好きなお菓子を届けてくれるおやつサブスクってなに?

好みの味やその時々の気分を答えると、食材や献立を教えてくれるサービスが広がっている。一人一人に最適なものを提案することから「パーソナライズ(個別化)フード」と呼ばれる。企業がインターネットや人工知能(AI)で個々人の嗜好しこうを分析できるようになったことが背景にある。

好みやヘルシー志向に対応

「毎月1回のプレゼントのようでわくわくします」。東京都の会社員の女性(47)は、自宅に届いた箱を開け、クッキーやナッツなど8種類の菓子が現れると声を弾ませた。

菓子を届けたのは「スナックミー」(東京)。インターネット上で「おやつを何時頃食べる?」「運動をどのくらい?」などの質問に答えると、アルゴリズム(プログラム)が、ストックしてある100種類以上の菓子の中から好みや生活習慣に合う8種類を選び出し、自宅などに届けてくれる。2週か4週に1回、定期的に届けてもらうことができ、送料無料で1箱1980円(税込み)だ。

スナックミーから届く菓子。好みに合わせてナッツやチップスなどが詰められている

健康を意識している女性宅には、オーガニックのクッキーのほか、オーツ麦で作られたイギリスの菓子「フラップジャック」のように初めて食べる菓子が届くこともあり、「自分の好みに合い、健康的なお菓子に出会えるから楽しい」と笑顔を見せる。

同社社長の服部慎太郎さん(39)は「『自分のために選ばれたお菓子だ』という特別感が喜ばれているのではないか」と分析している。

「ニチレイ」(東京)が2020年11月から提供しているアプリ「このみるきっちん」は、一人一人に最適な献立をAIが提案してくれる。「いつもの食事で重視することは?」などの質問に答えた後、「たっぷり」「ほっとする味」など、食べたい料理の特徴や、「楽しい」「幸せの」といった気分を選ぶと、条件に合った献立7種類が表示される。

同社の関屋英理子さんは「献立を考える苦労から解放されるので、リラックスして料理や食事の時間を楽しんでほしい」と話している。

パーソナライズフードが広がる背景には、インターネットやAIの普及など技術的な要因のほかに、食を通して生活を豊かにしたり健康になったりしたいという意識もある。

「三菱総合研究所」(東京)によると、国内のフードビジネスの市場は09年は76兆円だったが、30年には93兆円にまで伸びると予想される。成長を支えるのは、基礎的な食材ではなく、嗜好性の高い食べ物や、健康や美容に役立つ食べ物を紹介するサービスなどだ。

三菱総研主席研究員の木附誠一さんは「かつての日本は、大量生産、大量消費による経済発展と効率性を目指してきた。だが、社会が成熟してくると、精神的豊かさが大切にされるようになり、消費者が自分の好みや生活習慣に合った商品を求めるようになった」と、パーソナライズフードの人気の背景を分析している。

AIについて、「料理を作る際のいい相棒にしてほしい」と話すのは、料理研究家の浜内千波さんだ。

浜内さんは2年前のテレビ番組で、AIと、雑煮のレシピを考える対決をしたことがある。AIが提案したのは、うまみ成分が豊富な納豆やチーズを使った雑煮。一方、子どもが「おいしいね」と率直に喜べることを意識した浜内さんは、日本の伝統的な雑煮を作って圧勝した。浜内さんは「『喜ばれる料理を作る』という点では、まだ人間のほうが優れているのでは。人間とAIがそれぞれ得意な技術を生かしながら料理をすればいいと思います」と話している。

(読売新聞生活部 林理恵)

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