女芸人ナンバーワンを決める「THE W 2020」(日本テレビ系)で昨年末、見事4代目チャンピオンに輝いた吉住さん(31)。恋する女性審判など独創的な世界観を持った一人コントが称賛され、芸歴6年目にして賞金1000万円を手にしました。ゲスト出演した「ダウンタウンDX」(日本テレビ系、2月4日午後10時から放送予定)の収録後、一夜にして人気者になったシンデレラストーリーと、意外な素顔について聞きました。
賞金1000万円の使い道は?
――ダウンタウンDXへの出演はいかがでしたか?

ダウンタウンDXの出演は初めてでしたが、「賞レースファイナリスト」の皆さんと出演させていただきました。私以外は全員、吉本興業所属の芸人さんだったので緊張しましたが、ダウンタウンさんや陣内(智則)さんにとても助けていただきました。
――収録前に、「THE W」の3代目チャンピオン・3時のヒロインの福田麻貴さんとお話ししていましたね。
私が一人でぽつんと座っていたので、寂しそうに見えたらしく、近くに来てくださり「優勝して、今どんな感じ?」と話しかけてくださいました。気を使ってくださって、「大丈夫?」「何か相談事があったら連絡してね」って。本当に優しいです。優勝後、売れっ子の女芸人さんたちと共演しましたが、皆さん優しくて、心配してもらっています。
――優勝賞金1000万円の使い道は?
貯金をしたほうがいいとは思っています。ただ、オズワルドの伊藤(俊介)さんには以前、賞金でおごっていただいたので、おすしをおごる約束をしています。それから、ライブでよく一緒になる芸人さんに大会出場前、優勝したら高級焼き肉をおごると約束したのですが、人数が多くなってしまっていてどうしようかと(笑)。お世話になった先輩や後輩にもお礼をしたいし。
――マンションの管理人のアルバイトはまだ続けているのですか?
忙しくて行けていないのですが、先日、書類で契約更新をしたので、まだ会社に籍はあります。社長もたまに「体、大丈夫?」と心配してLINEをくれます。
――以前はコンビを組んでいたのですね。芸人になるきっかけは?
高校生の時、テレビで東京03さんのネタを見たのがきっかけです。それまであまり芸人さんのネタは見たことがなかったのですが、「芸人さんのネタって、こんなに面白いんだ」と気づいて、それからキングオブコメディさんやラバーガールさんのコントを見てハマりました。「自分もコントをやってみたい」と思い、3組とも人力舎に所属する芸人さんだったので、大学の建築系の学科で学んだ後、人力舎の養成所に入りました。
その後、「ムテンカナンバー」というコンビを組んで、1年半ぐらい活動しましたが、相方は漫才をしたい、私はコントをしたいと方向性が違ってきたので、2016年に解散しました。その後、ピン芸人として一人コントをしていたら、ネタ番組のディレクターさんの目に留まって、テレビに出させてもらえました。運が良かったと思います。
独創的なネタのアイデアはどこから?
――チャンピオンになる前の生活と、どんなところが変わりましたか?
去年までは、5日休んで1日舞台に立って、という日々でした。ライブで5分のネタをやって、「疲れた~」と言って仲間と打ち上げ。「5分しか働いていないのに、何を打ち上げているんだよ!?」って(笑)。そういう生活も好きだったけれど、今は目の前の仕事一つ一つに向き合って、学んでいっている感じです。
――今や、各局のバラエティー番組に引っぱりだこですね。
ダウンタウンさんもそうですが、明石家さんまさんや有吉(弘行)さんなど、そうそうたる大御所のMCさんの番組に出させてもらいました。子供のころから見ていたテレビ番組に自分が映っているのが信じられません。「しゃべくり007」(日本テレビ系)にも出させてもらいましたし、「これは現実なのか、夢なのか?」という感じです。あと、同じ名前ということで、クイズ番組で石原良純さんの隣に座らせてもらいました。何もかも初めてのことだらけで戸惑っています。
アクリル板越しに中居さんと対面
――会ってうれしかった人はいますか?
子供のころから見ていた中居(正広)さんがMCの「金曜日のスマイルたちへ」(TBS系)に出させていただきました。「THE W」決勝戦の2日前に、ひな壇の大勢の中で出演させてもらったのですが、優勝が決まってから、後日改めて番組に呼んでもらいました。出演させていただいたのも信じられないし、自分が中居さんの隣に座っていることも理解できませんでした。
アクリル板を挟んでですが、中居さんがすぐ近くにいて、一瞬見つめ合う機会があったとき、中居さんが話しかけてくださっていたのに、「何なんだろう、この状況って」と、もうボーッとして何を聞かれているのか理解できず、ただ「ははは……」と笑っていました。テレビを見た地元の友達からも「すごい、芸能人だね!」って連絡がきたけれど、まだ、芸能界にお邪魔しているって感じです。
――「THE W」で披露した、野球の女性審判や銀行強盗のような独創的なネタのアイデアはどこから?
昔から、面白そうな興味を引く言葉をノートにメモしていて、今では5、6冊になります。それらを組み合わせてネタを作っているのですが、どのノートにもダブって書いている言葉があって、その一つが審判でした。
「男性社会で生きる女審判、女審判の恋愛って面白いかな? 理解してもらいにくい職種で、孤独なのかな?」と思って、5年越しで作りました。女芸人にも通じるところがあって、好きな人に仕事を理解してもらいにくいんですよね。銀行強盗の方は、「変なタイミングで人を好きになるというネタができないかな」と思って作ったんです。

――新しいネタは作っていますか?
私は、お尻をたたかれないと締め切りを守れないタイプなのですが、今月、同じ事務所の岡野陽一さんとザ・マミィと3組で、スリーマンライブを1年半ぶりに復活させる予定で、そのために新作を2本作っています。
恋をしない理由とは
――ダウンタウンDXで「まだ恋を知らない、孤高のコント職人」と紹介されていました。ご自身の恋愛は? どんな男性が好きですか?
31年間、全然恋愛をしてきていないんです。よく「なんで彼氏を作らないの?」と聞かれますが、好きな人がいないわけではないんです。でも、「手をつなぎたい」とか「キスをしてみたい」というのはないかなぁ。客観的に自分がそういうことをするのを想像すると、気持ち悪いと思ってしまうんです。
――好きなタイプは?
元気はつらつではない人(笑)。31歳なのに彼氏がいないということは、男性を見る目がないと思うんですよ。絶対にダメな男性に引っかかるという自信はすごくあります。だから恋愛が怖いんですよね。そういうことを言っていたら、先輩に「一度は傷ついてみろ」と言われました。
――今後やってみたいこと、目標はありますか?
「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)をはじめ、出たい番組はたくさんあります。それから、演技の仕事とかラジオ番組、へたかもしれないけど、声優やナレーションなど、文章を書く仕事もしてみたいです。事務所の先輩のオアシズさん(大久保佳代子さん、光浦靖子さん)のコラムが好きで、面白いし、そういう生き方や考え方って、すてきだなと思います。こういう女性になりたいなと思える方が身近にいてありがたいです。東京03さんみたいに単独ライブもやってみたい。あとは、いつか結婚したいかな(笑)。
(取材/撮影:読売新聞メディア局・遠山留美)