をくぐり抜け、下りてきました。さすが、こちらの要望を読んでいます。
実は昨夏、看板娘とも呼ぶべき存在の猫「鈴」(メス・享年4歳)が天国に旅立ちました。人懐っこい鈴は、それまで実質ひとり(一匹)で接客を担っていて、他の猫たちは自宅である2階に上がったきり、お店に下りてこないことが多かったのですが、今はまるで鈴の思いを引き継いだように、店内で素晴らしい書店員として日々を過ごしています。
安村さんは、過去に母猫から育児放棄された3匹の子猫のうち、1匹しか助けられなかった後悔があり、保護猫カフェからこの猫たちを迎え、猫のいる猫本専門書店をオープンするきっかけになりました。キャッツミャウブックスの店内手前のスペースは、新刊本とビジュアル本がメイン。東急世田谷線・西太子堂駅から徒歩2分ほど。同線および田園都市線・三軒茶屋駅からも徒歩圏内です。
Cat’s Meow Books
キャッツ ミャウ ブックス
住所:東京都世田谷区若林1-6-15
電話:03-6326-3633
営業時間:14:00~19:00(月~金)
14:00~18:00(土・日)
定休日:火曜日
現在はコロナ禍のため、営業日、時間は変更になる場合があります。
ご来店前にツイッターでご確認ください。
※猫カフェではないので猫書店員たちには節度ある対応をお願いします。
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