コロナ予防と花粉対策、換気でどう両立する? 専門家に聞いた

春は、大量の花粉が飛散して、花粉症の人にはつらい季節です。新型コロナウイルスの感染予防対策として換気を励行している家庭が多いですが、それによって屋外から花粉が侵入する恐れも高まります。どうすれば、花粉の侵入を防ぎながら換気をすることができるのでしょう。専門家に聞きました。

窓を開けた瞬間、症状で眠気も吹き飛ぶ

日本気象協会によると、関東甲信地方のスギ花粉のピークは3月中旬と、まさに今。4月上旬から中旬には、ヒノキ花粉のピークを迎える見込みです。もしも、花粉によるかゆみやくしゃみなどで、コロナウイルスの付いた手で目や鼻をこすると、感染のリスクが高まる恐れもあり、花粉症の人にとっては、例年以上に大変な日々が続いていると思います。

「寝室の窓を開けた瞬間、鼻水出て目もかゆくなって眠気吹き飛んだ」
「定期的に換気しているが、花粉が入ってくるのか、くしゃみと鼻水に襲われる」
「マスクとメガネを装着して、部屋の換気をしている」

SNS上には、花粉と闘いながら換気をしている人たちの悲痛な叫び声が上がっています。

日中を避けることが換気のポイント

花粉の侵入を防ぎながら換気をするには、どうしたらいいのでしょうか。花粉症原因物質に詳しい埼玉大の王青躍(おう・せいよう)教授は、「日中を避けて換気しましょう」とアドバイスします。

花粉は、早朝にスギ林やヒノキ林から飛散し始め、都市部に飛んでくるため、花粉量は日中がピークになります。そのため、日中は換気を避け、早朝や夜間に行うのがいいそうです。ただ、交通量の多い道路沿いに住んでいる人は注意が必要。その理由は、花粉症を引き起こす物質の特徴にあります。

写真はイメージです

花粉症の原因は、花粉の粒子そのものではありません。王教授によると、花粉は、大気汚染物質を含んだ水分などに触れると破裂して、花粉の粒子に含まれている「アレルゲン微粒子」という花粉症原因物質が飛び散ります。そのアレルゲン微粒子が人の鼻や目から体内に入り込み、アレルギー症状を引き起こすことが、王教授の研究によって明らかになりました。1マイクロ・メートル(1ミリの1000分の1)以下と極小のアレルゲン微粒子は、舞い上がりやすい上、マスクの生地を通過するケースもあるそうです。

王教授によると、交通量の多い道路では、路上に積もった花粉が雨や霜に当たって破裂し、走行する車の風力でアレルゲン微粒子が舞い上がりやすくなります。霜の降りにくい寒暖差が少ない日や、交通量の少ない時間帯、風のない日を選んで、換気するようにしましょう。

空気清浄機を活用するのもオススメ。窓際や、玄関から部屋に通じる廊下など、花粉が入り込みやすい場所に置くといいそうです。

やりがちな習慣・対策4つのNG

花粉の侵入を防ぎながら換気をしても、全てをシャットアウトできるわけではありません。室内にひそむ花粉の正しい除去や、花粉を吸い込まないようにする対策も大切になります。一方で、間違った習慣や対策をしている人が少なくありません。王教授が掲げた「NGチェックリスト」で、正しい対策を確認しましょう。

【NGチェックリスト】
□花粉を防ぐため、カーテンを閉めて換気している
カーテンに花粉が付着し、部屋に花粉が舞う原因になります。カーテンは開けて、換気しましょう。

□空気清浄機を床に直置きしている
空気清浄機から出る排気によって床の花粉が舞い上がってしまうほか、空気清浄機が床の花粉を吸い込み、室内に巻き上がる恐れがあります。高さ30センチほどの台の上に置きましょう。

□テレワーク中、カーペットに座って仕事をしている
カーペットや床は、花粉がたまりやすい場所です。直に座って長時間、仕事をしていると、オフィス以上に花粉を吸い込むリスクがあります。デスクと椅子を活用して、なるべく床から顔を遠ざけるようにしましょう。

□掃除の時に、初めから掃除機をかけている
いきなり掃除機をかけると、排気によって床の花粉を舞い上げてしまいます。家具や家電の裏側など、家には花粉がたまりやすい「ホットスポット」があります。最初に、床やホットスポットを水拭きし、さらに乾いたぞうきんで「二度拭き」した後、掃除機をかけましょう。手間はかかりますが、アルコール消毒用シートで拭いた後に掃除機をかけると、コロナの感染対策と一石二鳥になります。

最低でも週に2、3回は掃除をするのが理想です。

王教授が監修したエステーの「ニューノーマル花粉対策ガイド」より。花粉の「ホットスポット」を把握し、重点的に掃除することが大切です

掃除や換気の際にマスクを二重に着けたり、朝起きた時に目や鼻を洗ったりすることも効果的です。「換気に神経質になり過ぎなくてもいいでしょう。大切なのは、何より免疫力を高めること。夫婦や家族と仲良く過ごし、規則正しい生活を送るなどして、ストレスをためこまないようにしてください」と、王教授は呼びかけています。

(読売新聞メディア局 森野光里)

王青躍(おう・せいよう)
埼玉大学大学院理工学研究科教授・工学博士

再生可能なエネルギーの研究と同時に、近年、都市部花粉とそのアレルゲン物質の挙動、PM2.5などの大気汚染による花粉症への憎悪、花粉用や大気汚染対策の研究に取り組む。テレビ番組に出演するほか、新聞や雑誌でも研究結果が数多く取り上げられている。

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