食卓で映えるおしゃれな土鍋、直火も予熱調理も

寒い夜、もうもうと湯気をたてる寄せ鍋のイメージが強い土鍋。最近はデザイン性豊かな作家の作品や1人用の小鍋などが人気になり、選ぶ楽しみが増えている。外で食事をとる機会が減っている中、土鍋は食卓をより豊かにする道具として活躍してくれそうだ。

「調理の出来る器」の魅力

「イタリアの街並みを描いているんですよ」。陶芸作家の我妻珠美さん(54)が手にした土鍋にはイタリアの建物が描かれ、蓋の持ち手も建物を模している。ほかにも、愛らしい子どもを描いた作品も。和の印象の強い従来の土鍋とは異なる、赤や青、黄色などの色遣いが新鮮だ。

我妻さんが作った、男の子や女の子が描かれた土鍋

イメージの元になっているのは、陶芸の修業をしたイタリアでの体験だ。我妻さんは大学を卒業後、1992年から約6年間、ミラノの陶芸工房などで焼き物の技を磨いた。様々な大きさの土鍋に描かれた、カラフルな絵や模様を眺めていると、ヨーロッパの風を感じることができる。

土鍋を作り始めたのは十数年前。コーヒーカップなどとは異なり、じか火が使える土鍋は「調理の出来る器」という魅力があるという。「土鍋は、調理に使うことで風合いがでてきて愛着も増していく。それがうれしい」

我妻さんが作った、せいろが置ける土鍋

土鍋は保温性が高く、火を止めた後に余熱調理する使い方も人気だ。我妻さんも「土鍋をより普段使いしてもらい、身近に感じてほしい」と様々な使い方を提案する。土鍋の上に竹のせいろを置く方法もその一つ。鍋に水を張って加熱すれば、野菜などを簡単に調理できる。

我妻さんは、自作の土鍋をイタリアで持ち運び、料理をしながら旅をする「旅する土鍋プロジェクト」を行ってきた。「土鍋を大皿として使い、パスタを入れて食卓に出してみても映えますよ」と話す。

東京都千代田区の和食器専門店「暮らしのうつわ 花田」では直径12センチ程度から用意している小鍋が人気だ。

「暮らしのうつわ 花田」で扱う小鍋(提供写真)

店主の松井英輔さんによると、寄せ鍋などに使う大きな土鍋を持っている人が2個目の土鍋として買い求めることが目立つという。小ぶりで使いやすく、スープや雑炊などを作る際に用いたり、蓋を外してオーブンなどでグラタンを作ったりと、和洋問わない使い方も広がっている。

調理の種類が増えたことにも後押しされ、同店では土鍋が一年中売れるアイテムに。こうした人気を受けて、小鍋や豆腐が1丁入る豆腐鍋の特集ページを店のサイトで公開している。

土鍋は中身がわかっていても、蓋を開ける瞬間、中の料理を期待し、気持ちが盛り上がるのがうれしいという。「手作りの土鍋はふっくらと柔らかみがあり、味わい深い。土鍋の温かさがおいしさにつながっているようです」と松井さんは話している。

お米を炊いても

土鍋で米を炊くのも人気だ。ガスコンロで土鍋を使って炊飯すると、鍋全体を包み込むように加熱するため、温度ムラを少なく炊きあげることができるという。

東京ガスではホームページで炊き方(米3合)の解説をしている。「土鍋にふたをして中火にかけ、10分かけて沸騰させる」「沸騰したら弱火にし、15~20分加熱し、火を止めて10分蒸らす」といった手順だ。

「土鍋モード」という機能を持つガスコンロも登場している。専用の土鍋を用意すれば、ガスコンロが温度センサーを用いて火加減を調節する。ボタン一つで米を炊くことができる。

手軽にご飯を炊ける「かまどさん」(提供写真)

伊賀焼の窯元の長谷製陶(三重県伊賀市)は、2000年から、火加減の調整が不要な「かまどさん」を販売している。ガスコンロで噴きこぼれることがなく、手軽においしい土鍋ご飯を炊きあげることができると好評だ。同社は「土鍋で炊いたふっくらとしたお米のおいしさをぜひ味わってほしい」としている。(読売新聞生活部 崎長敬志)

【あわせて読みたい】

Keywords 関連キーワードから探す