キンプリ岩橋がパニック障害で退所「治ったらもっと笑っていたい」

ジャニーズ事務所は、King & Princeのメンバー、岩橋玄樹さん(24)が3月末をもってグループから脱退し、事務所を退所すると発表しました。今後、グループは平野紫耀さん(24)、永瀬廉さん(22)、高橋海人さん(21)、岸優太さん(25)、神宮寺勇太さん(23)の5人で活動を続けます。岩橋さんは持病のパニック障害の治療のため2018年11月から活動休止していましたが、完治しなかったそうです。ジャニーズJr.時代から圧倒的な人気を集めていた岩橋さんのニュースに、ファンたちはショックを受けていますが、激励の声も多く寄せられています。

幼少期から病患い、いじめに遭った過去も

岩橋さんは、2018年5月、King & Princeの一員としてCDデビュー。雑誌の企画「恋人にしたいジャニーズJr.」で5年連続1位になるなど、ジャニーズJr.を引っ張ってきた岩橋さんがデビューするのは、当然の流れでした。

透明感のある中性的なルックス、ベビーフェース、えくぼが特徴的な笑顔で「キンプリの姫」とも称された岩橋さん。岩橋さんのメンバーカラーはピンクで、同色をメンバーカラーとするタレントは他のグループにもいますが、これほどまでにピンクが似合う人は、後にも先にも現れないと思うほど唯一無二の存在です。一方、負けず嫌いでバック転や英語を猛勉強したり、根っからの野球少年だったりするなど凜々りりしく骨太な一面もあり、そんなギャップが魅力でした。

岩橋さんは、2018年11月、幼少期から患っていたというパニック障害の治療のために活動を休止。それ以前に、岩橋さんはドキュメンタリー番組で「どうしていいか分からなくなると、自分の感情のコントロールが分からなくなる」と病を公表し、いじめに遭ったこともあると話していたので、ファンの間では繊細な一面があることは知られていました。その後、2019年2月17日に活動を一部再開することを発表しましたが、約10日後、体調不良を理由に活動再開を見送ることが報告されました。それから2年以上がたち、グループの脱退、事務所の退所という結論に至りました。

誠実さにじみ出るコメント

ジャニーズ事務所は、公式ホームページに岩橋さんのコメントを掲載。そこで、岩橋さんは、病気は完治しておらず、日によって波があると明かしました。脱退、退所について「色々な葛藤がありましたが、とても勝手かもしれませんが、自分のなかでの一つのけじめ」と明記。さらにファンに対して「常に心配をかけてしまったけれど、どんな時でもティアラ(King & Princeのファンの愛称)の皆さんの気持ちはすごく伝わっていました」「新しい道に進んでも僕はティアラの事が大好きです」と謝意をつづりました。今後については治療を続け、「病気が治った時はもっともっと笑っていたい」としました。

書ける範囲内で精いっぱい、誠実に向き合っている文面だと感じました。記者自身、岩橋さんのことはジャニーズJr.時代から取材し、デビュー直前もインタビューをしていました。Jr.時代は少し焦っているように見受けられた時期もありましたが、デビューを決めた後に取材した時は「今、すごく楽しいんです! 国立競技場でコンサートができるほど成長したい」と声を弾ませていた岩橋さん。記者が英語を話せることがわかると、「英語で会話したい」と切り出し、流ちょうな英語で海外渡航の思い出を語るなど社交的に明るく振る舞い、充実している様子が伝わってきました。

アイドルが天職だと捉えていた岩橋さんだったからこそ、今回の決断はつらいものがあったと推察します。あれほどまでに夢見たデビューなのに、それを手にすると環境が激変して心身のバランスを保つことが困難になり……。切なく感じると同時に、笑顔でステージに立ち続けるアイドル業の難しさも考えさせられます。

休養中も演出から伝わった6人の絆

岩橋さんの活動休止中、King & Princeの5人は度々岩橋さんを感じさせる演出を見せ、ファンの胸を熱くさせました。例えば、デビュー曲「シンデレラガール」を披露する際は、岩橋さんの立ち位置は空けていました。2019年のコンサートツアーでは、ファンたちが岩橋さんのパートを歌い、会場のペンライトがピンク一色になる感動的な場面も。今振り返ると、活動を続ける5人こそ心配や不安があった中、なるべくファンが寂しくならないよう努めてきたのでしょう。

昨年行われたKing & Princeの配信ライブで、客席に岩橋さんらしき人が映っていたとSNSでうわさになるなど、休養中、ことあるごとに「復帰するのでは」とザワザワしました。それだけ復帰を待たれていたということですが、こうした期待も真面目な岩橋さんにとっては重荷になっていたのかもしれません。

パニック障害は、どういった病気なのでしょうか。急性期精神科病院で勤務し、現在は産業保健師として職場のメンタルヘルスのケアなどにあたる本田和樹さんによると、はっきりした原因は不明で、発作(過呼吸)、動悸(どうき)、めまいなどが主な症状。「発作が起きたらどうしよう」と再発の不安が頭をよぎり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。不安感で電車や飛行機に乗れなくなるなど、日常生活に支障が出ることもあるそうです。本田さんは「原因がよくわからないため、治療には時間がかかり、うつ病を併発することもある。完治せずとも自分なりの対処方法を身につけ、上手に共存する人も少なくないです」と説明します。

「ティアラ」というファンの愛称は、岩橋さんが名付けたものです。あるファンの女性が「これからファンになる人に、岩橋くんが残した呼び名だということを語っていきたい」と話していたのが心に残りました。脱退、退所はとても残念ですが、次への大きな決断を下したことにエールを送るとともに、一人の青年に戻った岩橋さんの幸せを願わずにはいられません。

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山村翠 (やまむら・みどり)

読売新聞東京本社生活部に在籍。中学生の頃に先輩のバックで踊るKinKi Kidsの堂本光一さんを見て沼に落ち、20年以上、ジャニーズを応援。ジャニーズのコンサートや舞台を取材・執筆し、タレントにインタビューをするほか、プライベートでも様々なグループの公演に足を運ぶ。

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