「極主夫」演じる声優・津田健次郎、夫婦円満に必要なものとは

昨年、テレビドラマ化された人気コミック「極主夫道ごくしゅふどう」が、今度はアニメとなって、4月8日からNetflix(ネットフリックス)にて全世界独占配信されます。主人公・たつの声を演じるのは、津田健次郎さん。「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」「テニスの王子様」など数々の人気アニメに出演し、NHKの連続テレビ小説「エール」ではナレーションを務めました。先月には、1年間に最も活躍した声優を表彰する「第15回声優アワード」で主演男優賞を受賞。注目を集める津田さんに、役柄への思いなどを聞きました。

【ストーリー】
龍は、極道の世界から足を洗い、現在は専業主夫。強面こわもてな見た目とは裏腹に、妻・美久みくのために料理や掃除などを完璧にこなし、町内の主婦たちからも厚い信頼を寄せられている。そんな龍や美久、元舎弟の雅らが巻き起こすドタバタな日常の出来事を、ユーモアたっぷりに描く。

「待ってました!」の龍役

――津田さんは過去に、YouTubeで公開されたコミック「極主夫道」の実写版PVで龍を演じ、その後、俳優の玉木宏さんの主演でドラマ化された際には、ナレーションで登場しています。縁の深い作品ですが、今回、アニメ出演のオファーをもらった時、どう思いましたか。

とにかくうれしかったですね。実写版PVは、監督を務めさせていただいたこともあり、深い思い入れがありました。だから、アニメ化され、しかも龍役を演じさせていただけるのは、とてもうれしかったですし、「やっと来たか……待ってました!」という気持ちでした。

(C)おおのこうすけ/新潮社

――今回、龍を演じる時に意識したことは?

原作やキャラクターの面白さをなるべく損ねず、視聴者の皆さんにうまく伝えられるよう意識しました。特に、今回の作品は普通のアニメと違い、漫画のコマ割りのような画が特徴です。“キャラクターが動かない演出”をうたっています。原作の面白さが改変されずに表現されているので、僕が感じる原作の良さを、そのまま芝居として伝えたいという思いで演じました。

――コロナ禍でのアフレコは、どんな雰囲気でしたか。

コロナ禍のアフレコでは、基本的に3、4人の声優しかスタジオに入れません。ただ、「極主夫道」のスタジオは、同じフロアにいくつかのブースがあったため、僕は小さなブースに入り、他の3、4人の方々は広めのブースに入って、同時進行で収録することができました。

これには思わぬ良さがありました。というのも、コロナ禍以前は、一つのスタジオでアフレコする場合、声が重なってしまう時には、1人ずつしゃべらなければいけませんでした。ところが今回は、感染防止対策で違うブースを使ったために、同時にアフレコができたんです。特に「極主夫道」は、軽快なノリが大事な作品なので、掛け合いを同時進行でできたのはラッキーでした。コロナ禍だったからこそ、取れたスタイルかもしれません。

ただ、一つだけ残念だったのは、広いスタジオに僕はいられなかったこと。ヘッドホンからみんなの楽しそうな声が漏れ聞こえてくるわけです。「オレもそっちへ行きたいんですけど……」と、寂しく思いながら過ごしていましたね(笑)

思わず、ロボット掃除機に話しかけたくなる

――印象的なシーンは?

どれも楽しいですが、強いて言うなら、龍が買ったばかりのロボット掃除機と戦うシーンでしょうか。僕もロボット掃除機を持っていますが、買ったばかりの頃、珍しくて眺めていたんですよ。一生懸命掃除しているからか、だんだん人格を持っていそうな気がして。だから、ロボット掃除機に話しかける龍の気持ち、分からなくもないです。「今日もよう頑張ってるなあ」と声をかけたくなる。そういう意味でも、すごくツボを突いた作品ですね。

――龍との共通点はありますか。

「猪突猛進型」と言いますか、一度スイッチが入ると、一つのことにまい進していくところは似ているなと思います。龍もスイッチが入ると周りが見えなくなる。共通項かもしれません。

もう一つ、意外と現場で後輩たちにしゃべりかけられることが少なくて……。しゃべる時は普通に明るく話すんですが、気難しく見えるらしいんです。その辺も、もしかしたら一緒かも。

――龍の魅力は。

身近な人に対してもそうだけれど、そうじゃない人に対しても、めちゃくちゃ優しいんです。例えば、元舎弟の雅をすぐ殴ってしまうんですが、コミュニケーションの手段がおかしいだけで、雅のことを本当に心配した上での行動だったりする。家庭菜園で野菜ができたら、近所にお裾分けする龍の姿が容易に想像できます。

見かけや言動から雑にも見えるんですが、行動は一つ一つ丁寧で優しいんです。そんな龍の魅力が、この作品が支持されている大きな要因ではないかと思います。僕も人に丁寧に接しようと、改めて感じました。

主夫に向いていないと思う理由

――主人公の“主夫”ぶりをご覧になって、いかがですか。

すごいという言葉に尽きます。茶道や剣道、柔道など、〇〇道と名前のつくものは、探究していくものだと思います。例えば、龍は料理が相当できるのに、いまだに料理教室に通っています。それが、僕としては新鮮で。タイトルの通り、龍はもっともっと主夫を極めようとしている。そんな彼の姿はとてもかっこいいです。

――津田さんご自身は、主夫に向いていると思いますか?

全く向いてないと思いますね。「おかずを仕込んでいる間に、掃除して洗い物をしつつ、また料理に戻って……」と、計算しながら進めていかないと、時間切れになってしまうでしょう。家事には効率化と合理化が求められますが、僕、合理的じゃなくて……。それにまめじゃないので、全然ダメなんです(笑)。

――龍と美久のように、夫婦円満でいるために大切なことは何だと思いますか。

何でしょうね……。龍は、“先読みの思いやり”ができます。「おそらく美久が疲れているだろう」と、癒やしグッズを買いそろえて帰りを待ったりと、先読みする力が素晴らしいんです。作品では、それがいつもおかしな方向に進んでしまうからこそ、ギャグとして秀逸なんですけれど(笑)。

ただ、根底に流れる龍の優しさや配慮は、美久としては純粋にうれしいのではないでしょうか。行動は間違っているのですが、間違っていること自体は問題ではない気がします。美久にとってはきっと、龍の心が大事なんでしょうね。

(取材/読売新聞メディア局 森野光里)

※写真はいずれも、堤博之撮影

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津田健次郎(つだ・けんじろう)
俳優/声優

6月11日生まれ。大阪府出身。舞台俳優として活動をスタートし、1995年に声優デビュー。主な出演作に、「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」海馬瀬人役、「テニスの王子様」乾貞治役、「薄桜鬼」風間千景役など。NHK連続テレビ小説「エール」での語りも話題を呼び、様々なジャンルで活動している。

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