ジャニーズの新星Snow Manはなぜ飛躍できたのか?

今年1月にCDデビューしたジャニーズの9人組「Snow Man」。デビューシングル、2枚目のシングルはいずれもミリオンを達成し、単独初主演映画がヒットするなど、飛ぶ鳥を落とす勢いを見せています。デビュー年にはなにかと話題性があるものとは言え、なぜここまで活躍の幅を広げることができたのでしょうか。

1年目で異例の冠バラエティー開始

Snow Manは、深澤辰哉さん(28)、佐久間大介さん(28)、渡辺翔太さん(28)、宮舘涼太さん(27)、 岩本照さん(27)、阿部亮平さん(27)の6人で、2012年に結成されました。アクロバチックでキレのある踊りを得意とする「職人集団」で、先輩グループから「バックについてほしい」と指名されることも多かったようです。19年1月に、向井康二さん(26)、目黒蓮さん(23)、ラウールさん(17)が加入し、現体制になりました。

今年1月にリリースされたデビューシングルのほか、セカンドシングルもミリオンを達成。デビュー1年目では異例の冠バラエティー番組が始まり、単独初主演映画「滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie」がヒットするなど、躍進を続けています。メンバーの新型コロナ感染で年末年始の仕事はキャンセルとなりましたが、紅白歌合戦の出場歌手にも選ばれました。記者の周囲では、「最近、Snow Manが気になる」なんていう声がちらほら。長年ジャニーズのファンである記者も、彼らがここまで支持を広げるとは予想外でした(失礼!)。

クールな曲調で非ジャニオタ層を取り込む

Snow Manのデビュー曲「D.D.」は、シンセサイザー感満載のクールなダンスチューンで、K-POPのようです。初めて聴いた時、「キャッチー」「爽やか」「王子様」といったイメージの従来のジャニーズのデビュー曲とは一線を画すことに驚きました。長身のメンバーが繰り出すパワフルなダンス、9人という大所帯を生かした群舞も、K-POP感があります。2枚目のシングル「KISSIN’ MY LIPS」は歌詞が全て英語で、椅子を使ったパフォーマンスには大人の色気が漂います。

各シングルのMVを公開したYouTubeのコメント欄を見ると、「初めてジャニーズのCDを買った」「ジャニーズらしくないのがいい」といった書き込みが多く、これまでジャニーズに興味がなかった層の取り込みに成功していることがうかがえます。Snow Manは下積み時代が長かったメンバーが多いため、ファンの熱意はすさまじく、CDを複数買う人もいます。それでも、CDが売れない昨今、「気になるから1枚買ってみよう」と思う「新しい層」がいなければ、ミリオンは達成できなかったはず。これまでパフォーマンスにストイックに取り組んできた9人だからこそ、ジャニーズに新風を吹かせることができたのでしょう。

9人の素やかっこよさが詰まった動画が充実

Snow Manは、デビュー前からYouTubeの公式チャンネルで定期的に動画を配信してきました。バラエティー番組のような動画、シングルCDのカップリング曲を踊るダンス動画、シングル曲のMVなどが投稿されており、様々な表情が楽しめます。ネット配信では後発的なジャニーズ事務所において、公式動画が充実しているグループです。

ちょっと気になるアーティストなどがいると、若年層は動画を検索する傾向にあります。そうした中、公式動画が充実している点はとても有利。何げなくSnow Manの動画を見た人が、「あれ、かっこいいな」「面白いな」と思い、次々に動画をあさってハマっていく……。そんな構図ではないでしょうか。

今年は新型コロナの感染拡大でYouTubeの視聴時間が長くなったことも、奏功したと思います。メンバーたちの素や関係性が垣間見える動画は、今後どのグループにおいても、飛躍に欠かせないツールになるでしょう。

また、Snow Manの動画を見ていると、攻撃性がなく、互いを認め合う肯定力の高いグループだという印象を受けます。特定のメンバーを過度にちゃかしたり、イジリ倒したりすることはあまりありません。メンバーが多く、年齢差があるにもかかわらず、不仲なムードもなし。ザリガニ釣り、人狼(じんろう)ゲーム、自分たちのMV観賞など、どんな企画も仲良く楽しむ動画は、まさに大人から子どもまで楽しめるコンテンツでしょう。渡辺さんがバスに乗った時、小学生に気付かれて大騒ぎになったという話をラジオで明かしていましたが、それもうなずけます。

明確なキャラ立ち、個性派ぞろい

キャラ立ちしているメンバーが多いことも、飛躍の背景にあると考えます。例えば、岩本さんは筋肉キャラで、TBS系の「SASUKE」にも出演。渡辺さんはスキンケアに凝る美容男子として、雑誌の表紙を飾りました。佐久間さんはアニメオタクで、阿部さんは気象予報士の資格を持つ院卒インテリとしてクイズ番組に引っ張りだこ。目黒さんも持ち前のスタイルの良さを生かし、ファッション誌のモデルとして活躍しています。キャラが明確だと、テレビや雑誌の企画に起用されやすいという利点があります。

沼が深い「リア恋枠」集団

誤解を恐れずに言うと、Snow Manには誰が見ても認めるほどのイケメンは少ないかもしれません。キラキラ、王子様といったジャニーズの王道路線でもありません。しかし、「リア恋枠」のメンバーが多いのです。リア恋枠とは、実際に交際したいという思いを募らせてしまうような、恋人目線で応援するアイドルを指し、親近感があります。リア恋枠は、ルックスのみならず、人柄やパフォーマンスにひかれているため、「沼が深い(一度ハマったら離れにくい)」のです。グループの最年長としてメンバーをまとめつつ、甘え上手でひょうきんな一面もある深澤さんなどは、リア恋枠の代表格でしょう。

デビュー1年目のSnow Manを振り返ると、メンバーの発言が物議を醸し、ネットで話題になることもありました。話の前後を読み取ると、「言葉尻を捉えただけでは」と思う指摘もあり、そこまで言動をチェックされるとメンバーのメンタル面が心配にもなりますが……。そんな時、パワーの源になるのがファンの存在。新型コロナ感染で年末年始の仕事を見送ると発表された日の夜、新曲のPVがYouTubeで公開され、半日もたたないうちに再生回数が100万回を突破しました。メンバーを励まそうと、YouTubeには温かいコメントも多く寄せられています。ファンの支えを追い風にこの勢いをキープできるか、デビュー2年目以降が正念場。来年の活躍にも注目したいものです。

(読売新聞東京本社 山村翠)

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