推しは推せる時に推せ! ジャニーズの優等生V6の解散に学ぶ

ジャニーズ事務所は3月12日、V6が、デビュー26周年を迎える11月1日をもって解散することを発表しました。メンバーの森田剛さん(42)は事務所を退所し、残る5人は事務所に残って個人で活動するほか、坂本昌行さん(49)、長野博さん(48)、井ノ原快彦さん(44)の3人によるユニットは存続するようです。V6は1995年のデビュー以降、誰一人欠けることなく活動を続け、「優等生」とみられていただけに、ファンの間には大きなショックが広がっています。

V6は、95年にバレーボールワールドカップのイメージキャラクターとして結成し、同年11月にCDデビュー。今年50歳を迎える最年長の坂本さんと最年少の岡田准一さん(40)は9歳差で、「年齢差グループ」の先駆け的な存在でした。高いダンススキルを武器に「愛なんだ」「WAになっておどろう」などをヒットさせ、NHKの「紅白歌合戦」にも複数回出場。TBS系のバラエティー番組「学校へ行こう!」は、中高生たちと気さくに接するV6が好印象で、若年層から絶大な支持を集めました。昨年11月には、デビューイベントを行った思い出の地、国立代々木競技場第一体育館でデビュー25周年を記念した配信ライブを開催。映画や舞台、テレビ番組の司会など個人としても数々の功績を残してきました。

優しさ、気遣いちりばめた解散発表

年齢差のみならず、一度サラリーマンを経験してからジャニーズに出戻ったり、ジャニーズJr.歴がほぼなくデビューしたりするなど、V6は経歴も個性も実にバラバラでした。V6の歩みを振り返ると、互いを認め合いながら、絶妙なバランス感覚で優しさと安定感のあるグループを作り上げたように思います。昨年シングルをリリースした際には、「勤続25年の男たちの掌。」と印象的なキャッチフレーズが目を引く新聞広告が掲載されました。記者自身も6人が「勤続25年」を自称していることを頼もしく感じ、退所や脱退が相次ぐジャニーズで、V6は「最後のとりで」だと捉えていました。

どこか安心していた中での、突然の解散と退所の発表。発表によると、森田さんから「ジャニーズ事務所を離れた環境で役者としてチャレンジしたい」という申し出があり、2019年春頃から話し合いを重ねてきたそうです。一報を耳にした時はショックでしたが、彼らのコメントやファンクラブ会員向け動画を見ると不思議と温かい気持ちになり、熟慮した結果だということが伝わってきました。

V6からファンへのメッセージ
ジャニーズ公式ホームページに掲載されたV6からファンへのメッセージ

公式サイトに掲載されたファンへのメッセージで、6人は「この決断は決して後ろ向きなものではなく、僕たちがより成長し、次のステップに進むためのもの」と説明。「僕たち6人が築き上げた、他人でも友達でも家族でもない、特別で大切な関係。それをいつも笑顔で見守ってくれる皆さんとの絆は、今後も変わることがないと信じています」とファンへの思いを明かしました。そして、「今もなお、メンバー同士、冗談を言い合える日々が続いていることに感謝」と記し、メンバーの関係性は変わっていないことを強調。解散というと、仲たがいしたのではないかと勘ぐる人も少なくない中、そうではないことを知らせ、ファンを安心させました。ファンクラブ会員向けの動画ではちょっとクスッとするところもあり、ファンが重苦しい気持ちにならないよう気遣う優しさが光りました。
事務所からの発表で胸が熱くなったのは、「『この6人でなければV6ではない』という思いが6人の中で一貫していたことから決断することができました」という記述。解散というショックなニュースなのに、悔しいほど格好良い! 「この6人でなければV6ではない」という言葉は、ファンの救いになったのではないでしょうか。

グループの幕引きの好例になるか

今年1月、ジャニーズ事務所はジャニーズJr.に「22歳定年制」を設けることを発表しました。男性アイドルグループが長命化する中、これと同様に、アラフォー、アラフィフのタレントたちにとっても、事務所、本人、ファンたちがなるべく納得する「出口のあり方」が求められているのではないでしょうか。これまでジャニーズのグループの解散や退所は、「いざこざ」「スキャンダル」といったネガティブなイメージが先行していました。一方、V6は、解散の発表を通じて6人の結束感を見せつけファンを温かく包み込んだほか、解散までにアルバムのリリースやコンサートも予定されています。ソフトランディングしようとしているV6の解散は、幕引きの新しい見本になるかもしれません。個人や自己実現が尊重される現代社会において、解散自体が絶対的にダメなのではなく、どう解散するかが重要なのだと考えさせられました。

加速する世代交代、若手の台頭

V6の解散を受け、ジャニーズの世代交代が加速することが予測されています。世代交代というと「ベテランは不要」と言っているようであまりそのワードは使いたくないのですが、そうした側面は否めません。ジャニーズは昨年末に嵐が活動休止し、今月末にはTOKIOの長瀬智也さんが退所するなど転機を迎えたベテラン勢が目立ちます。V6の解散後、活動中のグループは、最古参がKinKi Kidsで、NEWS、関ジャニ∞、KAT-TUNと続きます。

2020年の大みそかから元日にかけて放送された恒例のジャニーズのカウントダウンライブは、V6などは不参加。関ジャニ∞の村上信五さんが初司会を務め、世代交代を感じさせました。若手グループはテレビに露出を続け、インターネットを積極的に活用するなどして認知度を上げています。事務所が過渡期を迎えていることは間違いないと感じます。

それでも、長年ジャニーズを引っ張ってきたV6兄さんがいなくなるのは、やっぱり寂しい! 昨年11月のライブ配信で、メンバーの写真を盛んに撮っていた岡田さん、ファンからのサプライズ企画に感極まっていた6人。そんな姿も、今なら納得がいきます。いつ消えてしまうか分からないアイドルを前に、「推しは推せる時に推せ」という言葉が改めて心に染みました。

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山村翠 (やまむら・みどり)

読売新聞東京本社生活部に在籍。中学生の頃に先輩のバックで踊るKinKi Kidsの堂本光一さんを見て沼に落ち、20年以上、ジャニーズを応援。ジャニーズのコンサートや舞台を取材・執筆し、タレントにインタビューをするほか、プライベートでも様々なグループの公演に足を運ぶ。

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