美容師のおしゃべりに気疲れ、会話減らすにはどうしたらいい?

美容サロンでは、常連客ほど気の置けない美容師との会話が多くなりがち。でも、美容師からあまりにも多くプライベートなことを聞かれたり、会話が延々と続いたりすると、おしゃべり自体が苦痛になってしまうこともあるようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、美容サロンでのおしゃべりを減らしたいという女性からの投稿が寄せられています。ほかにも、対処に苦労している人は少なくない様子。どうしたらいいのか、専門家に聞いてみました。

話に付き合って、へとへとに

トピ主「千絵」さんは、ある美容サロンの常連客。担当の美容師が話好きで、ボーナスが出たかどうかや、年末はどこに行くのかなど、たわいないことを話しかけてきて、話のたびに手が止まってしまいます。「カットとカラーだけで毎回4時間もかかります。有給休暇なのに、話に付き合うと帰宅後はへとへとです」

それでも5年間、我慢してこの美容サロンに通い続けてきましたが、最近、夫が新型コロナウイルスの影響で失業し、自分のプライベートなことを話したくないという気持ちが強くなりました。そこで、雑誌を広げ、黙って読んでみたところ、美容師は、今度は雑誌をのぞき込んで、「このモデルのポーズ、ウケる!」「この服のブランドが……」などと話しかけてきたのです。トピ主さんは「どうしたらいいのでしょう。美容師さんを黙らせる方法ありますか? 予約のためにいただいたLINEに『次回の来店時は話したくないので、話しかけないでください』って送ってもいいでしょうか?」と発言小町に問いかけました。

この投稿に、同じような経験をした女性たちから声が上がりました。

家族構成や職業、住んでいる場所まで

「私も美容院での会話が苦痛でたまりません。何度か通っているうちに、家族構成や職業、住んでいる場所など色々話していることに気がついて、うんざりして美容院を変えることを繰り返していました」と打ち明けたのは、「ののか」さん。

「今週いきます」さんは「最近では、美容師さんの聞き役に回っている感じです」と書き込みました。施術中に静かに過ごしたくて、店に置いてあるエッセー本を読んでいると、「ガチで読んでますね」。目を閉じて寝たふりしていると、「お疲れですか、寝不足?」などと話しかけられてしまうそうで、「なかなかうまくいきませんね」とぼやきます。

読書に集中・居眠り・耳栓

具体的な対処法を挙げる人も多くいました。

「文庫本にカバーをして持っていき、『図書館の本で返却期限が近いので読んでしまいたい』と最初に言います。雑誌と違って邪魔されません」(「ブライト」さん)。

「『今日は疲れているから眠らせて』と言って寝る。話しかけられても、目をつむったまま返事しない」(「ある」さん)。

「今限定ですが、『コロナが怖いのでなるべく話しかけないでいただけますか?』と聞いてみてはいかがでしょう」(「マスクちゃん」さん)。

「『耳鳴りがするので今日は話しかけないでください』と言って、耳栓しちゃう。そして、『美容院に来ると耳鳴りがするんですよねー。なんでだろ?』とか言いつつ、毎回さっと耳栓しちゃえば問題ないです」(「さくらなみき」さん)。

みなさん、いろいろなアイデアを実行している様子です。

「できるだけ話しかけないで」66・5%

でもどうして、こうしたコミュニケーションの行き違いが起きてしまうのでしょうか。美容に関する調査・研究機関「ホットペッパービューティーアカデミー」(株式会社リクルートライフスタイル)の研究員、田中公子さんに話を聞きました。

同アカデミーでは昨年2月、全国の15歳から69歳の女性6600人に実施したインターネット調査で、美容サロンのスタッフとの理想的な距離感について聞きました。「施術中はできるだけ話しかけないでほしい(そっとしておいてほしい)」は66・5%で、「できるだけ話をしたい(コミュニケーションを取りたい)」の33・5%を大きく上回る結果でした。特に30代と40代では「話しかけないで」が68・5%と、他の年代に比べて高い傾向がありました。

図は、ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2020年上期」(2020年6月発表)から
※ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2020年上期」(2020年6月発表)から

田中さんは、「話をするよりも、静かに、ゆったりと過ごしたいお客様が半数を超えています。一方で、積極的にコミュニケーションを取りたいというお客様も3割以上いらっしゃいますから、こちらも無視はできません。どちらが正しいかという問題ではなく、美容師さんは、お客様から発せられた小さなサインに敏感に対処しなくてはならないということだと思います」と話します。

美容師との会話にも意味はある

美容師との会話がよい効果をもたらすこともあり、意味はあると田中さんは指摘します。「顧客の顔立ちや髪質など以外に、仕事内容やライフスタイルを聞き出すことで、それに合った髪形の提案もできます」。例えば、ヘアケアに毎日割いている時間や、お仕事の業界や内容がわかれば、それに合った提案もできます。同アカデミーが実施した別の調査でも、「カウンセリングがていねいで、相談したときに適切に対応した」サロンのポイントが高い傾向にありました。会話は、そうした顧客満足を高める役割も果たしていると考えられるそうです。

ものは言いようという面も

田中さんは「投稿された方の場合、LINEでサロンに連絡できるようなので、例えばその文面に『〇〇さんの技術が好きで、いつも担当してもらっています』とお礼の言葉を入れつつ、『予約日は何時までにサロンを出たい』『最近疲れているので、静かに過ごしたくて』『お話も少なめにできれば……』などと事前に伝えておくのもよいでしょう。要は、コミュニケーションの問題です。要望・不満をきちんと伝えてくれるのは、ありがたいお客様。サロン側もより顧客満足を高める対応ができるでしょう」と話します。

「理想的な距離感」を保つのは難しいもの。常連客として親しくなったからこそ、生まれる問題かもしれません。「静かに過ごしたい」のか、それとも「楽しく過ごしたい」のか。お客の側も、自然な形で本音を伝えられたらいいですね。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】
美容師との会話を突然無くす方法

田中公子
田中公子(たなか・きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー調査研究員

 2006年リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。前職ではコンサルタントとして企業の経営計画・再生事業に携わる。2012年より現職。美容サロン利用に関するカスタマー調査からの美容消費の兆しを発信。共著に「美容師が知っておきたい50の数字」「美容師が知っておきたい54の真実」(女性モード社)。「ホットペッパービューティーアカデミーはhttps://hba.beauty.hotpepper.jp/

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