歌手の安斉かれんさん(21)は、「平成の歌姫」こと浜崎あゆみさんの自伝的小説「M 愛すべき人がいて」(小松成美著・幻冬舎文庫)が原作の同名ドラマ(テレビ朝日系/ABEMA)で主役を演じ、女優業は初めてだったにもかかわらず、大きな話題を呼びました。ゲスト出演した「ダウンタウンDX」(日本テレビ系、10日午後10時から放送)の収録後、ドラマ撮影の裏話やアーティスト活動について聞きました。
――「ダウンタウンDX」の収録はいかがでしたか?
たくさんの芸人さんたちがいて、お話を聞いているだけでも楽しかったです。ダウンタウンさんとは以前、「ダウンタウンなう」(フジテレビ系)でご一緒したことがあります。最初は、少し怖い方なのかと思っていましたが、私の話を丁寧に聞いてくださって、とても優しい方でした。
――今回のテーマは「2020年総まとめ! 私のビッグニュース!」でしたが、安斉さんは、ドラマデビューでいきなり主演と、大きな出来事がありました。今年1年を振り返って、いかがでしたか?
アーティストとして活動していたので、お話をいただくまで、まさか自分がドラマに出演するとは思ってもいませんでした。お芝居は未知の世界で実感が湧かず、フワフワとした気持ちでした。しかも、主演の「アユ」役ということで、このお話が決まってから演技の指導を受けました。実感がないままクランクインして、大役ということはあまり考えないようにして撮影に臨みました。
私なりの「アユ」を

――ご自身が歌うシーンがありましたが、難しかったところはありましたか?
プロデューサーの前でglobeの「DEPARTURES」を歌うシーンがありました。上京して歌手を目指し、これから成長するという役だから、うまく歌い過ぎても、下手過ぎてもいけないので、そこは難しかったです。シンデレラストーリーを歩む女の子ということで、演技について監督さんと話し合いを重ねました。(小説の)「M―」が原作とは言え、浜崎さんとは別のキャラクターですので、あまり本人に寄せ過ぎずに、あくまでドラマのシナリオの中の「アユ」を演じました。
――「作風が往年の大映ドラマを彷彿させる」との評判を呼びましたが、参考のために昔の作品を見ましたか?
過去の作品に引っ張られてもいけないので、あえて見ないようにしていました。
――アユの敵役・マサ(三浦翔平さん)の秘書役の姫野礼香を演じた田中みな実さんの怪演もネットをざわつかせました。
撮影前には、ここまで反響があるとは思いませんでした。ドラマが放送されるたびに、ツイッターのトレンドにランキングされました。視聴者の反響を受けて脚本が変わることもあったんです。
――礼香がドラムを連打しながら、「どっちの許さないが勝つのかなぁー!」と叫ぶシーンは、後から追加されたのですね。
脚本を担当した鈴木おさむさんから「もっとできるよ!」と言われたり、台本の一部が変わったりすることもありました。コロナ禍で「M―」が撮影休止になっている間に、内容がよりドラマチックに進化していきました。
撮影は2か月間、休止したのですが、その間にドラマのオンエアが始まって、自分の演技を見ることができ、やっと「『M―』に自分が出ているんだ!」という実感が湧きました。ネットでもドラマの話題が盛り上がって、中断があって逆に私自身「頑張るぞ!」って気合が入りました。
――初演技で戸惑うことも多かったのでは?
知らない業界用語もいっぱい出てきますし、難しい演技もありました。でもそこは、ダブル主演で、音楽プロデューサー「マサ」を演じた三浦翔平さんやスタッフさんに助けていただきました。
「胸キュン」恋愛ソングの作詞に照れる
――ドラマ終了後の活動は?
去年の5月に歌手としてデビューし、シングルを配信リリースしていたのですが、デビューしてから人前で歌ったことがないまま、コロナ禍になってしまいました。今年は、所属事務所の音楽フェス「a-nation」の配信ライブに出演させていただきましたが、来年はファンの前でライブをやりたいです。
――12月2日リリースの新曲「Secret Love」はどんな曲ですか?
放送中のドラマ「社内マリッジハニー」(TBS系)の主題歌で、今回作詞をさせていただいています。ここまでの恋愛の詞を書くのが初めてで、甘酸っぱい、胸がドキドキするフレーズに自分で照れてしまいました(笑)。かわいらしくて、女の子らしい歌詞になっていると思います。メロディーも今までにないアップテンポな曲です。
今できることを頑張る!

――どんな子供でしたか?
昔から、寝ることと食べることが大好きでした。幼稚園の休み時間も、お友達はみんな園庭で遊んでいるのに、私は1人でお昼寝をしていました。子供の頃からマイペースな子でした。
――アーティストになろうと思ったきっかけは?
父がロック好きで、家や車の中でロックが流れている家庭だったんです。ザ・ローリング・ストーンズの曲を聴いて育ち、父が連れて行ってくれた初めてのライブがストーンズでした。バックバンドのサックスの演奏がものすごくかっこよくて、それにあこがれて中学の吹奏楽部でアルトサックスを始めたのがきっかけです。
――デビューしてから7曲リリースして、今年は初ドラマの主演も務めました。順調な1年でしたか?
いろいろなことがあり過ぎて、目の前のひとつひとうの仕事に向き合うのに必死でした。どうしたらもっといいものにできるのか、考える余裕がありませんでした。あれこれ考えずに必死に1年を駆け抜けました。来年はもう少し考えながら、お仕事ができたらいいなと思います。
――今後の目標は?
アーティストを軸として活動していくことに変わりはありません。今後は音楽のジャンルの幅をもっと広げていければいいなと思っています。
――5年後、10年後の夢はありますか?
夢とか目標を立てるのが苦手なんです。今できることを頑張っていきたいと思います。
(取材/撮影:読売新聞メディア局・遠山留美)
あわせて読みたい
