義足のランウェーモデル、海音さん「誰かを元気付けられたら」

キッズモデルとして活躍した女性が、義足姿でランウェーに戻ってきた。

東京パラリンピックの開会式が行われる予定だった2020年8月25日、義足の女性たちによるファッションショーが行われ、難病で右足を切断したモデルの海音あまねさん(19)が出演した。このショーで初めて義足であることを公表し、話題になった。

モデルの海音さん
「モデル、俳優業など今後は様々なことに挑戦したい」と話す海音さん(大阪市で)=長沖真未撮影

海音さんは2001年、大阪市生まれ。洋服店の店員に声をかけられ、5歳からキッズモデルとして活躍した。アイドルグループにも参加するなどしていた小学6年生の時、足が痛くなったり、高熱が続いたりして入院した。

キッズモデル時代の海音さん(本人提供)

元キッズモデル、難病乗り越え再出発

小学校の卒業を控えた2014年2月、血管の難病「多発血管炎性肉芽腫症」と判明した。右足は壊死えしして真っ黒になり、医師から「膝から下を切断するしかない」と告げられた。中学1年生だった同年7月、右足を切断する手術を受けた。当初はずっと車いす生活になることを覚悟していたため、「義足を着けたらまた歩けると思ったら、落ち込むことはありませんでした」。

手術後はリハビリに励んだ。持ち前の負けず嫌いもあって、すぐに義足を着けて歩けるようになった。退院直後に、自転車を乗りこなし、その動画を担当医に送ると驚かれたという。

一方で、「周りからどう思われるか分からない」と心配だった。義足であることは友人や親戚には秘密にした。ワイドパンツやロングスカートをはいて足を隠し、座った時にはブランケットをかけた。

19年秋、義肢装具士の臼井二美男さんから、パラスポーツ選手らを撮影するカメラマンの越智貴雄さんを紹介されたことが、転機になった。越智さんからショーの出演を打診され、「やってみよう」と思った。

昨年8月のショーでは、ブレザーの制服のほか、白いドレスをまとった。制服は高校時代に着ていたもので、スカートだけ短くしたという。そして、この日のために、臼井さんがシルバーの義足を用意してくれた。「ゴールドは最終地点。これからも上を目指してほしい」。光り輝くシルバーには、そんな思いが込められているという。

2020年8月に行われたファッションショー。海音さんは、制服姿で登場した(撮影・越智貴雄/カンパラプレス)

海外で活躍するモデルに

友人たちには、ショーの前に義足だと電話で打ち明けた。ニュースで知るよりも、自分の口で伝えたいと考えたからだ。吹っ切れたのか、ショーでは堂々とした姿でランウェーを歩くことができた。「緊張はなく、とても楽しく参加できた。友人たちも『かっこいい』と言ってくれ、うれしかった」と振り返る。

最近は、ミニスカートをはくなど装いの幅もぐっと広がった。海外でも活躍するモデルを目指し、韓国語など語学の勉強に励む。

目標とするのは、元パラリンピック選手で、義足モデルのエイミー・マリンズさん。「エイミーさんが私に勇気を与えてくれたように、私も誰かを元気づけられる人でありたい」

(読売新聞生活部 山村翠)

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