那須・源氏の隠れ岩屋を案内する猫の「茶々」

那須・塩原温泉郷に、火山活動で出来た鍾乳洞「源三窟」があります。「源氏の隠れ岩屋 史跡鍾乳洞」として人気の観光スポットでもあるのですが、鍾乳洞の内部を看板猫の茶々が案内してくれるのです。とはいっても猫なので、誰でも彼でも案内するのではなく、茶々のおめがねにかなった人だけが受けられる特別なサービス。茶々も今どきの女子なので、若いイケメンを優先させる傾向があるとのことですが、ご心配なく。ちょっとしたコツであなたも茶々と一緒に洞窟探検ができるかも。

「源三窟」は、源頼朝に追われた源氏の落人が隠れ住んでいたとされる鍾乳洞。その成り立ちや歴史を紙芝居でレクチャーを受けた後、洞窟内の見学をするという順番です。茶々はすぐそばでこの一連の動きを何度も見ているうちに、自分でも案内することを覚えたようです。

茶々は約9年前、頭にプラスチックの容器をかぶって源三窟にやってきました。どこかで中身ののりのつくだ煮をなめようとして外れなくなったようです。オーナーの笹沼さんが、何とかして茶々を捕まえ、容器を外してあげると、その日から度々やってくるようになり、そのまま居つくことに。

しばらくすると、茶々は3匹の子猫を産みました。その内の1匹だけがここで大人になることができたのです。それが、この「チャオ」(オス・9歳)。明らかに長毛種の血統を引いています。人なつっこい茶々と違って、初対面の人を警戒するので、朝夕の観光客が少ない時間帯なら出会えるかもしれません。

チャオ君は、運悪く毒蛇にかまれたことが原因で右前脚を失ってしまいましたが、残されたもう片方の前脚はたくましく発達していて、高い所へもジャンプでき、日常生活には不自由はありません。なによりもキリッとした表情が良いですね。もしかしたらその昔、武士が隠れ住んでいたことが影響しているかもしれません。

人のことが大好きな茶々ですが、それが犬になると態度が一変します。お客様が犬を連れてやってくるものなら、全身の毛を逆立て戦闘態勢。時には飛びかかることもあるそう。犬に立ち向かう、怖いもの知らずの猫は、そうそういるものではありません。茶々にとって犬は源氏の落人の敵なのでしょうか? 洞内の案内だけではなく、駐車場にある門から鍾乳洞の入り口に続く階段を一緒に上ってお迎えをしたり、お見送りをしたりすることもあります。とにかく茶々は賢い猫なんです。自分の名前を呼ばれると反応して近づいてきます。「かわいい」「賢い」とほめられると、言葉の意味を分かっているのでしょう。ぐっと案内をしてくれる率が上がるらしいです。

歴史にまつわるお話や猫たちのことをいろいろと聞けましたが、茶々が案内役を買って出るようになったのは、自分を助けてくれた恩返しかもしれないと思えてきます。源三窟はそんなおとぎ話がふさわしい歴史とロマンがただよう場所でした。それと、茶々は山(このかいわい)で自由に過ごしているので、不在なときもあります。必ず会えるわけではないので、会えたらラッキーぐらいの心持ちで訪ねてみてください。

源三窟(げんざんくつ)

栃木県那須塩原市塩原1118

電話:0287-32-2338

営業時間:8時30分~17時(4~11月) 

9時~16時(12~3月)

入館料
大人(高校生以上) 600円
子供(小中学生)   400円
団体割引(20名以上)
    大人 100円引・子供50円引
https://genzankutsu.com/(不定休・HPでご確認ください)

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南幅俊輔(みなみはば しゅんすけ)

盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に「ソトネコJAPAN」「猫と世界遺産の街カレンダー」(洋泉社)、「ワル猫カレンダー」「ワル猫だもの」「サーバルパーク」(すべてマガジン・マガジン)、「どやにゃん」(辰巳出版)など。企画・デザインでは「ねこ検定」「パンダのすべて」「ハシビロコウのすべて」(すべて廣済堂出版)など。

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